『経済学を知らないエコノミストたち』野口旭(021001)
 このところ偶然ですが,経済学者の方の本(『高校生のための経済学入門』(小塩隆士/ちくま文庫)『自由と秩序 競争社会の二つの顔』(猪木武徳/中公叢書))を続けて読んでいる形になりました。今回もおいしい読書でした。

  

■『経済学を知らないエコノミストたち』(野口旭/日本評論社/本体1,800円)
 野口旭先生は1958年生まれ(げ。私と同い年)で専修大学経済学部の教授です。近年いろいろなところでお名前をお見かけし,気になる方だったのですが,ついにこの刺激的タイトルにひかれて(実は動機は『まれに見るバカ』〈勢古浩爾/洋泉社〉を手に取ったときと大差ない感じでしたが),ご著書を読むこととなりました。この本で先生はいろいろな方の実名を挙げつつ,財政金融政策,国際経済につき,非常に興味深いお話を展開されています。先頃,金融担当相を兼任することとなった竹中平蔵経済財政金融担当相は「竹中氏の「サプライサイド政策」は政府が本来なすべきことをあえて無視し,政府が実行できる保証のないことに挑戦する試みに見える」と言われております(ただし,これは2001年10月に書かれた記述です)。超有名な野口悠紀雄先生や斎藤精一郎先生のご意見にもかなり厳しいコメントがされています。私には,いずれも野口旭先生に随分「分がある」ように思えました。こういうネタを先に振ってから,マクロ経済学の講義をしてくれる先生に習いたい。

 この本で先生は,デフレ・ギャップ(=需要不足)が存在している状況下では「マクロ政策なき構造改革は無意味である以上に危険である」「需要の不足の現れである「デフレ」の克服に,なぜ需要ではなくて「供給の強化」が必要なのか」といったことなどを述べておられます。「フムフム確かに」という感じ。

 最後の部分では,このデフレ(=日本経済の現状)は,「失業や倒産の増加,物価下落の進行という,古典的な意味での不況である」(P209)から,「現在危惧すべきは,それが倒産の頻発そして失業の拡大という,古典的な恐慌に転化していく可能性である」(P209)とし,あらゆる問題の元凶であるデフレの克服こそが最優先されるべきとしています。これはもっともだと思います。デフレが克服されなければ金融不安も解消しないし財政収支も改善するはずはないんですね。ではデフレの克服に何が必要かについては「内外の専門家の間ではもはや自明である」とし,「○○である」と書いてあります。ここでは○○は書かないでおきます。皆様ぜひ実際にお読みになってください。おススメです。


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