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『国家の品格』藤原正彦(061126)
このところ,『憲法九条を世界遺産に』,『武力なき平和 日本国憲法の構想力』,『これが憲法だ!』,『美しい国へ』と読んできて,“んだば,もういっちょ,今,売れている本も…”ということで,読んでみました。
■『国家の品格』(藤原正彦/新潮新書/本体:680円)
この本は,2005年11月発行で,私の手元にあるのは2006年2月の16刷。今はもっと版を重ねていることでしょう。
藤原正彦先生は数学者。お茶の水女子大学理学部教授。帯には上の写真のように「すべての日本人に誇りと自信を与える」と書いてあります。努力して日本人になったわけではないので,「誇りも自信も,私は持てないわ。与えられても身につかんぞ」と,ハナっから怪しんで読みました。
戦後,祖国への誇りや自信を失うように教育され,すっかり足腰の弱っていた日本人は,世界に誇るべき我が国古来の「情緒と形」をあっさり忘れ,市場経済に代表される,欧米の「論理と合理」に身を売ってしまったのです。
日本はこうして国柄を失いました。「国家の品格」をなくしてしまったのです。現在進行中のグローバル化とは,世界を均質にするものです。日本人はこの世界の趨勢に敢然と闘いを挑むべきと思います。(6ページ)
「はじめに」で,藤原先生は上のようなことを書かれています。何だかヤな感じだぞ,と思わずにはいられませんでした。が。読み進めていくとこれがなかなか面白い。ロングセラーになるのもわかります。つまりは,欧米流の「論理」とか「合理性」なんてものは大したもんじゃあないというところから始まって,日本的「情緒」といった,深〜く広〜い精神を見直そうよ,というお話なのです。オススメです。読んでソンはないと思います。私は『風土』(和辻哲郎),岸田秀先生がおっしゃるところの「現実我」と「幻想我」(『日本がアメリカを赦す日』)を何度も思い出しました。おそらく岸田秀先生的に見ると,この本や安倍晋三さんのおっしゃることは「幻想我」に近づこうということなのだな,と思います。アメリカの子分でなく独立国家として「国際社会において,名誉ある地位を占めたい」というところが共通。
さて。確かに面白かったけれども,松下圭一先生(近頃の読書)のお導きで,「国家も人民のお約束のかたまり(政府)の一つにすぎない」と思っている私としては,ちと物足りない(新書でさらっと読ませるというつくりなので,これはこの本自体の欠点ではありません。念のため)。やっぱりね〜,「国家」だけでなく「自治体の品格」とか「市民の品格」なんてことも考えないといかんよなあ〜と思ったことでした。何でも「国」の問題のようにしてしまうと,「国家」がしゃしゃり出てきて「全国一律の○○基本法」で縛りをかけるといったことが,やりやすくなっちゃうんですよね〜。
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