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近頃の読書(020907)
今回の読書は結構渋かったです。いろいろ感ずるところ,考えることの多い読書でした。
■『家族が自殺に追い込まれるとき』(鎌田慧/講談社文庫/本体629円)
電車に乗っていたときに中吊り広告で鎌田さんの本を見つけたとき,テーマといい,「こりゃ買わなきゃな」と思ったものでした。本書は1999年7月に講談社から発行された単行本を文庫にまとめたもの(2002年8月発行)。ここ数年,感度が鈍くなっていたようで,単行本が出たことを全然知りませんでした。鎌田さんの作品をまとめて読んだことはないのですが,雑誌などに掲載されたものを読んで,すごい人だなあといつも思っていたのです。現場にどっぷりつかって,深く考えて物を書かれる方だなあ,というのがこれまでの印象。これは絶対変な興味本位の本じゃないなと確信して購入。読めてよかった。
予想通り,本当に身につまされるというか,かなり真剣に読みました。ここに取り上げられた話は,“過労死”ではなく“過労自殺”の話です。平たくいうと,仕事上の行き詰まりを原因とした自殺が取り上げられています。大企業・中小企業の会社員,公務員,教師,保育士など,若い人から老年に近い人まで,1人の女性の保育士の例を除いて男性の事例です。亡くなった当人のことも残された家族のことも身にしみました。
真面目に仕事に取り組もうとする人の,どこにでもありうる話ばかり。一方で,いい加減に仕事をしている人は絶対こんなことにならないのだろうなと思うと,何ともやりきれない気持ちになります。
巻末に「悲劇を防ぐための連絡先」として以下が掲載されています。
過労自殺・過労死110番全国ネットワーク(東京)03-3813-6999
東京管理職ユニオン 労働相談窓口 03-5371-5170
■『忘れられた日本人』(宮本常一/岩波文庫/本体660円)
佐野眞一さんが『だれが「本」を殺すのか 延長戦』で絶賛されていたので読んでみました。民俗学者・宮本常一が各地の古老から聞いた話をまとめたもの。確かに名著でした。上記の鎌田さんの本を読んでへこんでいただけに,少し救われた気分になりました。自殺が増えている昨今の日本の状況を見たら,ここに出てくるご老人たちは何とおっしゃるのでしょうか…。ちょっと抜粋。
「昔はあんた,田植を五月にするなんど,考えて見た事もなかった。その上耕耘機なんど,くわえ煙草で田がすける。それで米が倍もとれる世の中じゃ。これで戦争さえなけりゃァええ世の中です」(p.82)
この『忘れられた日本人』で語られているような暮らしを忘れてしまったから,我々は妙に追いつめられたような気分になっているのかもしれませんね。生き続けようと思えば何とかなるだろうと思える時点で,我々にはまだ余裕があると気づかされました。
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