『行政学[新版]』西尾勝(030607)
 地方制度に関していろいろな動きがある昨今。急に行政学を勉強したくなり読んでみました。これは名著です。感動したあ〜。

■『行政学[新版]』(西尾勝/有斐閣/本体3,100円)
 
西尾勝先生は元東京大学教授で,いまは国際基督教大学教授。東京大学名誉教授でもあります。最近地方制度調査会で「町村の強制合併」を提案したと言われる「西尾私案」で大いに話題になった方。この本は,国家・地方の制度だけでなく,本当に幅広く行政(学説も踏まえて)について解説がなされています。行政学の最もスタンダードなテキスト。
 
主な章立ては,「行政サービスの範囲」「官僚制と民主制」「アメリカ行政学の展開」「行政学の構成」「現代国家の政府体系」「戦後日本の中央地方関係」「議院内閣制と省庁制」「現代公務員制の構成原理」「官僚分析の視座」「政策形成と政策立案」「環境変動と政策立案」「日本の中央省庁の意思決定方式」「予算編成過程と会計監査」「行政活動の能率」「行政管理と行政改革」「行政統制と行政責任」など。
 
西尾先生の考えておられる,国や地方の制度,自治のあり方などは本当にもっともなことだと思いました。住民に期待しているところが,現代のまだ自立した市民意識を持てないでいる住民の多い我が国に,本当にいずれ適合するのかとは思ってしまうわけですが,しかし基本的考え方はこれですよねと納得したことでした。
 
私のような門外漢でも,すんなり読めるつくりになっているところが凄い。この本はもともとNHKの市民講座だかのテキストに加筆していったものですのでそういう基礎はあったと思われますが,それにしても,普通の人にわかりやすく行政学の話をしてくださる先生のサービス精神や力量は並々ならぬものであると思います。
 
昨日は地方分権改革推進会議が「三位一体改革に関する意見」を出したのですが,有事関連3法の成立であまり多くは報じられませんでした。防衛・外交など国家の仕事は着々と中央主権・政治主導の体制が整えられていきます。一方で,住民に近いところでは,住民自治が期待されその体制作りが議論されています。私たちの周りの法制度はどんどん変わっています。今回の読書では,少なくとも,地方制度の構築に大きな影響力を持つ学者さんがちゃんとした方だということがわかりちょっと安心しました。西尾先生は強制合併を本来望ましいことだとは少しも考えておられない。でも,西尾私案を出された。そこのところの葛藤をよく学ぶことが今後の地方制度を考えるうえで大事なことだと思いました。


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