『日本美術応援団』赤瀬川原平・山下裕二(040705)
 まったく世の中ってのは面白いもので,ちょっと興味を持ったことがあると何やら連関していったりすることがあります。

■『日本美術応援団』(赤瀬川原平・山下裕二/ちくま文庫/本体950円)

 つい2週間ほど前に,山下裕二先生の『日本美術の20世紀』を大変面白く拝読したわけですが,ちょろっと寄った本屋さんでこの本を発見。即買いました。赤瀬川原平さんとの共著。ついでにカバーデザインが南伸坊さん(いかにも南さんって感じですね。さらにこの本の装幀が安野光雅さんってのもビックリ。今頃気づいてナンですが,我が家にある数冊の本で確認したところ,ちくま文庫全体の装幀を安野光雅さんが担当されているようです。そう気がついて見てみると,ちくま文庫の統一感のある背とか裏表紙とかの微妙な調子のある色といい,デザインといい,タダ者ではない気がしてくる。権威に弱いんダ。私は)。南伸坊さんは,この本の最後の鼎談でちょろっと登場。
 これまで赤瀬川原平さんの本として『超芸術トマソン』『路上観察学入門』『老人力』などを読ませていただいており,南伸坊さんの本も結構読んで来ました。それがこんなふうにつながってしまうのが不思議。さらにこの本で,赤瀬川原平さんのご著書に『外骨という人がいた!』(ちくま文庫)というのがあることを知り(多分,宮武外骨のことを書いた本ですよね?),山口昌男先生ともつながってしまいそうな勢いです〜なんて書いたところで,「面白がり」「面白狩り」な人たちがどこかで重なり合うのは,当然なのかもね…という気もしてきました。ま,深く考えないで,このまま皆様に世の中の面白がり方を学ばせていただこうと思います。

 さて,で,この本なのですが,日本美術を赤瀬川原平さんと山下裕二先生が鑑賞して語り合うという趣向。雪舟,等伯,伊藤若冲,縄文土器,尾形光琳,青木繁,円空・木喰,円山応挙,曾我蕭白,高橋由一などが縦横に語られます。語っているうちに,このお二方は「乱暴力」「丁寧力」なんて言葉に執着していきます(もちろん最初に「乱暴力」なんてことを言い出したのは赤瀬川原平さんです)。“チマチマ描いた絵なんてツマランぞ,ザクッと行こう,乱暴力で…”というのが一方にあり,もう一方で異常な丁寧さにも驚嘆しておられます。そうなんだよなあ,どこか突き抜けてるものを感じさせてくれないと,ナンにせよ,面白くない。私も。いちおう。青木繁の<<わだつみのいろこの宮>>について,<<海の幸>>を語った後で,お2人はこんなことをおっしゃっています(114〜115ページ)。

赤瀬川 何かね,「わだつみ」はちょっと固いんだよね。
山 下 「乱暴力」をセーブしてますね。
 (略)
山 下 さっき「海の幸」は放出しつくした感じと言いましたが,「わだつみ」は出てないんですね。
 (略)
赤瀬川 ちょっと放出力が落ちてるね。
山 下 残尿感がある(笑)。

 いかがでしょう。ちょっと品のないところを引用してしまいましたが,こんな風に,語ってくれます。オススメです。

 ちなみに,この本に出ていた青木繁の<<海の幸>>に描き込まれた福田たねさん(左下)を見て,どこかで会ったことがあるゾ〜,という気がしました。ミケランジェロのシスティナ礼拝堂の天井画に描かれた「デルフィの巫女」(右下)。

  


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