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『吉田松陰 上巻・下巻』童門冬二(020908)
久しぶりに童門冬二先生の小説を拝読しました。
■『吉田松陰 上巻・下巻』(童門冬二/学陽書房/本体・各1,600円)
小泉首相の推薦された『米百俵』ではありませんが,やはり,苦しいときは我慢して教育・勉強じゃあ…なんてことを思っております。幕末の教育といえば,吉田松陰の松下村塾。こういっては何ですが,山口県の小さな村の塾から明治維新の核になった人物が多数出たことは驚異ですよね。
塾生は物事を学ぶ基本的姿勢を松下村塾で学び,学んだことを発揮する場と時代があり,経験を積んでどんどん成長していったのでしょう。現代の松下政経塾も,同じようなことを目指しているのでしょうか。それはともかく。
この小説では吉田松陰の成長の過程を追いながら,塾生との関わりなどが描かれています。松陰の人との接し方が語られる部分では随分参考になることが書かれています。つまりは,「一期一会」ということですが,先入観を持たないで人と接する,共に学ぶ姿勢を持つということが強調されています。頭ごなしに知識を詰め込もうとしたり,指示をしないということも参考になります。大袈裟に書かれてはいませんが,この小説を読む限り,松陰の最期は納得の行くものではなかったようです。進んで死に向かっていったような気もします。この辺,胸が痛みます。松陰の歌。
身はたとひ 武蔵の野辺に朽ちぬとも 留めおかまし大和魂
親思ふ 心にまさる 親心 けふのおとづれ何と聞くらん
ここでいう“大和魂”は,勇ましく戦って散るというものでなく,日本人らしい細やかな心遣いのことでしょう。松陰は1859年(安政6)10月27日にふるさとから遠く離れた江戸・伝馬町の獄舎で斬刑に処せられています。享年29歳。
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