『フクシノヒト』役所てつや案・先崎宗一著(040406)
 この本は面白そうだぞ…という予感がして,ちょっと読み始めたらそのまんま。一気に読んでしまいました。

■『フクシノヒト』(役所てつや案・先崎宗一著/文芸社/本体1,300円)

 妙な作り方の本で,役所てつやさんという方が案を考えて,先崎宗一さんという方が文章にまとめられた本。何でも,30歳以下の人を対象にアイデアやコンセプトだけでも応募可能な「U-30大賞」(アンダー・サーティ)という文学賞を文芸社が設けており,この作品は第3回大賞を受賞したのだそうです。
 最初,パラパラっとページをめくって,これは小林光恵さんの『ナースマン』(近頃の読書(2003.2.22)/今日,日本テレビで2年ぶりのスペシャル番組をやっていましたが)の,ケースワーカー版のような話だろうと直感しました。で,読んでみたら,やっぱりそうでした。細やかな心遣い的味わいは圧倒的に『ナースマン』のほうがあるのですが,この『フクシノヒト』も話の展開はお上手で,面白く読ませてくれました。

 主人公が何となく大学を卒業し,公務員になって配属された部署は「福祉課保護係」。生活保護の現場。あの憲法25条1項「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を具体的に実施するところでございます。この保護係の方の仕事内容がよくわかり,また,生活保護を受けるときの要件などの解説,根拠となる法律(生活保護法・民法など)もいやらしくなく紹介されています。「フクシノヒト」という書名は妙チキリンだと思いますが,書かれている内容はマトモですし,後味のいい青春小説です。先輩・上司が泣かせるセリフを言ってくれます。この辺は先崎宗一さんの腕という気もしますし,現場から絞り出されるホンマモンの声という気もします。オススメです。特に,福祉の道を目指す若い方には是非読んでいただきたい。


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