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『20世紀美術』宇佐美圭司(030614)
『行政学[新版]』(西尾勝),『日本政治の同時代的読み方』(山口二郎)がハードだったので,しばらく評論は手にしたくない気分です。小説(『碇星』(吉村昭))を読んだ後は,絵画の本。
■『20世紀美術』(宇佐美圭司/岩波新書/本体602円)
印象派後の,主として抽象絵画の流れを解説してくれた本。宇佐美圭司氏は武蔵野美術大学教授でご自身も画家。失礼ながら宇佐美氏の作品に深い印象はないのですが,どこかの美術館で氏の作品を目にした記憶はあります。
I〜IV章の構成。それぞれ「マチスを回顧する」「二〇世紀前半―ヨーロッパ前衛芸術」「二〇世紀後半―アメリカの抽象表現」「よみがえるホリゾント」と題されています。
私の浅い美術の知識では,ざっと,ルネサンス以降はルーベンス,レンブラントなどの時代があり,ワトー,フラゴナールなどの官能的なロココ時代を経て,ダヴィッドやアングルの新古典主義が出てくる。それを壊したのがドラクロワなどのロマン主義で,その流れがコローやクールベにつながり印象派へ。マネ,モネなど。やがてセザンヌ,ゴッホ,ゴーギャンが出てきて,その後はそれを超えようとイロイロ。
ここから美術の歴史は何を超えようとどういう動きをしたのかよくわからなくなってきます。どの作家がどの国の人かもわからない。はは。しかし,このわからなくなるぐらい色々な絵画が出てきたということはいいことなのだと思います。いつもアジじゃつまらない。マグロもカツオもハタハタもドジョウも食べたい。
印象派以後の流れとしてピカソ→キュビスムはまあいいとして,ボナールとかドニといったナビ派は私には面白くありません。モロー,ルドン,ムンク,クリムトってのは象徴主義と呼ばれるのかな? 結構好きです。退廃的というか変な暗さが。マチス,ブラマンクらのフォービズムも好き。その他好きな(作品のある)作家はルオー,エコールド・パリの人たち,ブラック,レジェ,カンディンスキー,クレー,モンドリアン,アンリ・ルソー,キリコ,ダリ,ミロ,ジャン・デュビュッフェ,ジャコメッティ,ホッパー,ポロック
,アンディ・ウォーホルといったところ。こうして見るとこの本に書かれたことの半分ぐらい(II章「二〇世紀前半―ヨーロッパ前衛芸術」まで)は,経験と文章が噛み合ってそれなりにわかった気分にはなりました。最初のマチスに関する文章は勉強になりました。また「還元的情熱」(簡単に言ってしまうと子どもの目に戻ろうとする情熱)というキー・ワードもわかりやすかった。で,結局,まあ,何派だろうが何主義だろうが絵が面白けりゃ私はオッケーです,といういつものところに着地。
「二〇世紀後半―アメリカの抽象表現」以後は,芸術家も大変だなあと思うばかり。この辺になると,宇佐美圭司氏の抱負や感想が多くなってきて,俄然記述に熱がこもってきます。ここの部分の記述は,私の知識不足のせいで着いていけないところがありましたが,気持ちだけ理解した気分になりました。「進化というイデオロギー」「サプライム(崇高)」「オリジナリティー」「不在の芸術」「ミニマリズム」なんていう現代美術の気分・成果は知識としては面白かった。これらについては今回が基礎知識となりそう。今後いろいろな作品に接して勉強していくことになります。今回気がついたことは,これまで20世紀後半の作品に接する機会がなかったわけでもないのに,あまり面白くなかったんだなあ,私には,ということ。今後は何でこれはつまらないのかということを考えながら作品に接するようになりそうです。
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