『月と六ペンス』モーム(060820)

 『ライ麦畑でつかまえて』を読んだ後,そのまま,救出した大学4年の娘が読んで捨てようとしていた本の第二弾を読みました。

■『月と六ペンス』(モーム/中野好夫=訳/新潮文庫/本体:552円)

 サマセット・モームという名前は聞いたことがあるけれど,1冊も読んだことがありませんでした。これは,面白かった。小説家と画家が登場するのですが,私のイメージでは,小説家はマネが描いたゾラ,画家はアンリ・ルソーとなっておりました。訳者の中野好夫さんの解説で,これはゴーギャンの伝記から暗示を受けた作品だと知り,ちょっとショック。ゴーギャンだったのね。アンリ・ルソーはタヒチには行ってないし…。

 この話の中で,画家がタヒチで描いて焼けてしまった作品についての描写があります。(348ページ)

「奇怪といえば,実に奇怪きわまるものだった。世界の創造,エデンの楽園,そしてアダムとイブ――とでもいったらいいだろうかな?――とにかく男,女いっさいの人間の肉体美への賛歌,あるいはまた荘厳で,非情で,美しくて,そのくせ残忍な自然に対する礼賛でもあった。ほとんど恐ろしいまでに,空間の無限と,時間の悠久とを思わせるものだった」

 解説を読む前はさらっと読み飛ばしてしまいましたが,この文章は,ゴーギャンの有名な『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』についてのものではないですかね? 絵の好きな方には,特にオススメです。


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