左手の拡張
 

なぜ拡げるのか?

 正確には「左手の指の拡張」です。つまり指をより広く拡げるのです。なぜ拡げなければならないのか?その理由のひとつは指板の認識をより拡げるためです。ですから「私は東洋人で手が小さいので指が拡がりません。ですからそんな練習はしたくありません。」結構です。拡がらなければ拡げなければいいのです。
 ただしそうすると指板の認識も拡がりません。音の跳躍が激しい時に頭の回転がついて行かなくなります。説明は難しいのですが楽器の指板にはC,D,E,F....とかドレミファなどと書かれてはいません。のっぺらぼうです。もっとも書いてないと弾けないというのでは曲の速さにはついて行けないでしょう。
 「そんなことは判っているさ」といってもどれだけ早く出したい音のフレットに頭がついていけるか?....ううむ、やはりうまく説明できません。兎に角一度は練習してみて下さい。それからあなたの結論を出して下さい(私を信じなくてもいいですよ)。<--何を言ってるんだか?
2 上級 左手の拡張
 

長三度まで拡げる

 今までの解説では下図の様に指は短三度に拡げていました。右はその譜面です。1,2,3,4は左指の番号でしたね。

 今度は長三度まで拡げると下のようになります。拡げにくい人はハイポジションでやってみて下さい。

 実は指を拡げる理由のひとつに、動かしにくい、コントロールしにくい薬指をどうしたらいいのか?という問題と関係があります。
 皆さんは苦手な教科の勉強はどうしてましたか?学生の人は今でも悩んでいるでしょう。
 多くの日本人は「苦手な教科を克服せよ」と考えるでしょう。でもそれはいちばん楽な解決法なのです。苦手部分はそのままにして、得意部分は誰にも負けない様にする方がよほど難しいのです。勿論どちらを選択してもかまわないのですがここでは後者を選びます。つまり薬指をあまり使わずにスケールを弾く練習をするのです。難しいですよ。でも苦手な薬指は克服しなくていいのです。
 そうすると下のようになります。ドレミです。薬指は小指を使うとき自然に弦に触れて下さい。

 次は2弦も使います。ドレミファソラです。

 4弦を使い下降します。下のソから上昇しているとも言えます。

 これらをまとめて、さらに高い音を含めますと下のようになります。ポジション移動が一カ所あります。左の図で白い印の場所で小指(4)で押さえている部分です。小指をスライドさせるような気持ちで7から9フレットに移動させます。

 このポジション移動は単なる一例に過ぎません。例えば下降するときはソからファへ移動するときに人差し指をスライドさせるようにポジション移動をした方がいいでしょう。またペンタトニックでは全く違ったポジション移動があります。次のセクションからは実際の練習です。

3 上級 左手の拡張
 

メカニカルな練習

 指が広く拡げられないと言うのが現実だと思いますので、暫くは次の練習を一日5分間続けて下さい。指を拡げるのが困難な場合はハイポジションで練習して下さい。

 上記の練習を左の様に三連で練習します。1分間は休まずに練習して下さい。Bbが出てきますがこれは音楽的な意味はありません。肉体的訓練のために出てきただけです。
 

 今度は4つ刻みです。同じ様な練習でも刻みが変わるとアクセントを付けようとする気持ちが変わるので、このように練習に変化を付けることは意味があります。
 これ以上は言いませんが(といいながら言ってる)5つ刻みや三拍子に変えたりすればそれも練習になります。

4 上級 左手の拡張
 

菱形アルペジオ

 上の図のように菱形に並ぶ4音はマイナー7の構成音になります。
 練習用譜面は右に記しました。3通りしか用意していませんが、皆様が独自に膨らまして下さい。また、5弦楽器の場合だと太い弦の方にさらに太い弦(B弦、第5弦)が張られているわけで、そうするとB弦の5フレット目から菱形を始めるとEm7になりますね。それに前出のDm7を重ねると菱形がそろばんの玉のように重なります。そういったものも練習してみて下さい。
 
 

 さて下図の様にEm7 の下にAm7を置くとAm11となります。9thも含まれていますね。菱形の斜め並びとでも言いましょうか。5弦楽器ではさらにもうひとつ連結させることが出来ます。6thの音が含まれますが、Aドリアンスケール上では全ての音がダイアトニックです。

 4弦楽器での練習用の譜面を用意しました。左手の指使いは分かりやすいものを掲載しました。これがいちばん良い指使いとポジション移動という訳ではありません。寧ろそうではないでしょう。同じ中指でポジション移動は辛いものです。2-2と続くところです。実際に曲の中での使われ方によるので、この指使いは単なる一例と思って下さい。
 五度の組(一対)

 例えば最初の2音、A,Eは完全5度です。次の、C,Gも同様です。この様に5度の対で音を捉えています。
 上の譜例は基本アルペジオです。下は可能な限り5度の対で埋めています。最後の対は6度の音が含まれるので休符に代えて練習してもいいです。

5 上級 左手の拡張
 

ジャコに見られる例

 曲はドナリー(ESCA5739 アルバム名"ジャコ・パストリアス")でインプロビゼーションになってから15-16小節目です。三連の4つ刻みです。最初の16分音符を除けば24コの音符がありますが、24=8x3というように8コの音符で一組です。右の図は最初の8つの音を表しています。ダブりがあるので●(黒丸)は6つです。
 厳密に言うと先ほどまでの話の流れとは少々異なります。なぜなら、初めの4つの音は4242の指使いでなく4221にすればワンポジション(ポジション移動無し)で済みます。さらに次の4音も同一ポジションで済みます。
 しかしそれはかなり奏法として困難だと思いますが皆様はどう思いますか?「そんなことはない。」と思われる方はそれも練習してみて下さい。
 指使いは右の通りになります。いずれにしてもあとは8音の組を完全5度ずつ下げて行けばいいのです。最後の1音は1の指です。
 気付かれましたか?薬指はまったく出てきませんでした。
 次のセクションで「左手の拡張」は終わりです。


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