音価とタイミング
 

ノリ

 ノリが良いとか悪いとかよく人はいいます。ノリが違うともいいます。ノリは「乗り」と書くと思います。つまり、流行に乗る、波に乗るなどと同じです。リズムという流れにうまく乗るにはどうしたらいいのでしょう。因みにrhythmとriverは語源が同じで流れているものだそうです。
 曲を始めるときよくドラマーがカウントをとることがあります。「ワーン・トゥー・スリー・フォー」のあれです。このカウントは少なくともテンポとそのタイミングを表していることはわかるでしょう。でも、それだけだったら機械音でピーピーピーピーと鳴らすだけでもいいわけですね。でも良いカウントはそれだけでリズムを表しています。カウントにもノリの良し悪しがあるのです。
 結論を簡単にいうと、ノリとは1つの音符の音価とその音符の前に付く音符、装飾的音符(装飾音符ではない)のタイミングということです。詳しい説明を以下のセクションでいたします。
2 中級 音価とタイミング
 

タイミング

 音価とは音符の長さをいいます。四分音符の2倍の音価を持つ音符は二分音符ということになります。で、その音を出す瞬間をタイミングと呼ぶことにします。ですから譜例1と2ではタイミングが同じで音価が違うということになります。タイミングは矢印で表しました。
 普通、譜例2を見ると「付点四分音符と八分休符を合わせて2拍分の長さになる」と考えますがそんなことは当たり前です。ここは中級です。「この八分休符は次の音符に対する装飾的休符だ」と考えます。ですから譜例1を忠実に弾こうとしてもノリは出せません。そこで、譜例1を見て譜例2の様に弾いても良いのです。その方がノリが出せるのです。いつでも半拍休め!と言っているわけではありませんから間違えないで下さい。
 さらに装飾的休符を装飾的音符に変えたのが譜例3です。さらにさらに装飾的休符を加えたのが譜例4です。基本的にはこの4つの譜例は皆同じと考えていいと思います。大切なのは矢印の付いた音符のタイミングは正確に弾くこと、装飾的音符、休符のタイミングがノリを表す、この2つです。
3 中級 音価とタイミング
 

練習

 この練習は音の高さは問いません。タイミングと音価は正確さを必要とします。出した音を止めるミュートの方法は自由ですが必ず音を止めて下さい。尤もミュートの方法はまだ解説していませんが、次の章にまとめて解説します。下の譜例のようにAの音を3弦の開放弦で出すのなら左手で軽く弦に触れてミュートするのがいちばん良いと思います。
 楽器が近くにないとき。例えば、電車の中、入浴中などは声に出して練習してみて下さい。電車の中では心の中で声を出すか、歯を噛んでやってみて下さい。歯と歯が触れているときが音が出ているものとしてカミカミするのです。

4 中級 音価とタイミング
 

裏と常套リズム

 1拍の四分音符は2つの八分音符に分けられます。このとき最初の八分音符を「表」、後を「裏」といいます。この2つの八分音符はさらに4つの16分音符に分けられます。これらにも「表」「裏」がありますから、「表の表」「表の裏」「裏の表」「裏の裏」と呼べます。
 これはなにも1拍に限りません。4拍子の1小節分ならば1、2拍目が「表」で3、4拍目が「裏」さらに.....となります。
 3拍子ではどうでしょう?三連符ではどうでしょう?1,2,3のうち3番目が裏にあたります。2番目は「やや裏」といった中間的な位置にあります。テンポにもよりますが、速いテンポでは三連の2つ目を演奏することが困難になってきます。そうなると、2番目の音符は表も裏もあったもんじゃありません。考える必要もないでしょう。速い4ビートジャズのインプロヴィゼーションなどでよく耳にします(耳にしないのか?)。
 さて、この「裏」がどうだというのでしょう?この章の最初にノリの話をしましたが、結局ノリは裏で表現されるということが賢明な読者なら既に察しがついていることでしょう。そうなのです、裏を征する者がノリを征するのです。
 メトロノームでカチカチと1拍を刻ませて八分音符を連続的に弾くということは、自分の感を頼りに裏を演奏していることになります。ならばカチカチを八分音符にして練習したら、裏の演奏の練習になるかといったらならないのは言わずもがなですね。
 表だけでは、表、表、表....。変化がありません。裏があるから、表、裏、表、裏、裏....などと変化が生まれるのです。進歩するのです。これは哲学者ヘーゲルの弁証法的考え方に依ります。この弁証法的思考は大切で、後々にも出てきます。覚えておいて下さい。
 前セクションでは殆ど裏の練習だったと思います。自分でも譜面を作って練習してみて下さい。しかしキリがありませんね。そこでよく使われるリズムパターンを掲載しておきます(前の練習で既に出ています)。これらは練習しなくて結構です。そのかわり、覚えて下さい。そのほうが厳しいかな?
 覚えるというのは、そのリズムパターンが出てきたときに何も考えずに演奏できるということです。この際、音程は考えに入れません。譜例では音程が変化してしていますが、これは常套句としてありがちな例として掲げました。さあ覚えて下さい。
以上。



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