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近頃の読書(020412)
体調不良のため集中力がなく,このところの読書は低調です。私の読書時間はおおむね夜なのですが,近頃は横になるとすぐに眠ってしまいます。何か変なんですよね〜。身体も精神も。私には躁鬱の気があって,今は鬱に入っているってことなのかな〜?なんて思います。
■『老松 ある刑法学者の軌跡』(香川達夫/成文堂/本体2,500円)
香川先生は大正15年生まれの刑法学者。学習院大学名誉教授。司法試験委員も歴任された法学博士です。私は刑法もきちんと勉強したことがなく,もちろん教科書もまともに読んだことはありませんが,ご縁があって『ベーシック判例 刑法』(システムファイブ)という,エッセイ風の記述で,判例を題材として刑法的なものの見方や考え方を学ぶ本を拝読したことがありました。香川先生の書かれる文章は独特の味わいがあり,本当は学問的深みもかなりあるものと思われますが,深みのほうは私にはよくわかりません。新聞広告で先生が『老松』という本を出版されたことを知り,早速j-BOOKで購入。B6判・182ページでこのお値段はチトお高いですが,失礼ながらそう部数が出るとも思われず,致し方ないところでしょう。4章35編の文章が収められ,先生の若い頃からの学者修行の様子などが語られています。
普通の読み物としても面白かったですが,私は特に第4章時事評論としてまとめられた中の,「解釈は穏やかに」「ポポロ事件判決に思う」「公害犯罪」「尊属殺違憲判決の意味」が印象的でした。法の安定性(特に刑法ですので)には十分配慮せよという,先生の強い信念(先生は縦糸横糸などとも表現されていますが)がよく現れていると思います。感情論に流されがちなこの国のあり方を見たり,まるでそうした国の縮小版であるかのような企業組織にいると,こういう論理的なものの考え方ができなくなるような恐怖を抱かざるをえません。この本を読んだ後は,何だか頭の中の血の巡りが少しよくなったような爽快感がありました。まさに『読む薬』みたい。先生におかれましては,健康にお気をつけていただいて,変てこなことがあったら,これからもどんどんご発言いただけばと思います。
なお,出版元の成文堂は法律関係の書籍をたくさん出している会社です。法学部の学生さんなら本棚を見れば1冊ぐらいはこの会社の本があるのではないでしょうか。そういう会社の本なのに,誤植が多かったのがちょっと残念(私がこれまで読んだ中で「誤植の多さベスト5」には入ります)。とはいえ,変な話ですが,残念な一方で,久しぶりに誤植の多い本を読んで「やっぱり本って手作りのものなんだよなあ〜」と改めて懐かしいような愛おしいような気もしてしまったことでした。
■『こいつらが日本語をダメにした』(赤瀬川原平・ねじめ正一・南伸坊/東京書籍/定価1,400円)
山積みになっていた本を書棚に無理矢理しまっていたら,この本が出てきました。オークションで購入していたものですが,読み忘れておりました。出版元は教科書で有名な東京書籍(1992年発行)。こんな本も出してるんですね。ちっとも知りませんでした。装幀は南伸坊さん。左がカバー表紙,真ん中が本扉。のっけからこういう工夫がしてあり(たいていはカバーと本扉は同じですよね。文字だけ流用というのも少なくない気もしますが)タダモノではないオモシロソーな雰囲気。「のどから手が出る」「どんぶり勘定」など,日常使う言葉をネタに,3人であーだこーだと語り合い,後はそれにあった面白い写真を入れるというのが基本構成。写真は右にあるように(ねじめ正一さんがのどから手を出している),「いいオトナがこういうアホなことして〜」という私好みの「遊び好き丸出し」でヨイのですが,本文は残念ながら期待したほどではありませんでした。私は,ねじめ正一さんの「ねじめ」は本名で漢字で書くと「禰寝」とか「ケツの穴が小さい」に関する以下の部分(175ページ)が面白かったです(このサイトからリンクを張らせていただいている,片田征夫さんにもウケそう)。あとはいくつかコソッと笑わせていただきました。
■ねじめ 九州の海賊たちはなめられちゃいけないっていうんで,(手を広げて)こ〜んなぶっといウンコを海に流したっていうじゃない。おれたちはこんなにすごいんだぞって,相手をおどかしたって。
■赤瀬川 ありそうだね。
■南 日本軍もそれやったらしいよ。
馬鹿馬鹿しい本を作るのもなかなか大変。しかし,そういう本を作ろうという基本的な姿勢は大いに支持させていただきますので,お三方におかれましては今後もくじけることなく精進していただければと願います。
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