ハーモニクス
 

開放弦の1/整数の所を押さえる(natural harmonics)

 注意この章で「およそ」とか「大体」などという大雑把な言い方が出てきます。これは純正律と平均律の違いによるものです。ですから読者はこの違いが分かっているものとして話を進めて行きます。分からない人は理論の「純正律と平均律」を読んで下さい。
 前章と同様にこの章で扱う奏法は特殊奏法であってすべてのベーシストに必要な奏法ではありません。必要な方のみ練習をして下さい。
 さて開放弦を基音としたハーモニクスがいちばん出しやすいのでそれから解説します。12フレットの上を左手の指で軽く触れて出すハーモニクス(倍音)を第2倍音といいます。この時12フレット上を節(ふし)といいます。言い換えると12フレット上を節とするハーモニクスを第2倍音といいます(このときの節の位置がちょうど開放弦の1/2にあたる位置ですね)。弦は図のようにS字形に振動し節の位置では振動がありません。指で押さえているので振動が抑えられているのです。
 この12フレット上は普通に押さえて右手の指で弾いてもハーモニクスとして音を出してもどちらも同じ高さの同じ音が出ます。勿論、同質の音ではないので全く同様には扱えません。ただ、そうだということとして覚えておいて下さい。(第2倍音は開放弦のオクターブ上の音が出る)
 

 そして譜面では右のように記します。下のAは第3弦を弾くことを表し菱形の音符がハーモニクスを表します。節の位置のみを表していて音の高さは表してはいません。ただしこの場合は偶然に実際の音と一致しているだけです。
 

 弦の1/3のところを節とする第3倍音は7フレット上にあたります。偶然とは恐ろしいものでオクターブの違いこそあれ7フレット目はハーモニクス奏法でもしっかり押さえて弾いても同じ音が出ます。例えばA弦の7フレット目は押さえて弾くと譜面の菱形の音符のようにE音が出ます。ハーモニクス奏法では「実際の音」で記したようにオクターブ高いE音が出ます。覚えておいて下さい。
 

 さてここで使える実例を挙げておきます。最初のCの四分音符はE弦(第四弦)を実際に押さえて出す音であることを表します(ハーモニクスではない)。中指で8フレット目を押さえて下さい。次のハーモニクスは人差し指で7フレット上に触れて3つの音を出します。
 右手の指はその曲の流れで色々考えられますが、ここでは一例を示します。C音は親指で弾き、その後すぐに人、中、薬指の3本でハーモニクスを出します。4音同時でもいいでしょう。

以下の指板図も殆どがクリックすると音が出ます。

 これを指板で図示すると左のようになります。黒丸が実音で白丸がハーモニクスになります。ハーモニクス(白丸)は丁度フレットの上に描いてあることに気が付いて欲しいぞ。いとしのママママイダーリン。しかしこう描いてみるとタブ譜の様な物の方がハーモニクスを示すには五線譜よりもずっと判りやすいですね。ただ、何の音が鳴っているのか判らないといけないので五線譜も大切です。
 おっと、大切なことを忘れてはいけません。このときのコードネームは何でしょう?答えはこのページの下の方に書いておきます。
 このセクションの最後の実例を指板で示します。使う左指は中、小指の2本がいいでしょう。これはコードネームを皆さんに当てて頂くことで解説は省きます。さてコードネームは?

2 上級 ハーモニクス
 

さらにその上の倍音(ハーモニクス)

 第4倍音(5フレット上)

Bbmaj7またはBbmaj6

 第5倍音(4,9フレット上)

Bmaj9またはBadd9

B

F#

Cmaj#11

A69

  Gmaj9#11

3 上級 ハーモニクス
 

さらに実用的な応用

 このように開放弦から生成されたハーモニクスはナチュラルハーモニクスと言いますが、開放弦を元にしている以上は出し易い音、出しにくい音、出ない音が存在します。すぐ上の例でGmaj9#11がありましたがこれを半音ずらしてG#majにするという訳にはいかないのです。そんなことはもう判りますよね。ですから実用的な例で考えて行きたいと思います。
 応用例は普通の4弦の楽器で表します。5弦や6弦ではもう少し幅が広がります。

 メジャートライアド
 Dmajです。構成音はD,F#,Aです。Aは3フレットよりやや右です。図でそのように表しました。しかしこの3音は同時には出せません。どうしたらいいでしょう?
 
 

 薬指以外の3本の左指でこの3つのハーモニクスを出すのです。これならDmajが同時に出せます。但しA音はオクターブ低い音になります。さらに3音を出した後、4弦でDの実音を出せば安定したDトライアドの完成です。
 
 

 こうするとC#が含まれてDmaj7になります。人差し指と小指で押さえましょう。人差し指は反らす感じで1弦に触れないようにします。4弦のD音を合わせるとかなりいい感じです。
 
 
 

 Amajならばこのように平行移動です。
 
 
 

 Amaj7です。

4 上級 ハーモニクス
 

Gmaj7での応用

G 上から順に変化させると同じTonicまたはSubDominant系のGメジャーのコードに変化を与えられます。ジャコパストリアスのトレイシーの肖像という曲中で聴けます。
Gmaj7
G9(#11)
Gmaj7
5 上級 ハーモニクス
 

E,Emでの応用

 そろそろ言っておきますが、この応用というのは例に過ぎないのであなた方がさらに応用例を作っていって下さい。えっ?言われなくても判っているって?ごもっともです。
 E7#9です。4弦の開放弦を弾いた後に4つのハーモニクス音を出すといいでしょう。3弦は第7倍音でG音になります。1弦もG音ですが倍音というのは純正律で発音するのでこの2つのG音は微妙にピッチが違うので唸りを生じます。これも味のうちです。左手はギターでのE7#9のコードフォームに似ていますね。
 

 Em69です。4弦は開放弦(E音)を表します。

6 上級 ハーモニクス
 

Dメジャースケールでメロディーを...

 移動ドで表しました。ドレミファ...と上がっていきます。最後のシドは出しにくいのでこの2音だけは実用には向かないかも知れません。

 下降です。ドシラソ...です。ファは1弦の12フレット上の第2倍音です。

7 上級 ハーモニクス
 

人工的なハーモニクス(false harmonics)

 開放弦を使わずに出すハーモニクスです。左手で指板を押さえその12フレット上を右手の親指側面で触れ中指で弦を弾く。これは弦の1/2のところを節とする第2倍音のことです。
 例えば5フレット目を押さえたら17フレット上に親指を軽くあてます。これはいちいち足し算をして親指をあてるのではなく、自然と...感で...慣れで...といった感じです。メロディーは弾きやすいですが右手の位置と構え方が独特になるので普通奏法の流れの中には入れにくいです。そこで右手の奏法を変えずに出したいハーモニクスを出す奏法を披露します。
 さて開放弦を使ったハーモニクスでは出せない音を出したいとき、例えばEbをハーモニクス音として出したいときに出す方法で説明します。
 指板上で出したい音のポジションを見つめます。Ebならば例えば3弦の6フレット目です。そこを左手小指で触れます。次にそこから長三度下のポジションを見つめます。この場合は3弦2フレット目です。4フレット分下といってもいいでしょう。そこを人差し指でしっかり押さえます。そして右手で3弦を弾いてハーモニクス音を出します。これはEb音です。しかも人工的第5倍音です。

 解説します。開放弦の第5倍音は4フレット上でした。これを開放弦を使わずに出す方法だったのです。左人差し指で押さえた位置を開放弦の0フレット(ナット)と考えて第5倍音を出すのです。



答えはC69、Bbmaj7#11です。
 
以上。

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