『疾走の志士 高杉晋作』童門冬二(020617)
 元気が出ない,自分のしていることに自信が持てなくなったとき,私は童門冬二先生の本をよく読みます。今回は高杉晋作。

■『疾走の志士 高杉晋作』(童門冬二/KKベストセラーズ/本体1,600円)
 高杉晋作。何でだか,どこで見たのか,私は高杉晋作というと中村雅俊さんのイメージがだぶります。自由で磊落。坂本龍馬のような野性味はないけれど,理想に燃えて時代を駆け抜けていった育ちのいいお坊ちゃんという印象です。実際はどうだったのか,勉強不足でさっぱりわかりませんが,これまで高杉晋作について書籍やドラマなどで私が見聞きした範囲ではこんなところです。このイメージは今回も壊れることはありませんでした。

 今回拝読した童門先生の著書は小説のような仕立てではありますが,小説ではなく,時代を追って晋作のエピソードを取り上げ,場面場面でそれをわれわれはどう考えるかといった作りになっています。

 章立てと節は次のようです。第1章「安政の大獄期に」,第2章「尊皇攘夷の胎動期に」といった具合に全5章。章の中に節があり,その節ごとの小見出しは次のようになっています。「旅は生きた学問だ」「生命を完全燃焼せよ」「組織の中でも自由な精神を持て」「妥協策はまず疑え」など。目次を見るとまるで格言集のようです。このような構成になっていますが,本文中ではこんな晋作の都々逸も紹介されています。

 三千世界の烏を殺し ぬしと朝寝がしてみたい

 いいですねえ。八代亜紀が歌った「沖のかもめに深酒させてよ 可愛いあの娘と朝寝する ダンチョネ〜」ですねえ。ついでに。だんちょね=断腸ねなんですね。ちらっとインターネットで勉強したところでは…。八代亜紀の歌のこの前の部分が思い出せないんで,何が断腸なんだかわかりませんが。

 さてさて,元に戻って。童門先生の時代を見る目,為政者を見る目は厳しいです。しかし時代の流れの中で,組織の中で思うように行かないながらもシコシコ地道にやっている人に対する眼差しは,とても温かいです。私は先生の本を読むといつも背中を支えてもらっているような気がします。「下がっちゃダメだよ。俺が後ろに立っていてやる」と言われているような…。今回もそんな気になりました。いつもありがとうございます,と,毎度のことながら心の中で先生に御礼を申し上げたことでした。


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