『笑いと逸脱』山口昌男(030207)
 この本は山口昌男先生もかなり楽しんで関与されたような作りで,全体に“遊び”が感じられる仕上がりになっています。

   

■『笑いと逸脱』(山口昌男/筑摩書房/定価1,500円)
 筑摩書房って「いい本,出してるよなあ」と,結構思います。この本もそんな1冊(四六判・340ページ/1984年1月初版)。
 
この本には山口先生がいろいろな雑誌やチラシに書かれたこと,講演で話されたことなどがまとめられています。言い方は悪いですが,要するに“そこら中に書き散らしたもの,喋りっぱなしだったもの”をまとめて1冊にした本です。というわけで,読者対象・話し相手がまちまちで,与えられている分量も様々なために,記述されたことのレベルや分量が色々。“書籍版・山口昌男屋台巡り”といった様相。ただ,山口先生にまつわることで,屋台を揃えるならイラスト屋さんも出店してほしかったなという気がします。表紙(表・裏)と本扉には山口先生が書かれたイラストが入っておりますが,基本的に文章ばかりで作られているのがチト惜しい。レイアウトは1段のページと2段組のページが混ざっており,このテの書籍としてはやや凝ってリズムを出そうとしているところなどは,さすがに筑摩書房の編集の方のセンスなのか,先生の好みがよろしい気がいたします。
 
さてさて,とはいえ,この本は楽しく読めました。山口先生の表紙のイラストがいいですね。それと,本の中でも何度か語られていますが,先生は小さい頃「泣き虫」だったそうで,それをイラストにして本の扉と本文の文末に入れておられます。この「泣き虫だった」というのは,先生のトラウマになっている風ですが,それについては本文では当然かもしれませんが(照れくさいですものね,普通),深くは語られておりません。
 
『文化と両義性』を読んだ後なので,「『文化と両義性』で書かれていたことを易しく言うと,こういうことなのか〜」とか,「同様の視点で見るとこう見えるわけかあ〜」といった,サブテキストのように読めました。私の学習は大体こういうパターンでして,1回本を読んだだけでは理解できず,いろいろな言い方で,同じような内容のことに繰り返し接しているうちに,いつしかやっと身に付くという感じです。山口昌男先生的視点が,これでまた少し身に染みているとよいのですが…。


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