|
『日本の行政』村松岐夫(061006)
村松岐夫先生(学習院大学教授・京都大学名誉教授)は行政学における有名な「大家」「御大」であります。でも案外お若くて1940年生まれです。行政学や地方自治に関する本を読むと,必ずといっていいほど本書が参考資料に挙げられていますし,そうでない場合でも村松先生の他の仕事が挙げられていないことは,まずない感じ。
…それは存じ上げていたのですが,本書にはなかなか手が伸びませんでした。パラパラっと見て,ムズカシそうだったので…。
■『日本の行政』(村松岐夫/中公新書/本体:720円)
拝読して,「ほ〜らね。やっぱりね」というのが最初の感想。デキの悪い読者で先生には申し訳ないですが。。。村松先生は,いわゆる「キャッチ・アップ」という目標が日本国内で共有されていた頃の,中央行政システムや中央地方関係について「それはそれでよいところもある(あった)のだ」と丁寧に検証し,足場をしっかり固めた上で議論を展開されていきます。このスタイルが,まず格好いい。でも,それが実は,私にはまだるっこしく,かつムズカシかったです。ここんところを我慢してちゃんと読まないと,深い理解はできないぞ,と,そういうことだとは存じますが,苦しかった。
この本は1994年4月の発行です。1994年4月は細川内閣が倒れ,羽田内閣が成立(羽田内閣は同年6月にアッサリ終わって,村山富市内閣に至るのですが)したときです。この本の「あとがき」は1994年2月になっていますから,政治・行政が随分揺れていたときにご執筆になられたようです。にもかかわらず,「まあ,じっくり行こうじゃないの」という全体のトーンが,いかにも京都の学者さんらしい気がいたします。ちなみに政治学の高坂正尭先生にもそんな印象を持ったことがあります。
さて。苦しい読書ではあったのですが,本書はおススメです。私は自民党一党支配が崩れた頃から,日本の政治・行政システムは,地方自治体さらに司法も含めて,目に見えて変わってきていると思います。この「ゆらぎ」は,まだ収まっていません。その「ゆらぎ」について考える際には,本書はやはり「必読」でありましょう。
第8章から,この本を書かれた当時,村松先生が指摘されていた4つの「行政変容の方向」を挙げておきます。(216-217ページ)
・トップの強化
・評価基準と監査方法の再検討
・地方分権化
・「市民」像の再構成
それと,「あとがき」で村松先生は,「企業の活動をふくむ政治行政体制の分析をこの次はやってみたい」と書いておられます。よく「官業民」とか「政官財」いう割に,そういえば,業(財)と政や官との関係は「癒着」以外あまり関心を持たれていないですよね。“そんな馬鹿な”ですよね〜。政府の諮問委員会や審議会では経済団体のエライ人がトップになりますし,経済団体は立派な圧力団体ですし,各企業は,政党にとっては献金元で票まとめ機関(?)で,行政にとって事業のパートナーにもなりますし,指定管理者制度や市場化テストなんて言ってるわけですから,この辺りに関する一般人向けの新書など,もっとあっていいですよね。村松先生はもうこのテーマでご執筆になっているのでしょうかねえ? あったら読んでみたいものです。
|