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『はめられた公務員』中野雅至(050621)
『異色官僚』(2005.5.14),『官僚の風貌』(2005.6.5),『技術官僚』(2005.6.7),『官僚技官』(2005.6.8),『霞が関残酷物語』(2005.6.9),『連鎖』『震源』(2005.6.11),『官僚たちの夏』(2005.6.11)に次ぐ官僚モノ第9弾。新刊。
■『はめられた公務員』(中野雅至/光文社/本体952円)
著者の中野雅至氏は,兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授。元大和郡山市職員,国家I種試験(行政)に合格し労働省入省,14年のキャリア官僚としての生活を経て現職というご経歴。1964年生まれ。
世間の公務員バッシング(それにしても,公務員の世界もあまりにもヒドイけど)に,“いちおう”対抗する内容。売る側の光文社さんは,「公務員はヒドイ」的ノリで売っていきたいような様子も,巻末のこれが「役人天国」だ! という写真のページで見られたりしますけれども…。
このところの一連のお勉強で,公務員の歴史や実態については朧気なイメージができましたが,で,これからどうなんの? ということにつき一つの見解をまとめて見せてくれたのは,この本のよいところ。中野先生は英語がお得意らしく,本文中に出てくる語句の後に,英単語や熟語が並べられているのは,多分,先生の教育的信念に基づく配慮なのでしょうが,本文をものすごく読みづらくしているのが,私には残念なところでございました。英語については欄外などで処理して,日本語はそれだけでスイスイ読めるようにしてほしかったなあ…。
さて。この本の趣旨は「はめられるぞ! 公務員。うかうかしてると」ってとこです。今のように議員とマスコミを恐れて黙ってたら責任だけ押しつけられるゾ,悪者扱いされるぞ…という話です。単純に言えば,国民(住民)が選んだ首長や議員が議会で決めたことを「執行」するのが公務員であって,「国の借金が何百兆円にもなってどうすんだよ。みんな公務員のせいだぞ」って言われたって,決めたのはミンナが選んだ人たちなんだからそりゃアンマリだ(もちろん公務員にまったく非がないわけでもないけれど),と,こんな感じ。ほんと。それはわかるわ。しかも政治家や業者と癒着していた上の人たちは美味しいトコ取りをさんざんした挙げ句,定年でバンバン“逃げ切って”行き,充分な退職金や年金をもらう仕組みになっているのですから,やってられない。
でも,世間で言うほど公務員の世界が腐っているのなら,土地の登記だってあてにならなくなるし,私が私であることを法的に証明してくれるのは誰なんだ?ってコトにもなるし,急病でも救急車は来ず,強盗に襲われても警察官は頼りにならないってことになるはずなんですね。こんなことになっていないのは,ほとんどの公務員が真面目にやっているからです。とりわけ公務員に世間の目がキビシイのはわかりますが,それでも,そこまで言うか? というケースが多すぎます。彼らを腐らせたら社会的損失は相当大きなものになりますよね。計量するのは不可能だと思いますが。これ,現在の教育現場の状況に似ていませんでしょうか? 問題を起こさないことばかり考えているサラリーマン教師が多くなって教育の現場が荒廃する…と。またあまりにも“公務員バッシング”が過剰になると,だれしもイジメラレッ子になりたくないですから,公務員を志望する若者が激減する事態もありえるのではないでしょうか。少なくとも,どこに行っても通用するような優秀な人材ほど,公務でないところに就職していくようになるかもしれません。ロクでもないのが役所にゴロゴロいるようになったら,と考えるだけで恐ろしい。
公務員のすることを何でもかんでも「公定力」があるかのように認めることはないけれども,信頼しなさすぎてもいけません。政治家の責任の押しつけを裏に秘めた発言や,マスコミの「ウケれば何でもアリ」的報道にだまされて,結果的に真面目にやっている公務員をハメないように注意しないとねえ。
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