自転車ツーリング再生計画 2004/11/28作成

米国に見る山道のルール成立の経緯

FCYCLO山紫水明での山道のルールをまとめる中で、MTBの発祥の地である米国の事情の話題もありました。現地ではいくつかの非営利団体が設立され、山道のルールの普及活動、他の山道のユーザとの交流、山道のメンテナンス活動等が行われています。我が国の山サイの歴史は、米国のMTBが登場する以前から続いていますし、国の事情など異なる点もありますが、山道のルール制定に至った背景や、その普及活動など、学ぶ所も多々あります。

米国の“Mountain Biking Almanac'96”と言う書籍(年鑑)に掲載されたPath to progress(by Tim Blumenthal;“IMBA”のExecutive Director)の記事がこの事情を紹介しています。同誌のCreative Directorである、Gary Thomas Edwards氏に許可を得て同記事の抄訳を掲載します。

Mountain Biking Almanac'96はインターネットで内容(概要)を見ることができます。http://www.imba.com/また、Gary Edwards氏、もしくは同誌へのメールは以下の通りです。MBAlmanac@aol.co

IMBAの歴史:International Mountain Bicycling Association
今日のマウンテンバイキングは約20年前、カリフォルニア州はマリン郡で始まる。軽量の素材と丈夫な変速システムの開発の恩恵でブームに。スペシャライズド社のスタンプジャンパの広告が1981年に、サイクリング誌に登場し、トレール(山道)サイクリングを流行らせ始める。

マウンテンバイキングの隆盛に従い、山道通行の問題も多発し始める。ハイカーや乗馬をする人達が、“我々”の大切な山道をサイクリストが荒らしている、と文句をつけ、ランドマネージャ(土地管理者達)は、オフロード自転車は山道の侵食を促進すると憂慮した。山道での新参者であるマウンテンバイカーは当時組織化されておらず、冒険、挑戦、鍛練、眺望、自然に触れる、同じ楽しみを分かち合う、と言ったオフロードサイクリングの楽しさを自然発生的に発見する個々人だった。

80年代の中頃から後半は、爆発的に流行し、公認の世界選手権サイクリング競技が生まれ、驚くべき技術的進歩を作り出す。クラブが全国あちこちに出来始めるが、この進展は、広い地域で山道閉鎖を伴う。土地管理者達が、マウンテンバイキングを管理する一番の方法は、ご法度であると決定したからだ。閉鎖のほとんどが西部で、とりわけカリフォルニア州だった。

山道閉鎖に呼応して、カリフォルニアのオフロードサイクリングクラブのグループが1988年に集まりIMBAを組織。この組織の狙いは、今も継続するが、マウンテンバイカーに自覚を持った(責任ある)乗り方を教育する、山道での奉仕活動への参加を動機づける、公園や森林の管理者達と一緒に、新しい管理のやり方や山道建設技術の共有、山道を利用する他のグループとの共同プロジェクトの具体化だった。活動はすべて、開かれた山道を維持する、と言う事に専念された。

IMBAの活動は直ちに賛同を得、重要だと認知されるが、幾つかの強大な流れが、この組織のゴール達成をより困難なものにしてしまう。

(1)普及が進むと言うことは、米国のほとんどの地域で、更に多くの人々が山道を利用することを意味した。

(2)開発---商業的かつ地域的な---が遊休地を削減し、より小さな公園や森林地帯へ人々を追いやる結果となった。

(3)あらゆるアウトドア遊び(マウンテンバイキングだけでなく)が、普及していった。

(4)土地管理者達は予算削減の憂き目にあって、山道を管理し維持する能力に打撃を受けた。

これらの複合が山道を混雑させ、山道の利用者間での衝突を増加させ、多くの地方で山道の管理は危機に陥った。

その後、これらの傾向はまだ続いているが、いろんな意味でマウンテンバイキングはある角を曲がった。IMBAの山道のルールはうまく流布し、ほとんどのオフロードサイクリストはこれを遵守している。ウンテンバイカーの間で増加しつつあるのは、地域のクラブに所属し、山道の保守講座や教育的な自転車巡回のボランティア活動に参加する人達だ。

マウンテンバイククラブは、ハイキングクラブや乗馬組織と共同プロジェクトでつながりを広げている。土地管理者達は資源を保護しながら、山道を利用する人々に満足のゆく体験をしてもらうには、と言うやり方で、山道サイクリングをどのように管理したらよいかが分かってきた。マウンテンバイキングは酷いダメージを与えると言った当初の心配は、適切な山道の設計や保守が資源保護の鍵である、と言う皆の認識に取って換えられた。

これはサイクリング通行の問題が終わったと言うことではない----それはまだ遠い。身の程知らずのライダー(Gonzo:スピードを出して自分の能力限界で走るライダー)はまだ相変らず、混雑した山道で無責任な乗り方をしてスポーツのイメージをぶち壊す可能性がある。

幾つかの地域では、ハイキングクラブや乗馬クラブが、山道を共有しようと言う考え方に反対しているし、その様にするから、遊休地保存の問題においてマウンテンバイカーと連携できる可能性を見逃している。恐らく一番大きな問題は、行動や姿勢に何も持っていないこと。多くの地域で、一般の人々が望む様に、リクリエーションの機会に備える公共の土地が単に充分にないことだ。

もうひとつの大きくなりつつある問題は、私有のマウンテンバイク公園やスキー場の山道サイクリング事業の傾向だ。これらの施設が新しい乗れる場所を提供するので、適切なサイクリングの機会の場所は、私有の管理された施設で備わりつつある、と言う考え方に立ち、公共の土地管理者達が、サイクリング通行を減少させることにつながる恐れがあること。

山道通行の進展から学ぶ重要なメッセージは、個人の自覚(責任)の重要性だ。山道のルールを守り、他の山道利用者を敬い、痕跡を残さない等が簡単な方法であり、スポーツの未来を確かなものとする。マウンテンバイカーが、山道の活動参加や、公共の山道の保守で技術を積み上げているところでは、山道サイクリングが、多くのケースで、確実に繁栄している。

IMBAトレールのルール

何千マイルにも及ぶダートのトレール(山径)が既に、ほんの僅かなライダーの無責任な乗り方の為に、マウンテンバイシクリングには閉鎖されている。下記のトレールのルールを遵守して、トレールへの立入を維持しよう。

1.許可されたトレールだけで乗る。
径や道路の閉鎖を尊重し(不明な場合は確認する)、個人の所有地への侵入を避け、必要な場合は許可を得る。連邦政府及び州の未開地地域でのサイクリングは許可されていない。影響を受けやすい環境への配慮や、トレールを利用する他の利用者との衝突から新たに閉鎖される可能性もある。個人の乗り方の例がすべてのサイクリストの締め出しを決定してしまう。

2.痕跡を残さない。
ダートに対して敏感になろう。閉鎖されていないトレールにおいても、雨の直後のトレールに自転車の走った痕跡が残るような条件下では乗るべきでない。土の種類とトレールの構造を注意深く観察して、影響の少ないサイクリングを心掛けよう。これはトレールを外れないことであり、新しい踏み跡を作らないことを意味する。持ち込んだものは必ず持ち帰ろう。

3.自転車をコントロールせよ。
ほんの一秒の不注意が惨事を引き起こす可能性がある。スピードの出し過ぎは他人を傷つけ、脅威でもある。言い訳などあるはずがない。

4.常にトレールを譲る。
自分の接近を事前に知らせよう。友好的な挨拶(やベル)は思いやりであり、有効でもある。脅威を与えるとトレールの利用を失うことに通じる。擦れ違ったり追い越す時はスピードを十分落とすか停止して相手への気遣いを見せよう。他のトレールの利用者がコーナーの陰や、見えない所にいると考えよう。

5.動物を脅かさない。
動物は、突然の接近や、突然の動きや、大きな物音には驚く。あなたや、他の人、そして動物にとっても危険である。動物と間に十分の距離と時間をおこう。通過する場合は、十分な注意を払い、乗馬をしている人の指示に従おう(もし分からなければ)。家畜を追いかけたり、野生動物を騒がせることはひどい攻撃である。柵は元の位置に、あるいは記されている様にしよう。

6.事前に計画する。
道具、自分の能力、乗り入れる地域をよく知って適宜準備しよう。他人に頼らず、自転車をよく整備し、天候や他の条件の変化に対する必要な装備を携帯しよう。うまくやり遂げたられた旅は、満足感を与えてくれ、他の人への迷惑となったり、攻撃となったりしない。責任あるサイクリングの模範を励行してすべてのマウンテンバイクリストの為にも、トレールが閉鎖されないようにしよう。

【起案】August


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