1 企業統治

見張り、恫喝管理から、やる気の湧く社員を認める評価制度、目標管理へ

1−1 怒鳴っても逆効果

 上司が怒鳴っているのをよく見るが、あれは全くの逆効果だろう。
なぜならば、いかに能力が高いとて、上司の体は一つしかない。したがって、部下達の現場に居合わせることは不可能、ということは怒鳴れるのはごく一部の当面策についてだけであって、全体への根本策、すなわち、再発防止策ではない。
現場の彼らが、やる気もなく、動機もなく、目的も理解せず、いわれたことをいやいや行っていては、その遂行度が必要を満たせるわけもない。
そのうち、部下達は給料とは怒鳴られる我慢代と解釈するようになるだけである。
威張るのが起業目的なら、それは果たしてはいるが・・・。
見張り、恫喝管理がいかに効率が悪く、逆効果であるか、それが悟れないリーダーはその資格がないのは歴史上の事実である。
組織の活性化による継続とは、目的、情報の共有、そして貢献度評価が不可欠なゆえん。
入社する時は待遇で入り、辞めるときは叱咤はあっても激励がない、すなわち、認められないから辞めるのだから。

1−2 悲しみに気付いて欲しい

 ワンマン経営ゆえの社員達の悲しみと諦めが分からない裸の王様の場合。


 手伝わせてやってください

  忘年会でスピーチする社長の話を聞き、今朝になって気が付きました。今までに色々申しましたが、何を伝えたいのか隔靴掻痒の極みに達していたのですが、それが判りました。それは社員達の悲しみに気が付いていないのだなということです。
 皆、社長に、頼まれなくて、信頼されなくて、認めて貰えなくて、褒めて貰えなくて、考えを聞いて貰えなくて、即否定されて、無視されて、悲しいのです。
 そんなことはないと言下に否定されるでしょう。
  でも、口数が少ない、提案が少ない、云って下さいその通り努力しますと諦めている、酔ってしか云えない、等、の現象は感じませんか。私は感じます。
 
  社長の手腕、事業の方向、皆疑っていません。故に少し頼りないのでしょうが。しかし皆手伝いたがっているのです。
 具体的には何を手伝ったらいいのか判らない。
 取り敢えず営業利益の改善の手伝いはどうかと皆に云っているわけです。
 成長すればもっと手伝わせてもらえるだろうと。
 これは数多くの中の一つです。第一歩です。
 一人前になりたい者の悲しみへの対策の第一歩です。
 皆が感じている暗い雰囲気への対策の第一歩です。
 
 手伝わせてやってください
 
 遅まきながら、ようやく刺さっていた刺を見付けたような気がします。


1−3 報酬のみにあらず

 以下は、創業者タイプ多角経営企業独裁経営者の場合。
この経営者は、社員は力不足で信用できない、一人一人舐めるように育てているつもり、と、自分の指示命令に忠実な組織を望み、結果として見張り管理となり、権限委譲を拒んでいます。
最も問題なのは、社員が認めて欲しい、と望んでいるのに気がついていない点です。


 たかが金、されど金です。企業にとっても、個人にとっても必要不可欠ではあるが全てではない。ただ必要額が高すぎると「全て」になりがちですが。
ただ現状の待遇レベルでは花より団子を望んでいます。曰く、金と暇が欲しい。
であれば、それが可能な計画を示すか求めるかが必要でしょう。
  
 会議で感じたのは、慈父と云うべき考え方の社長を、無茶、無理を云う人としか受け止めない雰囲気です。
給料を振り込まれる権利の反対側には、その給料分「稼ぐ」義務がある事を感じて欲しいのです。そして良く遊ぶ為に、良く働らく、すなわち、短時間高能率を目指せばよいのにと。
 
 教育方法が違うのだと思います。
人材育成は「教え導く」よりも「育つ土壌」(やらせてみての公正な評価システム)を用意すべきと考えます。雑兵が太閤にも成長するような・・・
無論リーダーの資質の有無の峻別と、そのオーソライズが可能な土壌です。
今は例えて云えば、海も川もプールもない、したがって泳ぐ動機を感じさせずに畳の上で泳ぎを教えているのではないでしょうか。
矢張り親亀の背中から水の中へ振り落とす必要があると思います。大丈夫、亀の子は泳げます。千尋の谷へ蹴落とすわけではありません。

 今朝早く目が覚めて、(思案に暮れると夜明けに目が覚めるのが癖です)ふと思ったのですが社長は、やり方、方法についてすべて指示し、それを100%実行させる望みを捨て切れないのではと。
これについては以前、一人で切り回す限界規模について漏らされていましたから、社員からの、この類の質問については否定してきたのですが・・・。  
しかし管理職クラスから、この類の話が多いのも事実です。曰く、社長は自分が常に正しく、社員は能力なく信頼できない、と思っていると。
(私は似たことを中学3年の我が娘に云われて愕然としたことがあります。) 
「そんなことはない、それが証拠に任せ方も変わってくるよ」と云ってきたのですが・・・
ああでもないこうでもないと云うようですが、云わんとしている事は、独裁が効率的な規模と複数或は多数の分身を必要とする規模についてであり、当社は多業種であるが故に後者ではないでしょうかと申し上げています。

 部門長クラスや管理職は泳ぎたがっています。
視野の狭さは勿論あります。社長は山の頂上にいるのと同じですから360度、しかも最も遠くまで見えます。彼らは5合目位でしょうか、視野の狭さを自認もするでしょうし、自認すればコントロールも可能です。 
しかし、じつは、何よりも欲しいのは彼ら自身の誇りが欲しいのです。社長に認められたい、というささやかな望みなのです。


1−4 生存能力養成

 見張り、恫喝管理でやって来た600人規模創業者社長の場合。
顧問として、現場に具体的指導を望んでいることへの返事である。
戦術よりも、先ず、やる気の出る風土を構築するシステム定着が優先である。


 先日はお忙しいところお時間をいただき有難うございました。
時間が迫った為の説明不足を補足させていただきます。
私の手法を実験するため慣れた業種を選んで、と云われました。
しかし慣れた慣れないは私の手法に関連がありません。
何故ならば、「人事評価は、予見、起案能力及び実績によって行う」を認知して貰う作業であり、世間相場と在社時間で人事評価が行われないことを認識して貰い、有能な人には意欲を燃やして貰い、抜擢人事を可能にしたい。
何故ならば右肩下がりの自立自助の乱世に生き抜く為。
副産物として社内に鬱積した抑圧感、閉塞感を払えると思います。

 私の稼業は、根本的な問題の対策が先決です。
現業のノウハウに精通し頭を突っ込むとかえって木を見て森を見ずになると考えております。
御社と身近の事例をあげれば、S精密の加工について私は素人同様で現場の具体的指導は勿論、介入するつもりもありませんでした。
それは根本的な問題とは思いませんでしたから。
問題は矢張り評価制度でしたが、制度を変え抜擢が可能になって3年前から実質的リーダーは30代の人です。
課長以上では入社年次の一番浅い人でした。
現社長が5年後定年で退けば縁戚でもないサラリーマン社長誕生です。
うまく行き過ぎた点を割り引いて御参考に願いたいのですが、このような風土は社内を活性化させると思います。
補足が長くなりましたが、目的を一致させていただいてお役に立ちたく一筆啓上いたしました。


1−5 企業は資金繰り悪化で潰れる


 幹部への書簡。
売り上げ売り上げと連呼している企業は、未収金について管理が甘い。
営業の成果は、売り上げではなく、集金して初めて完結するのを認識させていないために起きる現象であり、回収した金で給料が払われることを認識させていない結果である。
企業は、赤字では潰れない、資金繰りがつかなくなって潰れるのである。

各位

 未収金が問題になっておりますが、普段資金繰りの苦労を知らない者は、どうしても売りっぱなしで回収を疎かにしがちです。
未収や過剰在庫につき、部門長会議では他にも問題部門があったのですが、評価の対象として認識させていないため不徹底のままに終わりました。
意識付けるには矢張り評価の対象となっている事を明示する必要があります。
月次決算に前期比、前月比の報告を義務付けし、評価表に項目を明示し、責任を負っている事を認識させ、実績評価が行われる事を示してはいかがですか。
減点法ではなく、加点法として用いれば効果有りと思います。


1−6 自助精神に目覚めさせられるか

 スポットで依頼されての、部門長との面談報告であるが、社長が二代目で、同族関連会社の利益に頼って独立採算の意思もないことが、現場に無気力が充満した風土である。
社員のやる気なさについては予備知識があったが、経営者に危機感がない見本であろう。

**どの

 約2時間面談の印象。N部長はリーダーとして適材。部門は自助精神に目覚めると期待できる。
初対面ゆえ、部門長としての問題と対策を聞くことから始めました。
曰く問題とするは
1)R、Yの二人。一生懸命やってるというだけで目標を達成出来なくても平気。1、2年のうちに社長に悪者になって貰って、切ってもらわないと示しが付かない。皆に後ろ指を指されている。
2)少数精鋭志向でないと生き残って行けない、社長もその路線できびしい姿勢を示して欲しい、でないと現場できびしさを訴えてもいっこうに効き目がない。
3)成績が上がらなくても世間相場を払うことに問題があると思う。もっとハッキリと査定には差を付けるべきだ。これでは当部門はジリ貧で最後に泣きを見るのは我々だから。
* N部長以下現場では出来高払いの「原則」は理解している言葉だと思います。やはり一番危機感を感じているだけに。
対策として述べたのは
1)社長に部下と<仲良くしないで>きびしく接して欲しい。
2)査定にハッキリ差をつけるべきだ。理由については面談で納得させる。ただ納得を得るためにどうするかについて頭を痛めている。
とのこと故以下の助言をしました。

 対策の2については、評価に納得を得るには仕事の目的を明瞭にし、方法と基準の理解、納得を得、それをを明示することである。
誰がどのような基準で査定したのか、その基準は何故そうなのかの納得を得る必要がある。要は明朗会計を望まれているわけだから。
目的の明瞭化については、個人が待遇の改善を望むなら部門の利益改善額が源資であるから、仕事の目的とは前年比で営業利益、未収、在庫の改善であり、この基準を査定表に項目化し構成比を示せばよい。やり方として現場に案を募り目的に沿うか、測定が可能かの検討会を行えば納得も得られ、また測定が難しい場合精度についても理解を得られる。
こうした上での差をつける信賞必罰であれば、いちいち見張って文句を云わなくても気付くようになる、教育として効果も出てくると思うがどうかに対し、それはいいと思う、やってみる。
まず営業についてT課長に投げかけてみる、その上でまた相談に来るということになりました。
また彼は今の待遇は、世間相場に比べて悪くないのだから、この職場を大事にするよう皆に判って欲しいとも云っておりました。
評価にハッキリ差をつけたいというのは、長としてはきびしい立場も理解しているようです。
これは前回の御社会議でも評価については、改めて議論したいという意見が出た
通り、普遍的な問題として留意すべきと考えます。(席上、黒字、赤字が評価基
準という話がM監査役から出ましたが、改善実績と提案が評価基準ではないでしょうか。)
一方、私が御社内で部課長会議で話し、確かめたところでは、サラリーマンの給与とは、下限は人材確保が可能かどうか、上限は代わりが寄ってくるかが上限、という給与相場メカニズムの話も彼らは理解しております。サラリーマンの報酬も、限界は市場が決めてくれるのです。

 任せて、信賞必罰の納得を得る、どこまで差をつけるかは「足るを知る」ことが出来るかどうかでしょう。
これはもう、永遠の社会問題でもありますが。


−7 理想はボトムアップよりトップダウン

 理想的なのは、トップが提案した案に組織が納得してやる気を出した場合である。
その方が、速度も遂行度も上がるからである。
すなわち、トップにその能力があることが最善である。
現実は、足らざるを補う次善、三善がほとんどであり、それに対応するシステムを構築するのだが。
以下は、依頼され、打ち合わせ中の時期での書簡。

経営管理手法について

社長どの

 先日は社内のご案内を有難うございました。
ただし、部門長以下をいかに自立させるかの、私の手法について矢張り大きな誤解がある、と思われますのでご依頼をお引き受けする前に述べさせていただきます。
それは私の手法が、改善が「目的」であるとの誤解です。また、ボトムアップ策の実施を旨ともしておりません。
改善を志向させるのは目的ではなく、抜本策の必要を覚らせる手段です。
改善では不足だと覚らせ、抜本策の必要を覚らせて、考えさせて、自分たちに良策がない時、他(上司又は第三者)からの提案を、進んで受け入れる土壌を作る為であり、決して改善が目的であり、存続発展の主対策であるなどと考えてはおりません、ただし、当面策ではあり得ますが。
あくまで危機感や問題意識を共有させ、考えさせる手段であります。
計画を要求するのも、危機感や問題の共通認識、共有化で必要な変革の速度を上げるためであります。
サラリーマン稼業を選んだ人達に、紛れなく依頼をし、責任を感じて貰い、必要な変革の理解を促す手段です。
笛吹けど踊らず、旗を振れども立ち上がらない現状、正確に言えば部長クラスは、社長の意を理解し(最近は数字も見ていますから)実行しようとするが、その部下達が踊らないのです。
能力実績共に認めざるを得ない社長、生殺与奪の権限の有る社長、と、それを疑われている部長クラスでは同じ影響力は無理というものです。
「水を飲みたくない馬を、水際まで引きずって行くことは出来るが、水を飲ませることは出来ない」と云われます。
S部長、S部長はそれに似たことをやってはいないでしょうか?部下達は飲んだ振りをしているだけで元気がありません。これは覇道と呼ばれる類で恒久策としては不適ではないでしょうか。
K部長、Y部長は、具体的情報提示を欠いて理解されずにおります。
両現象の共通点は共に、部下の共感度不足がやる気を阻害しております。
目的、情報共有によるトップダウン提案(一遍は対策を問う必要があります、この呼吸が肝心です)が説明責任を果たし、理解、納得を得て、共感した時こそはやる気を生み遂行速度を上げるのですから。
そして、貢献度実績評価がそれを推進します。

 私はボトムアップ策の優先実施を否定します。
理想とするのは、要請したボトムアップ計画の策定過程により、問題が具体的に顕在化し、理解が進み、最善策の選択を容易にし、そこでのトップの提案に納得して遂行が早まることです。
最善策を最速で遂行する、その為の組織、管理を志向しているつもりです。
これが生存能力、競争能力のOJTに適した場を提供し、中途入社の人材が即能力を発揮できる風土であろうかと考えます。
迅速な変革を要求している環境、そして引退を望まれるならば尚のこと、(コノヘンハ怪シイ。院政デハ引退トハ言イマセンヨ)自立自助(特に部門長から下に向かっても)を旨とした管理が必要ではないでしょうか。


1−8 目的、目標の共有

 問題の本質を見極められないリーダーを持った企業は不幸である。
それは、目的を見極めていないからでもある、己の、部下達の、そしてそれが正しいか、間違っているかを。
このリーダーは、共通する目的など持っていないと部下達に思われていた。
以下は、継続のための必要利益を目標とする業務組織でなく、対人関係を最重要視していた組織の人間関係から派生した問題であった。

社長どの

 C部長の直訴状を読ませていただき、営業会議に出席、終了後、B部長と面談、又常務のお話も伺い、判断するに、問題は両部長の確執を重要視するよりも、現状、現場での仕事上の優先基準が、誰が楽をしているか、していないか。
取引先(客先、仕入先)の負荷が、平等に分配されているか、いないか、となっている風土に注目すべきであると思います。
継続に必要な業績を目指しているとはお世辞にも云えません。

 B部長の姿勢は誇れる業績、必要な業績を志向しておりますが、C部長の言動はそうではありません。
当然、B部長の姿勢は、今の風土では部下に受け入れられておりません。
勿論、言い方に対する反発もありますが、当人も最近は反省をしております。
しかし、現状は工夫をして効率を上げ、認められたい、ではありません。
人を増やして楽をしたいという方向のみです。

 これでは業績は悪化の一方です。給料分働こう、利益を改善しよう、という契約の基本に惇る姿勢です。
しかし今、真っ向からそんな説教をしても逆効果でしょう。
バカにされたと背中を向けられるのが現状です。
ここは演説抜きで、継続と待遇改善を望むなら必要な業績はこうだという、過去三年実績などの比較で示すことでしょう。
とにかく今は、効率的営業、経費節約の当面策とともに、抜本的な風土の変革が先決ではないでしょうか?
よろしければB部長と打ち合わせて、案を作成しましょうか?

後日譚:この企業は、トップが交代し、貢献度評価制度を採用して2年で生き返った。


1−9 錦の御旗がなければ 03・12・20

 経営者の現状認識に危機感もなく、決断も遅いために起きた例である。
改革を宣言しながら、後押しが徹底を欠いたために現場責任者が宙ぶらりんとなってしまい、部門長はやる気をなくし、部下達は疑心暗鬼でバラバラ、部門長が辞表を出しかねない状況での書簡。


T部門長が浮いてしまっています。

社長どの

 あるべき姿勢で言うべきことを言う人材が浮いてしまう、弾じき出されてしまう、となれば問題です。
T部門長にその恐れがあります。
必要なのは錦の御旗とデータです。
前者は社長による「出来高払いの原則の徹底」宣言です。これが錦の御旗となり、強力なバックアップとなり、また、データ(収入だけでなく彼らに直接拘る支出,等の実績比較)を現場に明示しないとT部門長の主張は正当化されないのです。
現状は「格好つけてヤカましいや、面倒くせえこというなよ」で無視されかねないのです。
二階へ上げて、はしごを外さないでやってください。
でないと、収支は改善せず、人材を失うことになりかねません。


 後日譚、結局、T部門長は他社に引き抜かれ、残った部門も累積赤字が積もり積もって閉鎖。
社長の打つ手が後手後手にまわったためである。
困らなければ変われないが、それを自覚したときには既に手遅れの場合が多い、日ごろから継続への問題意識が不可欠なゆえんである。


−10 目的と費用対効果 03・12・20

 見張り管理、というより、放任していたというほうが当たっている企業の場合です。
別部門が儲かっているからいいわと、納期対応だけで仕事していた気になっていたのですが、儲からなくなって慌てて対策しているところですが、二代目社長の腰が据わっていないので、すっかり、社員に舐められているようです。
それに向けての提言です。


何か様子が変なので

社長どの

 何か変なのでY部長と面談しました。
というのは、彼が言うことに、社長がコンピューターを代えようと云ったので「今ので間に合うからいいですと云っておきました。なぜなら今やっている売り仕入れのデータで充分だからです」と云って来たからです。
そこで彼の真意を改めて訊いたのですが、彼いわく「それ以上のデータを見せても、どうせ彼らは気にしやしませんよ。今のデータで評価をすれば効果ありますよ。金を掛ける価値ないですよ」と他の支出のデータ不要に固執します。
どうも不自然なので段々聞いた内容から察するに、支出についてのデータ抽出の為に営業、及び内勤者に対し負荷となる要求をして、これ以上反感を買いたくないというのが真相のようです。
部門内で目的の共有が徹底されていないため、指示が通らないという、目先の障害によって、本末転倒になっているようです。
 しかし現状において、収支の改善は重要です。本末転倒的意見をそのままにはしてはおけません。
内容は以前常務が専任されていた時に管理算出されていた項目で充分ですし、手書きからパソコン化すれば改善と評価におおいに活用できます。
ここは社長から、社内に対し目的の徹底をはかり、営業利益ベースの管理徹底として進めれば一石二鳥ではないでしょうか。
勿論パソコン入力は事務量が二割程増えますが、工数不足は事務の合理化で、又は慣れるまでの臨時作業者の用意が必要ですが、経費節約、営業活動の効率化を産み、費用対効果からみても利益の改善となり、やる気の出る風土は、社員によろこびをもたらし、人材の定着に寄与します。
経営目的としても適うと思われますので、部長以下に因果を含めていただけますか。


1−11 認めれば春 03・12・20

 経営層からのプレッシャーで、見張り、恫喝管理を行っていた部門の場合である。
部下の遂行度が低いのは、目的、情報の共有がなく、評価も納得を得ていないためがほとんどである。
営業利益ベースの情報共有と貢献度評価を行えば、いちいち指示しなくても同時並行的に動くようになるのだが、それを行わない経営者に原因がある。
それが、ここ最近で、目的、情報共有へと方針転換しつつある過程である。

社員の明るさを出させるには 

部長どの

 <店員の雰囲気を明るくさせるにはどうしたらよいか>。
広報に載せたことで大分話題に上っているようですね。
第二部にとってもメリットがあるのは勿論、グループにとって問題提起がメールで行われたことは画期的なことであり、議論を期待します。
さて、ご返事が遅くなりましたが私見を述べさせてください。但し、私は部長の憂いている具体的実態を把握しているとは言えません(店長会議の様子で想像するだけです)ので、一般論または仮定した意見ですが、ご参考になれば幸いです。

 暗い、元気がない風土とは。
言われたことしかやらない、それも最低限しか行わない、当然、あいさつも気持ちが入ってないし、動作も鈍い。
結果は当然お客に好まれず業績は低迷。結果として、褒められること、報われること少なく、叱られることのみ多く、尚一層暗くなる状態と思われます。
例えば、仕事にはマニュアルが必要不可欠ですよね、素人を即戦力に仕立てなければならないのですから。
問題はその言動に気持ちが入るかどうかです。マニュアルは完璧だとしても、現場では、それが作られた意図とは程遠い言動にしばしば出会います。その目的への理解、納得がない現象です。

 それは、何故でしょうか?。
日頃、お客さまには明るく、大きな声で、丁寧に、仕事仲間とも明るく、とか
*教えてあるのに
*その都度注意しているのに
*叱っているのに
*承知しているくせに
やるべきことをやらない。いうならば強権をもって強制しても、研修を行っても、変わらないとしたら。

 それは何故でしょうか?
暗いとか、やる気がないと云われる職場の場合
* 待遇が悪く、従って定着率も低く、行き場のない人ばかり残った職場。
* 部下が業績への関心が低く、従って上司による叱咤激励、小言、注意、細かい指示が多い職場。

 大抵、この二つが目立つことです。
前者には当てはまらないようですから、後者の確認が必要ではないでしょうか?。

後者は全員に具体的な目的、目標が理解、納得されていない、従って指示、注意の意味が理解されていない、それ故の非協力的雰囲気が暗さを生んでいる。

また、理解、納得されていても、その結果に対応した賞罰(日常の言葉に依るものから賞与、昇給、昇降格までを言う)と、その評価に対する納得が得られていない場合、やる気の無さや無言の抵抗が暗さを生む筈です。

また、自分は常に正しく、お前は間違っている、との相互否定意識で染まった集団の場合はこれほど暗く脆いものはありません。

人は理解、納得し、やり方についても任され、信頼されていると認識すればやる気も湧き明るくなるでしょう。
それにより生ずる多少の損失は、育成への払うべき対価ではないでしょうか。

以上ご参考になれば幸いです。
具体的な相違があればご意見を聞かせてください、相談しませんか?

部内での意見はどうだったのですか?
意見が寄せられていましたら転送していただけませんか、参考にさせていただきますので。


1−12 依頼目的不明瞭の結果 03・12・21

 一代で多角経営を築いた創業者への書簡。
ワンマン経営で走って20年、規模(10部門500人)と自身の体力から見ても、見張り管理の限界に来ている企業である。
部門長たちも、能力はあってもやる気を殺がれて腐っているものとイエスマンとが半々。
後継者へのバトンタッチを考えれば、後継者が管理できる体制作りも急がなければ間に合わなくなる時期に来ている。
本人にその自覚がまだないのがこの企業の最大の問題でもある。
ご多分に漏れず病気で入院でもしなければ変われないのが、創業者である。

社長どの

各部門とも、何を期待されているか気がついて来たようで少しずつ変わって来ていますが、2、3気になることを述べます。
<利益額>でなく、売上、利益率、指向や無難なことのみやりたがる傾向について。

1)S部門会議。この会議が三回目まで赤字問題どこ吹く風であったのは相変わらず損益関係無しのR企画室長の姿勢故です。
収支の資料なしで始め、ボードに比較数字を書いても「それに拘っていると話が進まないから」と云う有様で、議事録にも記録されず、といった進め方でした。
彼の立場についは、損益を意識させないと見当違いも甚だしい仕事になると思われます。
N部門のコマーシャルしかり(どの客層を狙っているか意図不明)、J部門の商品値付けしかり、インターネットの勉強会しかり。
社長の云う面白おかしくやろうやを、損益度外視と受け取っている言動と思えます。
狙いを外させなければ面白い人材と思いますが、持って回ったような話下手で大分損をしています。
周りが損益を意識しだせば浮いてしまうこと必定です。
社長直轄ということで、他部門長も何もいえないようですが、善処方お願いいたします。

2)K部門支援会議。
Y部門長始め、利益額(実)よりも利益率(花)を優先していると思われます。
実を取る姿勢に変わってもらうには、部門別決算で狙いをはっきりさせるべきではないでしょうか。
そうなれば改善策も方向を間違えず具体化すると思われます。

3)部門長会議にて。
社長退席後、賞罰対象基準が不明瞭故と思われる議論がありました。
一つはK新部門の責任者の押し付けっこであり、ひとつは雇用する場合の保証人要不要問題です。
前者は自分及び部門にとって厄介を背負いこむという受け止め方、これは利益が出ないと見ているか、やっても自分にメリットはないと見ているかでしょう。
後者はそんなことはなじまないという見方と、不祥事があったときの責任補完を考える見方との議論でした。
私は、前者は賞、後者は罰が不明瞭故の議論であり、今後の課題であると述べておきましたが、これも部門別決算を実施すれば自ずから気がつくと思われます。

4)M部門再建策。
現市場からは一日も早い撤退が必要と思います。
創業部門であることにこだわるならば、富裕層市場を狙って、質で売る戦略に転換するべきではないでしょうか。

数多の問題現象の根源は、損益の意識無しに仕事をさせていることです。
C部門の利益で維持出来るうちに、各部門とも、自立自助を自覚する風土に変革が必要ではないでしょうか。
その鍵は、矢張り、部門別決算、貢献度評価制度の一日も早い実施です。


1−13 結果を問う! 03・12・22

 これも創業者のワンマン経営で拡大してきた多角経営グループの場合である。
最も力量が優れていても、すべてに個別指示し、見張ることには限界がある。
すなわち、間に合わないのである、継続に必要な業績を上げるに。
また、人材の育成と定着に。
泳げるようにするには、畳の上でいくら教えても泳げるようにはならない、水の中に放り込まなければ。
水に放り込めとは、権限の移譲であり、そのためには目的と情報の共有が不可欠なゆえん。
それが行われないから、人材も育たず、能力のある人材から辞めてゆく。
それが、解るか解らないかが継続と倒産の分れ目である。
この経営者は結局、解らなかった。

指導方針の件

社長どの

 改めての販売部門指導の件、確かにお引き受けいたしました。
さて、改めて販売促進の指導を<具体的に>と特にご要望で、具体的なアドバイスに欠けるので解り難いというご指摘でした。類似のご指摘を会長からも指摘されましたが、面談が時間切れになりましたので、これを機会に改めて私の考えとやり方についてご説明をしたいと存じます。
特に二次産業向け対策であり、不適であるというご指摘は何を指しておられるのか不明ですが。
さて具体的アドバイスが少ないというご指摘ですが、具体的アドバイス主体のやり方には反対であり、当該案件に対して適当ではないと考えます。
私が当グループの問題と感じている点は、行動が<ない><遅い>ということです。
拡大したが故の部門レベルでの決定及びその遂行が<必要に間に合わない>遅さを問題とします。
この決定及び遂行のスピードアップという課題に対し不適当と考えるからであります。
正確に言えば担当者に自立意識を持たせる為、考えさせる為に、<やり方>について<先に>アドバイスをしないだけです。
何故ならば、すべてにトップの指示待ち状態の現状よりも、同時並列進行を期待できるその方が、結局遂行も早く、成果も上がると考えるからです。
これは歴史に学んだ普遍性においても、私自身、決定を下す立場の社長業を、独立から倒産迄の25年、及び観察の機会に恵まれる顧問業を10年、又、当社に1年接した経験での個別体験としても、証明されていると感じております。
人間は他人(上司といえども例外ではありません)から、自分のやり方について指示、又はアドバイスされた場合、遂行度は必要度を満たさないのがほとんどではないでしょうか。むしろ逆効果すら斉たらしています。
当事者の、目的に対する合意と発意がなければ当然でしょう。
すなわち、いかに早く問題を意識させ、危機感を持たせ、合意を得、発意を促すか、が鍵ではないでしょうか。
そのためのインセンティブや自責を問う為に評価を必要とし、その測定及び問題への自覚の為に数字(実績や目標との比較及び評価結果)の開示が不可欠ではないでしょうか。
これらは、組織への間接伝言や権限委譲を必要とする規模である現在、もはや時間的ロスといってはならない払うべき対価であり、規模による相乗効果追求に不可欠な手段ではないでしょうか。(社長の言うフラットな組織は疑問です、これについては改めてまた)
これなくして合意も発意も責任感も期待出来ず、「遅れ」はこれが主原因と思われます。
また、任せない=信頼しない、では部下にやる気を失わせ、発言は減り、裸の王様になるばかりであります。
故に、現状の当グループに必要なのは、計画を要求し、審査し、やり方を任せ、結果で評価する、の逐次進行です。
無論、部門を問わずです。研究機関も例外ではありません、期限なくして事が成就した例はありませんから。
既に、要求した来期計画提出が遅れているようですが、それが危機感のない<甘さ>の証拠と思えます。

 今、戦後50年の右肩上がりによる共存共栄の錯覚から覚めつつあるわけですが、<危機感を持てる自立集団>のみが生き残る資格であると考えております。
その集団が育つシステムを想定しているつもりです。
以上改めて述べさせていただきました、ご意見をお待ちしております。


1−14 自立自助システムー気づきのメカニズム 03・12・22

目標管理手法とは、<気づかせる>手段である。
具体的な数字をもとに、継続や改善の障害となる<問題>について気がつかせる手段と考えている。
人間は、自ら気が付けば変わる。
頼んでも、強制しても、変わりたがらないのが一瞬にして行動が変わる。
下記は、それに気がつかない経営者の場合である。


社長どの

 ご指摘の部分の、<具体的にアドバイスしない>は、しばしば云われますので、意外なことではありません。
ただ、これは私のやり方の特徴でもあり、また、それを受け入れない土壌が存在しますので、今回はその点のご説明と現場へのご指示をお願いし、結果を期待していただければと思います。
目的は、ご依頼のごとく集団が一体感を持って目標を出来るだけ早く遂行することであります。
費用対効果や評価を明らかにすることはそのための一手段であり、目指すシステムの一歯車に過ぎません。ただし、最重要不可欠歯車ですが。

 私が構築すべきだと考えるのは、「気付き」のメカニズムを持ったシステムです。
<やらなければならない事を気付かせるシステム>です。
集団が、縦にも横にも共通の問題意識と目標を持ち、指示待ちすることなく同時平行行動で遂行に向かうシステムです。
人間という横着で不遜な一面を持つ動物に、善意を期待して「やってくれるだろう」と放任したり、トップの言葉や態度等で「威しても、強制しても」も、その成果は必要を満たすに至らないというのが私の見解です。
特に後者は対面効果しかなく、当社の部門数、従業員数はとうに限界を超えております。
私の持論として、共通意識プラス<自発意識>が不可欠であると考えております。
そしてその自発意識を促すメカニズムが「気が付かせる」ことであり、その要素が、利益計画の要求であり、実績の比較提示であり、成果配分を原則とする評価です。
計画を要求され、毎月実績を測られて問題に気づき、同僚と比較評価されて、それが適正であれば納得し、やる気、やらなければならない気にもなり、また、認められたよろこびにも、罰せられた危機にも気が付くのです。

要は、<困らなければ気が付かない>のですから困りを提示することです。

 「<困る>は、問題発見、自立、自発の素」です。
自分の問題(困り)が、部門の問題(困り)が、どこにあるのか気付かせることが不可欠ではないでしょうか。
その上で、内発的なやる気が起きて、困って求めるアドバイスであれば聞く耳も持ち、勿論実行も積極的となりアドバイスも生きる筈。
戦後50年、日本も日本企業も切実には困らなかった故に自立、自発意識が欠け生存能力不足を来たした。
マクロにもミクロにもこれは言えることと思います。
具体的に例を取れば、客先にも呆れられる姿勢や工夫のなさや惰性は、口やかましく手取り足取り強制したとて直りません。それらは目の届く範囲では既に行われて、効果がなかったのではないでしょうか。
目が届かなくても自発的に行動する動機付けが必要です。
<やる気になる>、あるいは、少なくとも<やらなければならない気>になる動機付けが。

 同僚よりも認められたい、努力した結果を評価して欲しい、より良い待遇の改善、等を望む気持ちは強弱の差はあれ、皆持っています。
以前、私が実施した社内アンケートにもあったとおり、最も望むことが、公平、適正と<納得>する評価です。
それが行われれば動機になり得るのです。

 そのために経営者として、具体的な計画を求めていただきたいのです。
* 全体の計画およびその裏付け明細を。(明細とは商品別、客先別、営業個人別)
* 営業にはどれだけ粗利が必要なのか、適正在庫とは? 経費をどれだけ使うのか、どれだけ減らすのか。
* 内勤には、必要、有効な資料の提出計画。

等。

 そして、業績が前年比落ちであれば明確に自責を問わないと、変われる機会をまた見失います。
それと、同僚、社内他部門、と比較対照した場合に、賞罰結果が自覚出来るだけの差を付けるべきです。
それが自覚できないと評価制度はあっても意味ありません。
結果における、昇給、賞与を認識させ、必要営業利益を認識させ、計画案上の昇給、賞与が可能か不可能かを月次で常に認識させるべきです。
と、なると、現状の資料が、評価に充分な資料でないことにも気が付き、当面の主観本位評価もやむを得ずと気付き、書くべき伝票を書き、入力可能になり、初めて比較資料がコンピューターから出力されるのです。
それにより問題の発見、分析も評価の適正化も、より精度が上がるのです。
すなわち、自分達の現場作業が伝票化され出力されたものが、自分達個人の請求書であると認識し、結果評価に納得するのです。
そのレベルまで到達したなら、初めて具体的アドバイスも必要と感じ、耳を傾けるのではないでしょうか。

 今はそのための意思統一集団への土壌造りが先です、でないと、情報をいくら配っても、アドバイスをいくらしても無駄です。
いままでも、長年、何一つ変わらないのがその証拠です。
現場の先端にまで目的意識が染み透り、情報、アドバイスが沁み込む土壌が必要です。
直属上司たちに、評価結果を前にして部下と評価面談をさせたいのもそのためです。
早急なご指示をお願いいたします。

何故それが必要なのか、どのように、の説明、指導については私が担当させていただきます。


1−15 なぜやる気が出ないか 03・12・23

 顧問に対し、具体的指導を期待する経営者に対しての書簡。
目的、目標、情報を共有せず、創業者の指示命令、叱咤激励のみで拡大(600人)してきた企業の例である。
係長クラスの決定、指示までトップが行ってきたが、さすがに、業務遂行の遅れや、利益の減、有用な人材が辞めてゆく現象に危機感を覚えてきて依頼があった例であるが、実績貢献度評価制度に踏み切り、任せることに決断が付かないでいる状態である。
任せても、これ以上悪くなる要素は既にないのだが。


評価の信頼回復と権限委譲で総力戦へ 

社長どの

 具体的指導をお望みですが、<やる気>というよりも<やらなければならない気>にさせる風土作りが先決とと思われます。
何故ならば、<やる気>あるいは、危機感を持った<やらなければ自分が危ない気>の状態になければ、アイデアを示し或は叱咤激励しても変りません。
これは、既にご経験済みではないでしょうか。
まして、生殺与奪の権限を持っていない顧問では尚更のことであります。

 御社においては、現場、すなわち係長クラスから課長までの聞き取りをさせていただきましたが、そこから感じられるのは、
1)評価への不信感。
2)業績(損益)への無責任です。
すなわち、業績は自分たちの責任ではないという風潮です。
いわく、指示に従っただけ、自分なりに一生懸命やった、不景気のせい、部門の不採算性、等、です。
良くしても悪くしても待遇は変わらず、また悪かったからとてクビになるようなことはない、との認識であると感じました。

 N部門長が、人を入れ替えないと変わらない、と云っているのはこのためです。
私はそうは思えません、評価が納得されず、中途半端である限り入れ替えても変わらないと思います。
やる気のある人間のしらけとぶらさがり人間に対応するシステムが必要です。しかも、命令に従わなかったものを切らなかったのですから、威令も行われなくなっております。

 部門長に生殺与奪の権限を与え、出来高払いの原則で評価しない限り、指導やアドバイスは付け焼き刃というより馬耳東風です(一部部門長はそれでも理解してきております。たとえば、T、N、D、Mさんなどは)。
その他の問題例についても、前回の部門長会議の議事録やお送りしたメールにあるごとくです。
具体的提案をしても実行されない、反論、対案もなく讃意が表されても実行されないことで証明されているのではないでしょうか。

 これらは、すなわち、実行への動機がないためです。
誇りを感じさせ、やる気にさせるインセンティブとか、責任を取ることの怖さが存在していないため、グループ内の個人にまで、無責任、無気力が及んでいるのです。

以下、具体的に例をとって説明します。

 第二部を例に取ると、N部長(責任を特定できる現場の長という意味です)に営業利益ベースの改善及び報告の責任を与え、評価についても、現場の長である彼が決めているのだと部内に認識させることが先決です。彼が収支損益を知らず、また部下の評価結果をも知らない(決定していない)では、権限を与えずして威令は行えず、責任を問うのは無理です。
新年会の時に、評価について話題になりM課長始め現場がこだわっていたのもその点です。
日頃見ていない上司が個人評価をすることに抗議していたのです。

 社長、専務は全部門のレート決定と調整を行い、部門長が課または班のレートを決め、課長、班長が個人レートを決める、要は直属の部下の評価はその上司が決め、調整はその上の上司が諮る。
それでなければ適正を欠くと受け取られ、それぞれの威令も行われないと思います。

 N部長の部下に対する評価については、昨年夏冬とも評価結果と支給額結果が違う、と本人も部下たちも感じております。
この不信感を一刻も早く取り払うことが意志統一に不可欠と思われます。
上記システムがあってアドバイスもサポートも吸収され有効であり、これあるならば私も残る9カ月前半は経費、在庫の圧縮。後半増収改善をもって増益を計れます。
前提条件としては、来月から、ご提案通りの営業利益ベースでの前年比実績が彼らに提示出来てのことですが。

 因みにF、Kを格下げ、或は移動、またそれが原因で辞めても減収とはならないと保証いたします。
他への刺激ともなり変わるきっかけともなります。
何も変わらず3カ月を経過しておりますので、早急なご決裁をお願いいたします。

 結局、社長は決断しなかった、困りがまだ不足していたのだ。
だが、遠からず息子達に任せざるを得ない。
そのとき、彼らが継続へ向けて管理可能なシステムとして必要になるだろう。


1−16 フラットか、ピラミッドか

 ピラミッド組織よりフラットな組織が良い、という論がある、特に、創業者に多い論である。
組織がトップに直結することを望んでいるわけだが、その方が指示、命令が伝わりやすい、情報も取れ易い、決定も早いし間違いがない、何故ならば、知識経験、能力とも部下より優れている、と自負するからだろう。
LANを敷くのもその目的である、情報全部を俺に寄越せ、指示、決定は俺がする、と。
トップが一切の権限、情報を一元化で握っていることは、一つ間違えたり、突然執務不能になった場合、継続を危うくする危険があるのだが。
このタイプは、部下に権限委譲したら会社を潰される、という心配を常にしているが、己については非常に楽観的なのだ、俺だけは大丈夫だと。
論理的、合理的、と自負している割には、現実を無視した非科学的態度なのだが。

 一人の人間が管理できるのは7人までといわれている。
組織としてはプロ中のプロ集団、軍隊が7人単位で編成されているのもそのためである。
フラット組織信仰は、トップが考え、指示したことを、いかに速く正確に、実行させるかについて最速、最善だと考えているわけだが、決定権限が軽重、時間を問わず一箇所に集まる、とは、機会損失とトップの能力、権限の浪費ともなり、人材育成は進まず、有為の人材はやる気をなくし辞めてゆく原因ともなる。

 まさに、トップの器が企業の足かせとなり、継続をも妨げる。
事例から見ても、経営者が、直接指示、決定し、見張り管理が可能なのは、せいぜい、30人以下と思われる。
望ましいのは、組織に目的と情報の共有が出来ていて、事態に応じて組織員が指示を待たずとも同時並列反応することである。
このケースで最も問題なのは、信頼されず、認められない社員はやる気も出ず、能力のあるものから辞めてゆく、人材は育たず、定着せず、ということは継続不能は明らかである。

 結論として、組織については、ピラミッドかフラットかではなく、目的遂行に最適規模の組織を作ることだろう。
それには、目的、情報が共有され、目的達成に向け、衆知を集められる意思統一集団が必要だ。
そして、規模の効果を望むなら、7人の倍数で、目的、情報を共有し、やる気のでる組織風土が望ましいという結論になる。
 そして、それがピラミッドと呼ばれるのなら、それは結果として形がそうなったに過ぎないし、形だけ真似ても機能しないのは、フラットを望んだ時点で証明されている。


1−17 開発、研究の管理

 多角化企業の開発研究部門の管理についての提言である。
創業者である会長は、他部門と同様の管理は適していないと、目標管理を否定しているが、期限を切らずに出来上がったものはなく、一部に例外を認めては一心同体はない。

会長どの

 コンピュータプログラム開発研究室の件を整理しておきます。
研究開発投資が、改善投資よりも大事であり、故に魅力的であり、それ故に細かい支出に目鯨立てるな、角を矯めて牛を殺すな、は、社員も心得ていると思います。

 現状問題は機会損失についてです、あたら好企画が進捗せず、時間だけ過ぎて陳腐化してしまうという、何故か?。
それは全社的協力がなされないからです。
企画(投資計画と進捗)が周知されていないため、開発研究室は、パソコン少年が会社の費用で遊んでいる位に思われているからです。
というのも、成果に対する配分(物心両面)及び費用の負担が明確でないため、発案者や担当者以外は消極的、特に他部門の協力は非常に消極的です。
これが機会損失の原因になっているのです。

 こんなことがありました。商品pos打ち合わせ会議を傍聴したのですが、総務担当者が召集し、参加者は開発担当者及び当該商品部課長。
打ち合わせは、誰が発注者か受注者か協力者か不明のため皆が遠巻きに眺めている印象でした。
後日、開発室長にその話をしたのですが、「そうなんですよね」といっただけでした。今現在もそれは変わったように見えません。
社長命令の開発だったということですが、なのに、何故、このようなことになるのか?
これはやはり、部門或は担当者単位の利益目標管理が不在故、幾らで、何時までに、作るのか、売るのか、の感覚が皆無のせいではないでしょうか。

 それには、開発能力のある人には開発に専念してもらい、管理担当を置いて、受注、企画発案から販売そしてメンテ迄の関係者に必要な情報を知らせ、損益分担者としての当事者意識を持たせ、グループ内に対しては協同意識が湧くだけの目的、情報共有の必要があるのではないでしょうか。
そのためには、全社部門別利益目標管理、貢献度評価制度が不可欠です、無論、開発室も例外でなく。
そうなれば、利益が見込めれば積極的になり、見込めなければ諦めも早く、経費の節約にもなります。
見極めも、評価も公けにされれば、社内の誤解も解けるでしょう。
現状では、開発室は無管理、放任状態で、パソコン少年の遊び場といわれても仕方のない有様です。
全社一心同体の総力戦に向けてご再考を願います。

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