自転車ツーリング再生計画/ニューサイクリング/
ニューサイクリング2000/5号に投稿した私の原稿です。「峠でコーヒー」特集はニューサイクリング私設応援団に原稿依頼がきました。私設応援団から6名の投稿が掲載されました。
コーヒーが登場するのは日帰りでの近郊の峠。交通量がない林道やハイキング道なら、静かなコーヒーのひとときを楽しめる。気分がいいのはニッカ仙台工場の脇から秋保大滝に抜ける「ふるさと緑の道」。この道は宮城県内のアチコチに看板を見かけるのだが、県庁でも資料が手に入らない可哀相な道。バブルの時代に整備されたけどその後ほったらかされているのだろうか。そのうち全線走破してガイドを書いてあげるからね、気長に待っていてね。秋保大滝はもし尾瀬に三条の滝がなければ東北随一の滝カナ。道具立てのご紹介をしよう。美味しいコーヒーは良き豆と道具から。豆はエビアン(仙台の喫茶店)から私の趣味でキリマンジャロ。自家焙煎のいつも炒りたての豆を置いている。豆を挽くミルは私と同じ宮城野CCの喫茶店マスターご推薦のカリタのナイスカットミル。この原稿を書くまでこれがカリタの製品とは知らず。ロートは軽くて割れないプラスチック製。無漂白のペーパーフィルター。お湯を沸かすのはEPIのガスストーブ。買った当時は最小のバーナーだったが今はもっと小さなものが出ていることでしょう。コッフェルはステンレス製、お湯用とコーヒー用のふたつ。水はできれば現地の湧き水を・・・。
何度かきている峠。その時々で走る(担ぐ)ペースは変わる。ある程度、呼吸数、心拍数は上がった方が気分がいい。身体にたくさん取り込んだ酸素が血液に乗って体中を循環し、浮き世の汚れを流してくれるのだろうか。身体の穢れ(気枯れ)が祓われる気分。
自転車通勤もこのためにしているのかもしれない。気分のいい晴れの日も、気分の乗らない雨の日も、自転車で行くのは無謀な雪の日も。通勤時だけはヘルメットをかぶり、雨もゴアのレインウェア上下を着込んでいけばPEUGEOT PACIFIC-18でも不都合はない。会社までの30分足らずの時間で、気分が改善されるのだから・・・私は自転車通勤を手放せない。
登りつめ峠にたどりつく。一息いれてフロントバッグから道具を取り出す。タバコを吸わない身としてはライターを忘れるのが心配。コッフェルに水を注ぎ、ガスストーブに火をつけ、湯の沸くのを待つ。
傍らに立てかけた自転車は20年近く使ったTOEIのスポルティフを最近改装したもの。20年の歳月はチューブラーを700CW/Oに、クリップストラップをSPDペダルに変えた。「体力落ちてきてるんだからもっとワイドなギヤ比が欲しい。」という私の要望に耳を貸さないカンパヌーボレコードにはご引退願い、ロード用部品をベースとしたデュアルコントロールレバー装備のツーリング用自転車に。ニューサイクリング1999年7月号の佐々木賀美さんの自転車と方向性は同じ。これが現時点で私が創る自転車。果たしてこのコンセプトは何年生き残るのだろう。
オッ、湯が沸いてきた。コッフェルの蓋を取ると底から蒸気泡が勢い良く湧きだしている。フィルターの底を折って、横を折ってロートにセットする。いままでこうして何千枚のフィルターを折ったことだろう。フィルターも昔は真っ白のものばかりだったなどというと歳がばれる。今は無漂白のパルプ素材のままのものもでている。こんなところも時代の変化なのだろう。家で挽いてきた豆をフィルターに入れる。まずはお湯を豆に含ませる。炒りたての豆はよく膨れてくれる。コーヒーのおいしさを感じさせてくれる一瞬である。十分に膨れた豆がフッと潰れたのを見極めて湯を注いでいく。注ぎ方は多分定法があるのだろうが、気にせずのんびりと注いでいく。香り立つ茶色の液体がだんだんたまっていく。
ニューサイクリングから始まった私の自転車。北海道大学CC、宮城野CC(宮城県仙台市)、港CC(東京都港区)と広がって、今はインターネットも。ニフティ、ホームページ、掲示板、メーリングリスト。日本中どこに行っても会ったことのない人と飲めるし、走れる。これって意外と幸せなことなのだなあと思う。ホームページには掲示板「ニューサイクリング私設応援団」もある。今回のコーヒー特集では多くの私設応援団メンバーが参加している。編集部、メンバーのみなさんありがとう、感謝、感謝。
フーッ、いつものコーヒーの味。酸味の強いキリマンジャロは好き嫌いがあるでしょうが、これが私のブレイク。さて下るとするか、体温が下がらないようにウィンドブレーカー代わりに雨具を着込み、下ってゆく。帰りは国道を避けて、いつもの裏道をのんびり行こう。