『日本人ごっこ』吉岡忍(050827)
 しまったな〜。今,タイに行っている娘に読ませておけばよかった。古い本ですが,何かの参考には必ずなったはずでした。む〜。

■『日本人ごっこ』(吉岡忍/文藝春秋/定価1,100円)

 吉岡忍さんの本は,これまでに『「事件」を見にゆく』『死よりも遠くへ』『ルポ 学校の力』を拝読しており(講談社ノンフィクション賞を受賞した『墜落の夏』を読んでいないのがシブイ!),堅実なルポライターという印象です。ず〜っと前にこの本が出たとき(1989年)に,“読みたいな”と思った記憶がありますが,BOOK-OFFで再会して購入。

 タイの再貧層出身の13歳の女の子がバンコクで「私は日本大使の娘」と偽って,人々からチヤホヤされ,タダでご馳走になったり,施設を視察したり,学校で演説したりしたという話。16年前に出たこの本は,この小さなエピソードの主人公である少女に会うまでの行程を踏まえつつ,貧しいタイと豊かな日本の対比(タイにあふれる日本製品やファッションなど)を通じて,タイの人が「日本はよい,タイは悪い」と思っており,日本に憧れる一方,自分たちや母国に対して自信が持てない,アイデンティティが危うい状態に陥っているようだということを描いています。うー。そんなムズカシイ話にしなくてもよかったんじゃないですかね,と今は思いますが,タイの国中を旅して回って,その少女の軌跡を追った当時の吉岡さんには,並々ならぬ思い入れがあったようです。それが何なのかは,私にはよくわかりませんでした。ついこの間まで日本だって似たようなものだったということを言いたかっただけとは,思えません。

 タイの中を走り回っていろいろな人の話を聞き,町や村を見てあれこれ考える吉岡さんの文章は面白いです。オススメです。この本を読んだ後,思いついて娘に「タイかマレーシアで現地の人が履いているようなサンダルを売ってたら買ってきて」とメールしたら,10秒後ぐらいに「探してみる」と返事が返ってきました。ふー。昔は貧しかったタイのイナカでも携帯電話は普及しているでしょうか。


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