『日本異界絵巻』宮田登・小松和彦・鎌田東二・南伸坊(031011)
 この本もずっと前に買ったのですが,積ん読になっていた本。異界。またこちらの世界の話を聞いてしまいました。

  

■『日本異界絵巻』(宮田登・小松和彦・鎌田東二・南伸坊/河出書房新社/本体2,800円)
 
精神的に少し落ち着いた(我ながら本当に精神のブレが大きくて困ります)ので,再びアチラの世界を覗く気分になりました。『祝祭都市』(近頃の読書(2003.9.30))で堪能した山口(昌男)節とは違って蟻地獄のようなところがありません。絵巻なので,つまりはダイジェスト版というか,「異界紳士録」みたいなものです。登場人物1人当たりの文章量が少なく,正直言って読み物としては食い足りないです。ただ,その分,南伸坊さんのイラストは楽しめます。上の2点は,左が酒呑童子(しゅてんどうじ/私はしゅてんおやじ。面白くない),右が源義経。南伸坊さんはイラストだけで登場。プロのイラストレーターとして,きっちりお仕事されたという感じ。この本には著者のお3方の鼎談も載っているのですが南さんも加えてほしかったなあ。
 それはともかく。この本で紹介されている異界の皆さんは,スサノヲ,八岐大蛇(やまたのおろち),ヤマトタケル,吉備真備(きびのまきび),安倍晴明,酒呑童子,宇治の橋姫,鬼女紅葉,源義経,崇徳上皇,甲賀三郎,河童,山女おかね,アラハバキ神,ポイヤウンペ,出口王仁三郎,ねずみ男などなど計40件。土蜘蛛とか化け猫も紹介されてます。
 紹介している宮田氏などお3方は,民俗学,文化人類学,宗教哲学などを専攻されている学者さん。皆さんそれぞれに深〜い学識をお持ちという感じですが,紙幅の関係で百科事典に書くような記述しかできなかったのがお気の毒。だからその埋め合わせで鼎談したのかも…。
 巻末に「異界用語集」付。ちょっと洒落てます。あいうえお順でないのが使いづらい気もしますが…。実は私は,本文中に*が付いていて,巻末を参照させる作りの本が嫌い。「同じページに入れてくれよお」と思ってしまいます。でも,何も注がないより親切ではあります。本文と合わせて今後もこのテの本を読むときに辞典代わりに使えそう。
 もう一点。この本は妙に手にしっくりくる本です。本のカバー・表紙の紙が手になじみますし,製本も手堅い感じ。いま見たら,装幀は南伸坊さんが担当されてました(あれ? じゃ私このこと知っていたハズかも…〈
近頃の読書(2003.5.27)〉。そういえば,このカバーを見ればピンと来そうなものでもありました。所詮私の読書なんてこの程度なのが残念。ほとんど頭に残ってないんですね)。製本所は大口製本印刷株式会社さん。近頃の単行本はすぐ壊れそうなのが多いですが,この本はそうではありません。そんなことにも妙に感心したりして…。それとちょっと可笑しかったのが,この本の表紙,背の社名のところ,切り貼りがしてあります(1990年8月25日初版発行本)。社名を誤植してしまったんでしょうかねえ? これ,多分手で貼ってます。本が出来上がった後に大勢でブーブー文句を言いながらピンセットを使って作業をしているところを思い浮かべると可笑しいです。お疲れ様でした。河出書房新社の皆さんか大口製本印刷の皆様。


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