『知の技法』小林康夫・船曳建夫=編(030315)
 1994年に大売れに売れた本。私の手元にあるのは1994年4月11日初版・1994年7月11日第11刷。この後どうなったのかはわかりませんが,わずか3か月の間に10回増刷したというのは間違いありません。うらやましい。大量生産したものがどんどん捌けていく快感を,ほんとに10年以上味わってませんな。私は…。

 

■『知の技法』(小林康夫・船曳建夫=編/東京大学出版会/本体:1,500円)
 この本は〈東京大学教養学部「基礎演習」テキスト〉ということになっております。東京大学の教養学部って,確かなくなりましたよね。いま,この本はどうなっているんでしょうかね? 10年近く前の本ですから執筆に参加した先生が残っていれば使われているというところでしょうか。

 実は,ずっと読んできて,アンケートの仕方について“なるほど”と思ったり,『SEX by MADONNA』の分析は面白かったものの,「なぜそれほどまでに売れたのか」よくわかりませんでした。しかし最後の「論文の書き方」「口頭発表の作法と技法」というまさに技術的なことが書かれた部分は参考になりました。おそらく他のビジネスマン向けの「論文作法」とか「プレゼンテーション入門」という本でもこういったことは書かれていると思いますが,“東大の先生”が言っている「論文の書き方」「口頭発表の作法と技法」というところに,きっと皆さん価値を見いだされたのでしょうね。ま,私も「今後何か真面目にモノを書いたり,人前で話すときは,ここに書かれていることを多少なりとも取り入れていくべ」と思った次第なのですけれど。
 あと,この書名とデザインもよかったんですね。多分。書名が「技法」となっているので,これさえ身に付ければ安心という感じがします(実際そうでしたが)。本扉の裏に英語で「Academic Skills for the Human Siences Guide for First-year Students」なんて書いてありますが,これがバーンと押し出されたら一般の人は買おうなんて思わなかったことでしょう。「知の技法」だけドーンと押し出し,小さく〈
東京大学教養学部「基礎演習」テキスト〉なんて入れて知的関心をくすぐるってのは,こりゃ結構計算されているぞと思ってしまいます(何だかすごいぞ! 東大出版会!!)。で,カバーのデザインもいい。教科書らしくない。お洒落で賢そう(装画:飯野和好,装丁:鈴木堯+龍上アサ子[タウハウス])。本文のレイアウトも結構格好よくできてます。

 今回もなかなかよい読書でございました。特に終わりのほうが有効だったので読後感がいい感じ。ついでに商品名についてまで考えられたりして思わぬところで勉強になりました。


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