●入院生活(1)
入院して2週間もすると,随分病院生活に慣れてきます。当初怖そうだなーと思ったおじいさんは,無口ですが案外気のやさしい方だとわかりました。若い看護婦さんに,何かの薬の副作用で毛の抜けた頭を,「あらあ〜,随分生えてきたじゃない」となでられて,「デヘヘ」とにやけているのを目撃したのでした。この人は私が入院してから1週間ぐらいで退院していきました。同部屋の患者さんは,結構入れ替わりがあり,同年代同病のSさんによれば,「この部屋で一番長くいるのは俺なんだよ」とのことでした(そのSさんは1か月のお付合いぐらいで退院されました)。いろいろな病気の方がやってきては退院と転院で出ていき(死別が一度もなかったのは幸いでした),最後には,確かに私もその部屋で一番長くいる患者になってしまいました。

入院患者は喫煙場所や食堂で情報交換をします。いろいろな噂話が飛び交います。自分の病歴や他の人の容態などが中心です。同病の方の様子を聞くときはもちろん真剣に聞きました。他の病気の方で自分より容態の悪い方の話には正直言って,癒されてしまうことが多かったです。病院ですから癒されるなんて言っていられない気の毒な話も山ほどありました。一方,馬鹿話も多いです。心からの大笑いというのも何度もしました。患者同士のこうしたコミュニケーションが,かなり精神的にはよかったと思います。これは副作用がそれほどきつくなかったおかげです。私の場合,肋骨の痛みとインターフェロン投与初期の急な発熱が収まってからは,夕方,若干発熱する以外はほとんど健常者と変わらない状態でした。

入院中は同部屋の人はもちろん,他の部屋の患者さんも含め,人間関係がかなり大切です。患者同士の喧嘩はしょっちゅうあります。私は幸い,それほど不愉快な思いはしませんでしたが,それでも何度か年上の方(内科病棟ですので9割方は50歳以上の方のようでした)に文句を言ったことがあります。元気な患者ばかりでない部屋で,自宅にいるのと同じように振る舞われては困ります。夜中にいきなりテレビをつけて大きな音で聞いたり,やたら部屋を出入りされたときなど,「若い元気な病人」として,他の病人の方に代わって抗議しました。ストレスを抱え込むのは病気によくない…というわけで,これはもちろん自己防衛でもあったのですが…。

手紙2:会社の人への手紙

手紙3:友人への手紙

●予定変更
インターフェロンの投与を始めて3週間が過ぎた頃,再度予定が変わりました。当初は4週間毎日,その後20週通院して1日おきに注射ということでしたが,入院期間を伸ばして8週間連日投与し,その後16週は通院して1日おき,ということになりました。また,できれば通院期間中は自宅療養が望ましいとのこと。

これは,大ショックでした。会社に何といったらよいのか…。実は入院の際に,1回診断書を会社に提出し,さらに入院が長引くというときにも診断書を提出させられていました。今回も当然同じ手続きを踏まねばなりません。予定がきっちり決まらないため,人事担当者は不審に思っている様子で,この再変更を知らせるのは気が重かったです。とはいえ治療については無理をしたくありませんでしたので,予定変更を伝えた上,長期欠勤することとしました(家計はなんとかなるであろうと楽観していました)。また,長期欠勤をするとなれば,進退について会社にお伺いを立てねばなりません。微力ではありますが年長の管理職が長期間欠勤すれば業務上支障が出るのは目に見えており,別の方に私のポストを引き受けてもらうのが相当と考える旨も伝えました。

手紙4:会社への手紙


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