『社会学』奥井智之(040904)
 8月は,実は,仕事に関する本を1冊読んだだけ。やたら酒ばっかり飲んでいたら,酔っているのと二日酔いでほとんど読書の時間を持てなかったのでした。(^_^;) 『新訂 福翁自伝』を読んで以来,ほぼ1か月ぶりの読書。

■『社会学』(奥井智之/東京大学出版会/本体1,900円)

 東京大学出版会って,東大関係の方が書かれるので,アカデミックなシブイ本が多いのですが,たまに『知の技法』みたいに“狙ったでしょ?”的な本を出しますよね。この本は後者の部類と拝察いたしました。

 著者は東大・東大博士課程ご出身の亜細亜大学教授。1958年生まれ。ということは私と同い歳。ということは山口二郎先生(『日本政治の同時代的読み方』),山下裕二先生(『日本美術の20世紀』),坪内祐三さん(『一九七二』)や原辰徳さんと同い歳。45歳。ウルトラマン世代でございます。

 この本はタイトルこそオーソドックス(それだけに挑戦的ともいえるのですが)ですが,従来のガチガチの教科書とは違って,妙に親しみやすい内容。柔らかいイラストも入っており,奥井先生の語り口がよいこともあって,とにかくスラスラ読めてしまう。普通の「読み物」を読んでいるかのような錯覚を覚えます。ノートを取るのを忘れてしまう,欄外に書き込みをするのを忘れてしまう教科書。索引も親切にできてます。学生さんや素人さんに読みやすい入門書という狙いは十分クリアしていると思いますが,教科書としてはもしかしたらうまくいかないかもしれませんねえ。わかりやすすぎて,わかった気になっちゃう系教科書なんですね。もっとも奥井先生もそのあたりは承知の上らしく,親切に今後のオススメ本まで紹介してくれております。

 さて。教科書としてはどうよという話は置いておいて,社会学を専攻しようと思っているわけでもない一般読者としては,この本は面白かった。気になる学問分野のうち,また1分野,ともかく入門書でも1冊読んでおくことで得たものは大きかった。実は学生のとき一般教養でこの科目があったのですが,さぼってしまって面白さを味わっていなかったのでした。社会,行為,集団,家族,都市,逸脱,コミュニケーション,社会心理と来て,最後はジェンダー,医療と福祉,現代社会という12章構成。目次だけ見ると普通の社会学の入門書と同様の構成になっていると思います。タイトル同様,扱っているテーマも,本筋を外してはいないんですね。わかりやすいところだけつまみ食いするという本ではありません。偉そう=ダサイ,優しい=格好いいってのが,私ら世代共通の価値観ではないかと勝手に思っているわけですが,この本はそういう優しい本。オススメです。ちょっとお値段は高いんですけどね。


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