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『日本を創った官僚たち』童門冬二(030819)
久しぶりに童門冬二先生の本を拝読。
■『日本を創った官僚たち』(童門冬二/旺文社文庫/本体440円)
1986年9月の初版。この本まだ生きてるのかなと思って検索をしてみたら,どうやら『蛍雪時代』の旺文社さんは文庫から撤退された模様。大学入試や資格関連に集中してるご様子。古本市場ではこの本は流通していました。価格はちょっと高くなっている感じです。
中臣鎌足,太安万侶(おおのやすまろ)から始まって,平将門,藤原秀郷,足利尊氏まで8人の日本を創った官僚たちが登場します。平将門とか足利尊氏とかは「官僚」という気がしませんが,もともとは時の権力の内部にいたわけで,確かに官僚といえば官僚なのでした。
いろいろな人を紹介した読み物として面白かったのですが,それ以上に印象深かったのは,これらの人物を紹介しつつ,童門先生の地方自治等に関するお考えが披露されるところ。たとえば…
「選挙民自体が道路やトンネルや新幹線や大橋やテレビなどをほしがるから」「この欲望の充足者が“いい政治家”になる」「そういう欲望,もの盗り主義で地方自治を誘導してはならない」「求める側がそうであれば,中央の権力は逆に強まり,地方自治へのしめつけを招来するだけだ」(p233-234)
ちょっとわかりづらい引用になってしまいましたが,これは,要するに“国との太いパイプ”とか言って国から補助金をぶんどってくるだけの政治家をよしとしていたら国の権力が強まるだけで地方自治なんて実現しないよという話です。会社でもそうですが,現場を知らない上層部(中央の権力)があまり強すぎると,現場(地方・住民)に適応しないトンチンカンな指示が連発されて,現場は大変困るというアレに似てます。おうおうにして事務的処理がからんで画一的になりがちで,北海道から沖縄まで同じ決まりで縛ることが合理的と思えないことまで押しつけられたりするのですね。山間部と海岸部と都市部といった要素も考慮されないケースもあるでしょう。その他諸々。現場で処理できるのであればそれはそちらに任せたほうが住民福祉にはよいハズなんですよね。基本的には。
そういえば今進められている地方分権だって国主導ってのもおかしな話で(日本的とは言えるのでしょうが),そりゃ普通国の都合のいいようになりますよね。17年前の先生のお話はいまでも通用します。なかなか難しいところですが,地方・住民の側としてはイェーリングの『権利のための闘争』的自覚なしに地方分権を求めたら,先生のおっしゃるとおりになると思います。
私は,われわれは日本人は“仕切られ好き”なんじゃないかな〜と思っています。自治なんて面倒なんで,誰かうまいこと仕切ってくれよと心の底で思いつつ,現状にはいちおう不満を表明しておくってのがこの国の平均的人民なんじゃないでしょうか(もちろん私もそうなんですけど)。そんな現状にあって,政治家は言うまでもなく,官僚(地方を含めて公務員と言ったほうがいいですが)も,スケールが小さくなってますよね。高杉晋作だっていわば山口県庁の公務員だったわけですもんね。これもまあ現代で言うと政治と行政の問題もあって,議会を無視して行政が暴走するわけにはいかないのでしょうけれど,何とかうまいことやっていかないとイカンですよね。3すくみ状態の住民・公務員・政治家の三位一体改革ってのが必要だと思うのですけれど,どうなりゃいいのかわからない。裁判員制度みたいに住民に強制的に議員や公務をやらせるとかでしょうか???
などなど。いろいろなことを考えさせてくれた好著でございました。先生いつもありがとうございます。
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