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『「敗者」の精神史』山口昌男(040124)
ふー。やっと読み終わった。約1か月かかりました。A5判・約560頁。厚さ4センチ。
■『「敗者」の精神史』(山口昌男/岩波書店/本体4,660円)
本当に山口先生恐るべしでございます。圧倒的集中力とパワーでグイグイ書かれたという感じ。先生の好奇心はまさにとどまることがないのでございますね。超コッテリの分厚いステーキを沢山いただいたという気分です。
薩長が仕切った明治政府に背を向けた方々など多数登場。ざっと目次を紹介しますと…。
1 明治モダニズム―文化装置としての百貨店の発生―
2 近代におけるカルチャー・センターの祖形
3 軽く,そして重く生きる術―淡島椿岳・寒月父子の場合(一)
4 明治大正の知的バサラ―淡島椿岳・寒月父子の場合(二)
5 敗者たちの生き方
6 敗者たちへの想像力
7 明治出版界の光と闇―博文館の興亡
8 青い眼をした人形と赤い靴をはいてた女の子の行方
9 二つの自由大学運動と変わり者の系譜
10 大正日本の「嘆きの天使」―吉野作造と花園歌子―
11 小杉放庵のスポーツ・ネットワーク―大正日本における身体的知
12 「穢い絵」の問題―大正日本の周縁化された画家たち
13 西国の人気者―久保田米僊の明治
14 幕臣の静岡―明治初頭の知的陰影
・結びにかえて
・主要参考文献
・主要人名索引
本当に力作です。オススメです。読むのには結構体力が必要ですが…。カバーの袖には「近代日本の歴史人類学の課題がここに達成された」なんて書いてあります。でも,山口先生にしてみれば,これでもまだまだ全然書き足りていらっしゃらないと思います。明治大正昭和初期の大海のほんのちょっとしか紹介できていない,と先生は思っていらっしゃることでしょう。それでも私なんぞには十分面白い。東京の話が多いということもありますが。
さてさて,で,『コンピュータ新人類の研究』(野田正彰/近頃の読書(2004.1.3))を読んだ後,「産業革命時とか明治維新後とか戦後占領下の日本とか,変化の激しい時代に多様な世代の人々が(特に「時代の波に乗りそこねた人々」が)どう対応してきたのかという研究も読みたくなります」なんて思っていたので,ちょうどいいかなと思っていたのですが,そうではありませんでした。山口先生が紹介してくださっているのは,「別の波」を創った(あるいは乗った)人たち。あえて一言で言ってしまうと「婆娑羅」な人たち。これはこれで参考になるのでフムフムと拝読したわけですが,ホントのところは,もっと普通の人たちの生活史を読んでみたいと思っていたのでした。でもね。なるほどね。だから宮本常一さんの『忘れられた日本人』(●近頃の読書(2002.9.7))が名著とされているのだろうということがわかりました。これはむずかしい仕事なんですね。
ただ山口先生は,そこから学ぶものは何もないとお考えなような気もします。特に「周縁のダイナミズム」を浮き上がらせるというのが,この本のテーマでしょうし,安い飲み屋で愚痴ってるサラリーマンの歴史なんて知ってナンボのモンよということなのでしょう。でも知りたい。
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