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『大人になるためのステップ』奥井智之(050418)
『社会学』(東京大学出版会/2004.9.4)の奥井智之先生の,面白そうな本を発見。
■『大人になるためのステップ』(奥井智之/弘文堂/本体2,200円)
この本の副題は「少年社会学序説」となっており,カバーから受ける印象とは違って,学術的な真面目な本であります。「子どもを扱った物語」(たとえば,スティーブンソン『宝島』,L.キャロル『不思議の国のアリス』,その他いくつかの映画など)を素材に,近代社会における子どもの社会化について「イニシエーション」(単純に言うと通過儀礼。ただし奥井先生はこの本では「子どもから大人になる過程における一連の行為の体系という意味で用いる」〈22ページ〉としています)というキーワードに沿って検討されています。
前半の6章は運命的な「自分を知る」ということで,自分・年齢・住所・家族・性別・死別が扱われ,後半の6章はわれわれが単に運命的な存在ではなく行動的選択的な存在でもあるということから「社会を知る」として社会・学校・友人・恋愛・職業・国家が扱われています(妙な連想ですが,「これって経済学で出てくる消費関数〈C=c+αY C:消費,c:基礎消費,α:限界消費性向,Y:所得 消費はどうしても消費しなければならない部分と所得に応じて消費する部分の合計であるとするという式です〉みたいじゃん」と思いました)。この12章に「はじめに」と「おわりに」という文章と「引用文献一覧」「引用映画一覧」がついています。「はじめに」では上に見たような本書の構成が示され,読者は本書の構成を知ったうえで,順に各章の扉を開けていく…と。論文の見本のようなしっかりしたつくりでございます。「文章の“設計”がちゃんとできているな」なんて生意気にも思ったことでした。
さてさて。とはいえ。中身は…。持てる知識と経験を総動員して読むという感じでして(まあ,ムズカシイ本はみんなそうといえばそうなんですが…),お気楽には読んでいけませんでした。楽しい読書ではありましたが,奥井先生の知識の量にこちらが追いつかず,楽しむことはできたけれども,本当はもっと奥深〜く理解しなくてはいけなかった部分が多かったに違いないという読後感であります。このところ山口昌男先生の文化人類学の本をそれなりに読んできているので,そこで得た知識と重なる部分や読んだことのある本・観たことのある映画(ハリー・ポッター,若草物語,ロミオとジュリエット,スターウォーズなど)が題材になっているところは特に興味深く拝読いたしました。
高校生以上の方(中学生だとちょっと難しいと思います),特に子どもと接する親やおじいちゃん・おばあちゃん,子どもに関係する仕事をされている方などにはオススメです。
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