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自転車ツーリング再生計画 門岡 淳
自転車を始めた人から「泊まりがけでツーリングに行きたいんだけれど・・」と相談された時に参考になるかもしれないネタをご紹介します。みなさんの役に立てば幸いです。
どんなフィールドを?どんなスタイルで?走るかでコースが決まります。コースを実際に走ってツーリングは完成します。フィールドの好みは人さまざまです。走るスタイルも人さまざまです。フィールドとスタイルの組合せは無限にあるのかもしれません。同じコースを一緒に走っても見ること,感じること,考えることは人それぞれです。すべてのツーリングはひとつひとつ異なり,あなたが走ったツーリングはすべてあなただけのものです。
■どこに行けばいいの?
「でかけたいけど・・・どこに行けばいいの?」の質問には答えようがありません。あなたが行きたいところに行くだけです。テレビの旅番組で紹介されていた,「夜明け前」に登場する,ガイドブックで見て良さそうだった,芭蕉さんが行った,友達が住んでいる,歴史に興味がある,なんだか知らないけど行ってみたい,昔の思い出の場所に,心のおもむくままに出かけましょう。だれがあなたを止められましょう。
同じフィールドも時期・天候が異なれば違ったフィールドになります。春に雪の壁だった八幡平は夏には緑の湿原になります。
フィールドは自然豊かな場所に限られるわけではありません。東京自転車散歩というツーリングもあります。東京は日本の中で一番多くの人が長期間(江戸時代から)暮らしてきた街です。社会的蓄積は日本一豊かといえるでしょう。
■ツーリングテーマ
ツーリングにテーマや趣味がある方もいらっしゃいます。この他にもあなただけのテーマがきっとあることでしょう。
○峠
峠を越えにツーリングに行くことも多いですね。長い登りを登り切って峠に立つとき,峠のむこうには未知の世界がひろがっているような気がします。あなたの「日本峠百撰」にはどんな峠が選ばれるのでしょうか。
○温泉
テーマではないかもしれませんね。身体を動かしておいしい空気をタクサン吸って,温泉で汗を流し,湯上がりにビールをグイッ・・フーッ!。
○旧街道・旧道・廃道
五街道は東海道(東京〜箱根関〜新井関〜桑名〜?)、中仙道、日光街道、甲州街道、奥州街道。トンネルができて交通量が少なくなった気持ちのいい峠道がトンネルの上に残っていることが多いですね。
○廃線
廃止された鉄道跡を訪ねます。一番有名なのは軽井沢〜横川間の旧碓井トンネルを含むアプト式鉄道の跡でしょうか。北海道も廃線の宝庫ですね。
○城・城跡
天守閣が現存するのは姫路城(兵庫県姫路市)、松本城(長野県松本市)、彦根城(滋賀県彦根市)、犬山城(愛知県犬山市)の4つでしたよね。
○日本三景
松島(宮城県松島町・鳴瀬町):芭蕉が一句も詠めなかった松島です。天橋立(京都府宮津市):海の上に伸びている松原は不思議です。宮島(広島県宮島町):厳島神社は世界遺産にも登録されています。
○日本三名園
偕楽園(茨城県水戸市)、兼六園(石川県金沢市)、後楽園(岡山県岡山市)ですね。
○日本の世界遺産(自然遺産、文化遺産)
法隆寺地域の仏教建造物,姫路城,屋久島,白神山地,古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市),白川郷・五箇山の合掌造り集落,原爆ドーム,厳島神社,古都奈良の文化財,日光の社寺,琉球王国のグスク及び関連遺産群
どれも選り抜きのツーリングテーマですね。
○巡礼シリーズ
四国遍路八十八霊場(香川・高知・徳島・愛媛),西国三十三観音(和歌山・大阪・奈良・京都・滋賀・兵庫・岐阜),坂東三十三観音(神奈川・埼玉・東京・群馬・栃木・茨城・千葉)
○ブルベ
一定のコースを距離に応じた制限時間内で走り認定を受けます。200km13時間30分から世界各国で開催されている1200km90時間まで。世の中にはすごい人もいるものです。
■プランニングの必需品
フィールドが決まったら具体的にコースを書いていきましょう。コースを書くのに必要なグッズは・・・。
○地図
等高線の入っていない地図は役にたちません。国土地理院の20万分の1地勢図,10万分の1のマップル、13〜14万分の1のツーリングマップルなどを使っています。マップル,ツーリングマップルには100m間隔等高線,区間距離,観光ポイント,お薦めルートが表現されていてプランニングに使えます。
○ガイドブック/
観光地情報については。JTBの「るるぶ」や昭文社の「マップルガイド」などが重宝です。「るるぶ」の地図はあまり信用できませんが。
○宿泊表
アサヒ出版発行の全国版宿泊表を使っています。ほとんどの町になんらかの宿が載っていますので,だいたい用が足りています。料金が記載されているのも使いやすいですね。最近はネット上で宿泊施設を検索する場合も多いですね。
○時刻表
輪行ツーリング時に必要です。交通公社やJR発行の一番大きな時刻表を使っています。鉄道だけではなく,フェリーや飛行機の時刻も必要です。
■一日に走る距離は?
○平地と登りとダートのペース
自転車の速度は平地無風ならだいたい20km/時間です。最初は昼食,休憩,パンク修理の時間等を含めて10km/時間で考えます。
登りがあるとペースは落ちます。上りで遅れた分は下りでは取り返せないようです。登りがあるコースでは距離は控えめにしましょう。標高差200mを1時間で見積もってみてはどうでしょうか?。
ダート(未舗装路)の場合はさらにペースは落ちます。時間で5割増しぐらいでしょうか?。
○それでは一日の距離は?
9時出発で17時到着ならば平地では10km/時間ですから80kmが目安です。逆に100km走るならば,8時出発18時到着を目安にします。途中に600mの峠があれば200m/時間として3時間,走り終えるまで8時間とすると残りは5時間ですから距離は50kmにとどめましょう。最初はまず,これくらいから・・・・。
走り慣れてくれば,例えば平地15km/時間,上り300m/時間さらには20km/時間,500m/時間のようにペースが上がってくることでしょう。自分のペースをつかんで無理のない計画を立てましょう。
○もちろん,見学時間は別に
見学時間は走行時間とは別に必要です。せっかく金比羅さんに行って前を素通りというのもネ。時間が余ったからといって先を急ぐ必要はありません,途中の湖畔で物想いに耽るフリをして昼寝していきましょう。
■輪行のすすめ
私のツーリングは自転車を分解して列車や飛行機等の交通機関に乗せていく(「輪行」とよびます)場合がほとんどです。本ノウハウの重要な(不可欠な?)要素が「輪行」です。
自宅から自走ではツーリングの範囲は限定されてしまいます。カーサイクリング(自動車に自転車を乗せていく)も考えられますが,クルマをデポ(駐車)した場所に戻らなければならない,もちろんドライバーは飲酒不可,遠隔地までクルマで行くのは困難(国外は不可能)等の制約もあります。輪行を活用すれば,これらの制約をうけることなくコースを書くことができます。
そのために自転車は分解しやすい必要があります。クイックハブが採用されている自転車なら問題はないことでしょう。軽い自転車の方が楽ですね。自転車を分解する技術をマスターしてより遠くのツーリングに挑戦してください。
■コースの向き
○海岸右回り,湖岸左回り
海や湖がよく見えるのは海や湖に近い方です。日本は左側通行なので,海岸は右回り(時計回り)に、湖岸は左回り(反時計回り)に走ることにしています。海や湖からクルマが飛び出してくることはないので安心して走れます。札幌から北海道一周に出発するなら,最初に行くのは小樽ではなく,オロロンラインから稚内を目指します。
○峠は短くて急な方から
峠を上るのに,短くて急な方からがいいでしょうか?長くて緩やかな方からがいいでしょうか?。短くて急な方を上って,長い下りを楽しんだ方がいいという人が多いようです。
○高くに下りて,低くから帰る。
輪行する場合は,標高の高い方で列車を下りて,標高の低いところから輪行して帰れるようにコースを書きます。そりゃ,私だって楽な方がいいですよ。
○近くに下りて,遠くから帰る。
輪行するコースでは近くで列車を下りて,遠くから列車に乗って帰ってくるようにしています。遠くまで列車で行ってしまうと走る時間がなくなってしまいます。帰りの列車はいくら暗くなってもいいのですから。
■ツーリングのストーリィ
ツーリングにはテーマのほかにストーリィもあります。
○ツーリングは点ではなく線。
自転車ツーリングでは目的地に行くことだけが旅の目的ではありません。途中の道を楽しむことに重点があります。景色の移り変わり,峠への登り,峠から風を切って下ってきます。道に沿ってストーリィが展開していきます。
○ピストンコースは?
よほど魅力的なポイントが行き止まりの道にないとピストンコースは書きません,私。さっき(昨日)走ったコースを戻るのは・・・ストーリィの流れを切るような気がするのです。
○時には気分を変えて
ツーリングに変化をつけるために自転車を船に乗せることがあります。海からの眺めはマッタク別の眺めになります。
○クライマックスは後半に?
ニュージーランドに行ったときは世界の奇景ミルフォードサウンドを最後にもってきました。その前の2日間は南島の南端を走って一日中羊さん(+牛さん、鹿さん)ばかりで人間の姿をほとんど見ない(通るクルマはありますが)ニュージーランドの田舎を満喫しました。
■宿の予約
宿にはYH,とほの宿,サイクリングターミナル,民宿,旅館,ビジネスホテル,高級温泉旅館などいろいろあります,予算も考えてお好みのままに。
○あらかじめ宿を予約される几帳面なあなたに
コースが決まっているときはあらかじめ宿を予約していった方が安心ですね。ガイドブック,時刻表,宿泊表等で予約しておきましょう。当日の朝には○時ごろ着きます。予定通りの人数ですと確認の電話を入れると宿の方も安心されることでしょう。
○いきあたりばったりの旅が好きなあなたに
コースをあらかじめ決められない優柔不断なあなたや,風の吹くまま漂うのが好きなあなたも,午後半ばごろになれば、今日はどこまで行くか(行けるか?)めどがつくことでしょう。当日でも(できれば午後の早めの時間に)電話を入れた方が断られる確率が少なくなるようです。宿の方も安心するんでしょうね,突然飛び込みで行くよりは。
夕方に飛び込みでいくときは夕食の用意ができない場合もあります。特にお客さんの少ない時期と地域では,心の準備をしておきましょう。「今日は満室です。」と断られても、「この時期,満室なはずがないでしょう。」と言ってもしかたありません。今日は一人もお客さんがいなくて「休館日」で何も準備をしていないのですから。
■コースをツーリングに
○コースを走ります
コースは実際に走ってツーリングになります。ツーリングのすべてを予めコースに書くことはできません。天候、出会い、トラブルをプランニングすることはできません。あなたのツーリングには自然と運命という二人の共同執筆者がいるのかもしれません。
○臨機応変に
コースにとらわれ過ぎる必要もありません。コースがフィールドに最適なものになっていない場合もあります。天候がコースを変えてしまう場合もあります。林道で日が暮れそうだったら・・引き返す勇気も必要です。
○いきあたりばったりも
コースをどこまで詳細に書くか?も人それぞれです。ツーリング中にコースを変えてしまう人もいます。その日,その日でコースを決めていくツーリングもあります。完全にいきあたりばったりツーリングもありうることでしょう。
■宿泊ツーリングの持ち物
泊まりがけツーリングでプラスされる携行品もあります。
○地図
地図はツーリングの視野を広げてくれます。道路標識を頼りに走っていたのでは,周りの道は見えません。地図があれば千里眼です。寄り道も道草もコースの変更も自由自在です。寄り道のプロは道の一本一本をたどれる5万分の1の地図を使います。山道に入る時はさらに2万5千分の1の地形図を持っていきましょう。
長期のツーリングでは地図の量も増えますし,プランニング用の地図(20万分の1の地勢図,ツーリングマップル)だけでツーリングしてしまうこともあります。不自由さもまた佳きかな。
○着替え
洗濯は衣類量を削減します。私と一緒にツーリングしたことがある人は知っているかもしれませんが・・・私は宿に着くとすぐに風呂に入り,着ていたものを洗濯してしまいます。速乾性の衣類ならば翌日の朝までには乾きます。具体的には衣類を2セット持っていきます。1セットは着て,1セットはバッグの中に。洗濯して翌朝には乾くならば・・・1セットでいいという場合(着たきり雀作戦)もあることでしょう。
○洗面用具
タオル,歯ブラシ等の洗面用具も必要です。肌荒れ防止用のスキンクリーム,日焼け止め液も必要に応じて。
○輪行袋
「輪行」で分解した自転車を包む袋が輪行袋です。輪行に使う中締めベルト(フレームと車輪を固定します),輪行に使う工具も一緒に入れておくと便利でしょう。
○工具
走る距離が長くなればトラブルの確率も増えます。アーレンキー,ドライバー等に加えてニップル回し,チェーン切り(もちろんアンプルピンも忘れずに)の携行も検討しましょう。もちろん車輪の振れ取り,チェーンの交換ができなければ意味がありませんが。
○オイル
雨の翌日にはチェーンも油も切れてしまいます。キュルキュル音をさせながら走るのも気が重いものです。携帯用のオイルも持っていきましょう。
○お昼の手配
お昼の手配も考えておきましょう。街から離れた峠でお昼の場合はお弁当,オニギリ等を持参しましょう。コンビニで調達するのが簡単でしょう。
■ツーリングを終えたら
○記録を残しましょう
できればツーリングの記録を残しましょう。年月日と宿泊地だけでも役にたつものです。地図に書き込んでもいいですし,日記に書いてもいいことでしょう。ツーリングの記録用のリストを別に作成できればより使いやすいことでしょう。記録は,自分の記念にもなりますし,次のコースを考えるときの参考にもなります。あとから行く人へのアドバイスにも役立ちます。
○感動を伝えましょう
もし可能ならば,あなたの感動を伝えましょう。あなたのご家族に,お友だちに,周りの方に。ニューサイクリングにもあなたのツーリングレポートをお寄せください。ひょっとしたら一緒に走る仲間が増えるかもしれません。
サイクリングのことで疑問,質問がありましたら自転車ツーリング再生計画
http://homepage1.nifty.com/kadooka/
のツーリングなんでも相談室
http://bbs1.otd.co.jp/kadooka/bbs_thread
にもおいでください。
(ニューサイクリング2004年7月号掲載)
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