近頃の読書(021215)
 またまた経済学の入門書を読みました

  

■『大人になるための経済学入門』(南山大学経済学部編著/NHK出版/本体1700円)
 南山大学で経済学を教えている先生方25人で執筆された本。力作です。通常これだけの先生方が執筆すると,話の流れが滅茶苦茶になりがちですし,トーンもいろいろということになるハズなのですが,この本はまるで1人の著者が書いたかのように読んでいけます。執筆者代表の中矢俊博先生をはじめとする編集委員会の先生方がしっかりチェックされた成果でしょうか,それともNHK出版の優秀な編集部員のお力でしょうか。いずれにせよ,両方ですかね? 大したものです。盛本康成さんのイラストも面白かったり洒落ており,いい出来だと思います。
 いろいろな角度からの経済学の入門書でして,通常のミクロ・マクロのほか,国際経済,金融・財政,経済史,環境経済,労働経済なんてところまで話が及んでいます。先生方が相当苦労されてるなあ…と思うのは,数式・グラフがほとんどないことです。これはこれですごい試みで立派だと思いますが,一方で,おそらくこの本は南山大学の経済学の初歩のクラスで教科書に使われるのでしょうが,うーん,これは中学か高校で使ってほしいという気もします。難しい数式はともかく,やはり大学生以上が対象であれば,せめてグラフは入れたほうがいいんじゃないでしょうか。需要曲線・供給曲線をいちおう見せて,右肩上がりってどういうことなのか,右肩下がりってどういうことなのかを話すのは面倒ですが(グラフを見ただけで放りだしてしまう大学生が多いのも事実ですが),それを理解させた上で厚生経済学の基本なんてところをやると,経済学してるぅ〜って気分になりますし,1次関数すら避けて経済学をやるというのは,やはりイカンだろうと思ってしまった次第です。実際に建築はできないで評論しかしない建築専門家を養成するための本かな? という感じです。
 これだけの幅広いテーマを扱っているので,読み応えはあります。確かにここに書いてあるぐらいのことが話せれば,「大人」として結構イケてる部類に入ると思います。南山大学の学生さんには,この後,やっぱり経済学の道具を使って,いろいろなコトを考えるような学習をしていただきたいと思ったことでした。いちおう「大人」のサラリーマンのわたくしとしては,読んで損はない本でした。約300ページ。南山大学の先生方,お疲れさまでした。ありがとうございました。それと,
実はこの本は頂き物でした。ありがとうございました,Nさん。


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