『日本政治の同時代的読み方』山口二郎(030610)
 西尾勝先生の『行政学[新版]』を読んだ勢いで,以前からお名前だけは知っていた政治学者の山口二郎先生の本を読みました。難しかったけど,これも名著です。感動モンです。

■『日本政治の同時代的読み方』(山口二郎/朝日新聞社/本体1,600円)
 
山口二郎先生は北海道大学教授。政治学者。ちょっとインターネットで検索をかけると行政学専攻という案内もありますが,この本を読む限りでは「やっぱりこの方は政治学者でしょ」と思いました。まあ,何学者でもマトモなことをおっしゃっていただければよいのですが…。
 
山口先生は1958年生まれ。東大法学部卒業後すぐ助手になるというエリート中のエリートというご経歴。1987年に『大蔵官僚支配の終焉』という本を岩波書店から出しています。30歳になる前にすでにそれなりの地位にいらしたということですね,これは。すごいなあ。学問の世界にどっぷり浸かっておられれば安泰のはずですが,山口先生はそこここで積極的に発言されています。現役の学者さんにとって評価や歴史的経緯の定まっていない事柄について発言されるというのはそれだけでもリスクが大きいでしょうし,風当たりも相当強いと思われますが,先生は頑張っていらっしゃる。
 
この本は1995年3月の発行。II 部構成になっています。第I部は「漂流する政党政治」と題され,「護憲政治の終わり」「細川護煕の駆け抜けた時代」「社民リベラルが生き残るための四つの政策」「ポスト羽田の政権像」「村山政権の進むべき方向」といった文章が並んでいます。第II 部は「揺らぐ戦後憲法と日本の国家像」と題され,「護憲から創憲へ」「湾岸戦争と憲法政治の変容」「永久運動としての平和憲法」など。全編を通じ,いろいろな雑誌や新聞に寄稿された文章が並んでいます。
 10年前に同時代的に書かれた文章を,今頃読んでどうなのよということなのですが,それはそれでいい勉強になりました。「永久運動としての平和憲法」というあたりは,ぜひ,リベラルなセンを指向される方に読んでいただきたい。細川政権誕生から村山政権に至るまでの様々な文章を読んで,また,現状を鑑みて,変な感想になってしまいますが,「できないヤツは群れたがる」,一方で「政治は多数派を形成したほうが勝ち」なんてことを考えてしまいました。この10年。大きく言って,私たちは社会党を一人負けさせ,かつての自公民路線を変形拡大しただけだったと総括したら現状がわかりやすい気がします。旧態依然の理念なき装備(政治)で激変する内外情勢に対応できるはずもなく,にもかかわらず(小さくなる一方の)利益配分を調整するだけの政党群を我々は支持し続けているということなのでしょう。ふぅう〜。政治的無関心が生む政治的デフレスパイラル。まずいっすよね〜。これは。


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