『豊かさの精神病理』大平健(070408)

 ちょいと煙草を買いに近所のセブンイレブンに行き,そのついでに隣の古本屋さんというかビデオレンタル屋さんを覗いていて発見。

■『豊かさの精神病理』(大平健/岩波新書/本体:780円)

 

 大平健…う〜ん,何か聞き覚えがあるぞ〜と思いました。私にしてはかなり珍しいことですが,最近読んだ『社会学のすすめ』(2007.3.27)
で出てきた,「〈モノ語り〉の人びと」というのを世に紹介したのがこの方だったと,頭の中のどこかにうっすらと記憶されていたようです。パラパラっと本の中を見たら,大当たりでした。何たる偶然。この日は学問の神様が,私の味方だったんですね。

 大平健先生は,聖路加国際病院精神科のお医者さん。現場の臨床の方が書かれた本だけに,生々しくてメチャメチャ面白かったです。おススメです。

 例によって,ちょっと引用。

〈モノ語り〉の人びとにとって,“生活”の向上とは,無条件に,“生活”を構成するモノを高級なモノに取り換えることです。カタログ雑誌に従って言えば「今,ブランド物でワンランク・アップ」あるいは「ハイ・ソサエティにあこがれるから,今,一流品」ということです。思い起こすと,「ステップ・アップ」とか「ワンランク・アップ」と言う言葉を〈モノ語り〉の人びとからいく度となく聞いたことでした。
 
(中略)当然のことながら人びとの財布の大きさには限度があります。(中略)必ず,街にもカタログ雑誌にも自分の持ちモノより「ワンランク・アップ」のモノがあります。人びとは豊富なモノに囲まれながらも,自分はまだ貧しいと思わざるをえません。貧困感は,いつまでたってもぬぐい去ることができないのです。(226〜227ページ)

 やだやだ…と思ったことでした。でも,これってもしかして,豊かじゃない私の“ひがみ”や“コンプレックス”の裏返しなのかもしれません。あまり深く追求すると「怖い考え」に行き着きそうな気がしたので,いちおう今回の結論は〈モノ語り〉の人びと的病理は,私の中にも(ごく小さいけど)ある,と確認したということにして就寝。


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