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『清川妙の萬葉集』清川妙(051201)
この本の初刷は1986年2月。私の手元にあるのは1987年8月の4刷です。ほぼ20年前の本。装幀の美しい本。清川さんの思い入れたっぷりの文章もよかったですし,大変勉強になりました。名著です。オススメです。
■『清川妙の萬葉集』(清川妙/集英社/定価1,400円)
例によってちょっと引用。136ページ。大伴旅人の歌。
我妹子が植ゑし梅の木見るごとに心むせつつ涙し流る
(四五三 巻三)
庭の中にある梅の木。それは亡き妻が手ずから植えた木である。その梅の木を見るたびに,胸が悲しみにむせ返り,こらえきれずに涙が流れる。そうね。よくわかる。「心むせる」のですよね。こんなとき。耐えられません。私も。
も一つ引用。157ページ。志貴皇子(しきのみこ)の歌。
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
(一四一八 巻八)
石の上を走り流れる滝のほとりに,さわらびが萌え出る春の季節になったなあ。綺麗な歌であります。どこかで聞いたことがあるなあと思いましたが,万葉集にある歌だとは知りませんでした。若々しい素晴らしい歌ですよねえ。
この本は,上のような歌とその現代語訳を載せただけではありません。歌そのものの味わい方(音の味わい方,歌の歴史的背景,解釈の分かれる部分での清川さんの見解など)や歌そのものへの清川さんの感想,清川さんの作者の評価などが読ませてくれます。充実した読書ができました。あんまり充実していたので,今の日常生活が「花のない」「色のない」ものに思えたりもしました。そんなハズはぜーんぜんないんですけどね。
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