『市場の声』小塩隆士(040403)
 課題図書としてしばらく積んであった本。以前読んだ小塩先生の『高校生のための経済学入門』(近頃の読書(2002.9.1))が面白かったし,この若い先生が新聞等で書かれたことも,いつもなかなか面白いので楽しみにしていました。

■『市場の声』(小塩隆士/中公新書/本体660円)

 景気が悪いときには,よく株式相場が下がり,新聞などで「市場は政府の追加的支援を求めている」なんてことが書かれます。また,為替市場に関しても,政府の経済政策に対する「失望売りによる円安」なんて解説がよくなされます。で,この「市場の声」って何だろう? というのが,この本に書かれていることです。エコノミストやマスコミのいい加減さなどが指摘されつつ,望ましいあり方・メカニズムについて,概念的なことが次々と述べられています。

 小泉人気,浜崎あゆみのCDだけが売れること,芥川賞作品が急にバカ売れすること,いかりや長介さんの訃報の扱いなど,どうも私は納得がいきません。この極端な“世論の振れ”は,恐怖です。こんなことを思っているところなので,この本では,市場と政府という大きな2本の軸を中心に話が展開しているのですが,そういう経済財政政策の話でなく,それとはちょっとずれたところにある,私の興味に関連する部分だけで納得してしまいました。小塩先生,すみません。

「自己責任を伴わない世界では,エコノミストやジャーナリズムが演出する市場の声は,自らの冷静な判断さえ鈍らせる効果を持っている」(152ページ)

 この文章にもありますが,「エコノミストやジャーナリズム」「コマーシャリズム」が明らかに「演出」した世界の中で,「世論」って振れているとつくづく思います。拠って立つべき所を失った衆愚状態。へそ曲がりになれと言うつもりはないけれど,自由な選択をしているつもりで結局は右向け右になってるってマズイっすよねえ。イエスをゴルゴダの丘に登らせたのは,こういう民衆じゃなかったろうか…なんてコトを思います。


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