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『新訂 福翁自伝』福沢諭吉・著/富田正文・校訂(040728)
北岡伸一先生の『独立自尊』(近頃の読書(2004.5.8))だったと思いますが,「この本を読まないのは一生のソン」的なことを読んだか聞いたことがあります。で,ようやく発見して読みました。
■『新訂 福翁自伝』(福沢諭吉・著/富田正文・校訂/岩波文庫/本体700円)
なるほど。確かに面白かった。尊皇攘夷を唱える明治新政府に加担する暴れん坊たちも,やむを得ず開国に向かうものの腹の中ではちっとも開国派でない江戸幕府も見限って,教育に向かったわけでございますね。福沢先生は。さぞ心中は不愉快だったことでしょう。その後半生は。
この本は,そんな後半生を送った福沢諭吉が,明治新政府が思いの外よくやって,福沢が望むような世の中になってきて,かつ自身が暗殺者に狙われる心配もなくなった晩年にまとめられたもの。
福沢は神仏を認めない“科学の子”。みなが神仏に祈る姿を鼻で笑っているようなところは,今からみれば“ちょっとねえ〜”という気もしますが,一方で,昭和になっても「神風」なんて言ってた国民の先祖としては凄い人なんじゃんとも思います。また,英米礼賛的なところで,「あなたですか,もしかして今の日本の英米追従の先駆者は…。そういえば小泉さんと竹中さん,ちょっと前に羽振りのよかった沈没した橋本龍太郎さんも小沢一郎さんも慶應だぞ…」なんてことも思ってしまうわけですが,こんな後のことまで,この方のせいにしてはいけませんでしょうね。
さてさて。江戸時代から明治時代にかけての,まさに激動の時代を生きた方の証言は,思い違いなどもあるわけですがやっぱり面白い。個人史としても身分制度に憤り,中津という故郷を捨て,大阪でよく勉強し,よく飲み,外国にも行き…と,波瀾万丈。わたくし的にはハリー・ポッターよりも,もちろん冬ソナよりも趣味にマッチしております。オススメです。よく聞く勝海舟の『氷川清話』なんてのも読んでみたくなってきました。
ちなみに福沢センセは,官軍が江戸に来て大きな戦いになるなら,私は逃げるからと公言し,事実,その準備もしています。この辺りの話も面白い。国民保護法制も,何かあったら政府が国民を守るから,その間に国民はどう逃げるかってなことで考えてもらえると実のある議論ができるかもしれませんねえ。
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