『風土』和辻哲郎(061028)

 和辻哲郎『風土』,井上靖『孔子』,『論語』を薦めてくれた方があって(ありがとうございました。Y・I様),読んでみました。

■『風土』(和辻哲郎/岩波文庫)

 カバーに「風土とは単なる自然環境ではなくして,人間の精神構造の中に刻みこまれた自己了解の仕方に他ならない」とあり,この言葉は有名です。が,今回,ひととおり読んでみて,この言葉は,本文中に見つけられませんでした。解説の中にも…。これはもしかして,カバーを作った岩波書店の編集者かデザイナーが入れたのではないでしょうか。特に「人間の精神構造の中に刻みこまれた」という部分は,見られなかったように思います。それはともかく。

 さて。で,この本は,人のものの考え方は自然や歴史などの風土に影響され,かつ,それは気がつかないけれども,祖先の時代からのことで,われわれの身体に染み込んでいるんだよというような話。で,世界をモンスーン,砂漠,牧場の3類型に分けて,そこに属する人々について分析し,次いでモンスーン的風土の特殊形態として,シナと日本を分析しています。いや〜。カバーと違って簡単に要約できないのが残念です。ちょっと引用。こんな調子。

 南洋の風土は人間に対して豊かに食物を恵む。人間は単純に自然に抱かれておればよい。(中略)人間はその受容的・忍従的な関係において固定する。(中略)そこでは生産力を発展せしむべき何らの機縁も存せぬのである。(中略)南洋は文化を生まなかった。そうして文芸復興期以後のヨーロッパ人に易々として征服され,その奴隷に化したのである。(33〜34ページ)

 初出の本は1935(昭和10)年発行。私が今回読んだのは1979年発行の岩波文庫。下のAmazonで売っている,現役の同文庫は,デザインが変わってます。オススメです。


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