『蝦蟇の油』黒澤明(050212)
 この本は,かれこれ5〜6年は我が家にあった本。いつか手に取ろうと思いつつ,つい敬遠していた本。

■『蝦蟇の油』(黒澤明/岩波書店/定価1,900円)

 黒澤明監督の作品をきちんと観もしないで,この本を読む気にはなれないでおりました。何だかね,題字も「蜘蛛巣城」みたいだし,函に入っている偉そうな本だし,ちょっと畏れていたのです。

 最初の数行を読んだだけでそのまま引き込まれ,一気に読み終えてしまいました。この本のタイトルには「―自伝のようなもの」と入っているのですが,私は自伝とか伝記を読むのは好きでして,ツボにはまった感じ。映画論のような部分はほとんどなく,黒澤さんの生い立ちと青春の記。「羅生門」までのお話。

 「羅生門」の公開は昭和25年。この後,「生きる」(27年)や「七人の侍」(29年),「隠し砦の三悪人」(33年),「悪い奴ほどよく眠る」(35年),「用心棒」(36年),「椿三十郎」(37年),「天国と地獄」(38年),「赤ひげ」(40年)なんてのが制作されるのですが,その辺の話も読みたかったなあ。別の本で読めるのでしょうか。

 この本では黒澤さんの小学校・中学校の先生の思い出,幼なじみの植草圭之助さんへの思い,尊敬していたお兄さんとの関わり,そのお兄さんの自殺,山本嘉次郎監督の下での助監督時代,「姿三四郎」で監督となってから「羅生門」までのことなどが書かれています。1984年発行。20年も前の本ですね。ちょっとオススメはしづらいところではあります。いい文章もあれば,これはどうもというものもあり,それがいい味を出してもいるんですが…。


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