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『静かなる革命』川勝平太・佐伯啓思(040612)
何故この本が本棚にあったのか不明。著者についても,いつも難しいことを言ってる人だ…ぐらいの印象しか持っていないのですが…。
■『静かなる革命』(川勝平太・佐伯啓思/リブロポート/本体1,900円)
この本の副題は「ポスト近代の志」。1993年11月発行。古本屋さんで買ったのかなあ? 「たまには難しいことでも考えてみるべ」路線で購入したのかもしれません。で,つらつら読み始めたらやっぱり難しい。観念的な話が多く,頭ではそうなのかあと思いつつ,栄養分が血となり肉となっていかない感じ。夜ごと,文字を追い10日以上かかって読み終えたものの,これは先生方には申し訳ないけれど,私にとっては「こういう話もある」という程度の収穫にしかなりませんでした,お二人方の博識ぶりや物事に対する考え方の柔軟さ,歴史観,問題意識等については「凄いなあ」と,素直に関心するわけですが,「経済大国日本を再定義していかなければならない」(217ページ/あとがき・佐伯啓思)といった文章に出くわしてしまうと,やはり,これは学者さんや政治家(?)向けの本なのだろうなあと思ってしまうのでした。
さてさて,とはいえ読書の魅力の1つは,これまで自分が知らなかったことや考えたこともなかったことに対する新たな“出会い”。そんな出会いをこの本では何度も経験しました(はは。言うまでもありませんが,これは私の無知の裏返し)。
「ユーラシア大陸の中央部に栄えた諸文明から見れば,英国,いな西ヨーロッパ全体が中世までは文化果つる辺境であり,十字軍を機にイスラム文明に,大航海時代以後は東インドの諸文明に憧れ,東方の物産が流れ込み,支払いがかさみました」(16ページ)
なんてね。いかがでしょうか。この話は。で,だから,支払いがかさんでしょうがないから,こうした物産品を自力で製造しようという動きにつながり,その旋回軸がイギリスにおける産業革命であったと続きます。
「近代文明は,現実には,東方文明の遺産を媒介にして築かれました。いいかえれば近代化とは,脱「東方」であり「脱亜」です」(17ページ)
さらにイギリスの古代ローマへの憧れが語られ,「脱亜」を果たしたイギリスを含めたヨーロッパ産の「近代化」は世界に広がり(アジアから見ればこれは「逆流」ってことですよね),19世紀20世紀とイギリス・アメリカと中核を変えつつ「近代世界システム」は続いてきたものの,ついに現状,「近代西洋それ自体の衰亡が意識されだした」(18ページ)というのが基本的認識。
この大きな流れを確認する意味で,社会主義の興亡やアメリカの話,日本の歴史なども余談を含めて縦横に語られます。これが面白く,勉強になります。ここが私にとっては,この本の一番の魅力と思えたところ。
さて,で,その後の「ポスト近代」はどうなりましょう? というところで出てくる重要なキーワードは「文化」,それと書名にも含まれている「革命」。この文化と革命についてのところが決定的にわかりづらい。この本は,川勝平太・佐伯啓思両先生の,往復書簡,対談(話が噛み合わないところも面白い/編集者が変に手を入れていないのが好もしい),論文の3部構成。複数の著者が,それぞれの主張をしやすいように工夫がされていていい感じもしますが,仕上がった本を通読してみると論旨の一貫性みたいなものが見えづらい。これは著者が複数の本なので致し方ないとは思いますが。。。両先生が遠いところにいないのはわかるものの,お二人で共通しておっしゃりたいことは,結局,「ポスト近代について考えなきゃイカン」「キーワードは文化だ」「近代西洋的でない文化を見直そう」あたりだけという印象しか残らなかったのが残念。本当は,それだけってことはないはずだと思うんですけどね。
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