『官僚の風貌』水谷三公(050605)
 『異色官僚』(●近頃の読書(2005.5.14))を読んだ後,G先生から,私の官僚への関心の高まりを察してくださったかのように,すんごい本が送られてきました。ありがとうございました。G先生。カバーをはがすと表紙は布製で,表紙と背の書名は金箔でございます。よく図書館にある“エライ本”の形です。A5判400ページ。“G先生,これは体裁からいって専門家の方々が読む本ですぜ〜”と思ったことでした。この本は,ハードとしての製本が凄い上に本文は贅沢な四色刷り。にもかかわらず定価はこのお値段。エライ!! と思う一方,中央公論新社さんは,中央公論社が左前になったので読売新聞社さんに助けてもらってできた会社だと思うと「大丈夫?」と心配になったりもします。この「日本の近代シリーズ」は全16巻の予定。うまくいくといいですねえ。中央公論新社の皆様。

■『日本の近代13 官僚の風貌』(水谷三公/中央公論新社/本体2,400円)

 「G先生から送られてくる本にハズレなし」の定理を信じて,気合いを入れて読みました。なるほど。面白かった。わが国の国家公務員の,特に明治から戦後の頃の幹部と幹部候補と言われた人たちの凄さがわかりました。内務省という官庁のすごさも。内務省に伝わる東京大学法学部における成績と文官任用高等試験(高文)の成績という資料も出てきます(鈴木俊一,後藤田正晴,長野士郎各氏などのお名前が出ています)。
 著者の水谷三公先生は東大法学部政治学科卒業の國學院大学教授。比較的柔らかい文章でわかりやすく書いて下さっています。学者さんの書かれた本らしく引用・参考文献のリストもしっかりしています。『異色官僚』も含まれており何とその数256。巻末の年表は「王政復古の宣言」(慶応3年/1867年)から「第1回国家公務員採用I・II種試験実施」(昭和60年/1985年)の約120年。

 明治維新(1868)―日清日露戦争(1904)で国際国家として認知―敗戦・占領(1945)―バブル崩壊(1990)―省庁再編(2001)

 こんな風にして見ると,ちょんまげ落とした明治維新から第二次大戦で敗れるまで80年しかなかったんですね。天皇はともかくとして,明治から敗戦までは明治の元勲や官僚,軍隊がこの国を仕切り,1945年以降GHQが抜けた後は,政党と官僚が綱引きをしてきたわけですね。この間,マルクス主義が広まり共産党や社会党が元気だった時代もあり,ソ連がなくなって東西冷戦は終結,自民党一党支配が崩れた時期もあり,社会党がなくなって政治は保守に一本化しアメリカべったりで,いまは政党上位の時代なのですかね。
 敗戦から60年でここまで来たのはすごいことですけれども,憲法にあるような国民主権はまだまだ実感を伴ってはおりません。権力分立の大事な要素の地方自治も育っていないし。あと20年の間にこの国にそれを実感できるような大変革があるのでしょうか。2025年というと「3人で1人のお年寄りを養うようになる」時期ですよね。私も67歳だ!! 「国民主権」というよりも,国が頼りにならないんなら自分たちでやるしかないジャン的主権になりそうな予感。
 政党は大衆迎合的にフラフラしがち。“官僚(地方公務員含む)にしっかりやってもらわないと,かなりヤバイんじゃないかな,この国はと,そんなことを考えさせていただきました。1億総中流というか,変な平等主義のおかげで本当のエリートが育たなくなってないかい,この国はとも思います。このところ「公務員の給与高過ぎ論」をよく新聞等で見かけますが,公務員とか先生の給料は高くして,それなりの責任持ってやってもらいましょうよ。いい生活が保障されるとなれば,優秀な人は公務員とか教師を目指しますからと思うのですけれども。で,これが“庶民の智慧”ってモンなのではないかとも愚考いたす次第ですが,いかがなモンでございましょうかね?


Google

TOPへBACK

このサイトは「目次部分」「本文部分」という2分割の画面で表示される仕様にしていますが,検索エンジン経由ですと単独のページがピックアップされる場合があります。そのような場合には,恐れ入りますが以下をクリックして,新たにアクセスし直してください。
【注】2分割で表示されている場合に下をクリックしますと,フレームの中に2分割の画面ができてしまいますのでご注意ください。その場合はブラウザの「戻る」ボタンを押していただくと,現在の画面に戻ります。
http://homepage1.nifty.com/kanen/