死都ブルージュ 聖血の行進



ブルージュでは年に一度、キリスト昇天祭(2004年は5月20日)に、起源を12世紀にさかのぼる「聖血の行進」というお祭りが行われます。

第2回十字軍に参加したフランドル伯ティエリー・ダルザスが、1150年、聖血(アリマタヤのヨセフが聖杯に受けたとされるキリストの血の一部)をエルサレムから持ち帰ってブルージュにもたらしたと伝えられ、記録上は、1291年からこのお祭りが行われているそうです。

現在の行列の大枠は、ブルージュの最盛期(15世紀)の形を踏襲しているそうです。それぞれのシーンを担当するギルドや国家や都市(イギリス、ケルン、フィレンツェなど)を見るだけでも、往時の繁栄がしのばれます。

ところで、わたしたちの宿泊したホテルは、行列の出発点にあたるザンド広場に面し、しかも広場に面した窓のある部屋という絶好のコンディションでした。しかし残念ながら、目の前にどーんと大きな木があったため^^;、目の前を通る行列の写真は撮ることができず、広場出口のようすを斜めに撮影する格好になりました。しかも、写真を撮影するつもりもなかったので望遠レンズを持って行かなかったため、豆のような小さな画像になってしまいました。大きな画像は、広場に降りて人垣のあいだから撮影したものです。広場と部屋を行ったり来たりしているうちに、撮影しそびれたシーンもあります。

それでも、行列にはどんなシーンが採用されているのか(役者たちは寸劇を演じながら行進します)、行列はどういう構成になっているのかを見るだけでも、雰囲気は味わえるのではないでしょうか。

つたない画像と説明ですが、「ブルージュの一番美しい日」の片鱗でも感じていただければ幸いです。

なお、撮影できていないシーンには、「聖血の遺物」の画像を置いておきます(^^ゞ 重要な新約聖書の部でたくさん抜けているのが残念です。




導入部
1 ブルージュ市警の先導
2 Noble Brotherhood of the Holy Blood
3 ブラスバンド
4 市旗と聖血旗を持つ騎手たち
5 「ブルージュ最良の日」

ダンサーたちによる演技
6 ブルージュの守護者である聖母マリア

先導するのは、かつて市の警備にあたっていた聖セバスティアヌス(射手)ギルド。

下の写真の先頭を行くマリアは、派手な金色の王冠をかぶっています




旧約聖書の部
7 エデンの園、追放、兄弟殺し

剣士のギルド担当、剣を持った天使がアダムとイブを追放したから。

アダムとイブの後ろにはかわいい動物たちが続き、最後は蛇。

8 神とアブラハムとの契約

仲買人のギルド担当、仲買人は契約に関係するから。
9 売られるヨセフ
(画像これでいいか?)

穀物計量者のギルド担当、ヨセフはエジプトで穀物管理に携わったから。
10 ファラオとヨセフ

この前後、ラクダが6頭ほど登場。ラクダって大きい。おとなしく行進する姿に感心した。
11 預言者たち
(画像これでいいか?)

カルメル会教父担当 カルメル会の設立者は、紀元前九世紀の預言者エリアとされているから。



新約聖書の部
12 「露を滴らせよ」(救い主が訪れますように)

仕立屋ギルド担当 縦糸と横糸は、イエス・キリストの降臨にまつわる時間と永遠とのからみあいを象徴するから。
13 キリストの誕生

ケルンの商人担当 ケルン市は東方三博士の遺物を保有しているため。
14 東方三博士

画像これでないことはわかっているのですが^^;。かわいいヒツジさんたちです。
15 イエスと博士たち
16 洗礼者ヨハネ、ヘロデとサロメ

フィレンツェ担当 洗礼者ヨハネはフィレンツェ市の守護聖人だから

ヨハネ、ピンボケです^^;

サロメはときどき踊ってました。


17 子どもたちを祝福するイエス

学校教師担当
18 エルサレム入城

イギリス商人担当 英国にキリスト教をもたらしたカンタベリーのアウグスチヌスは、anglesはangelsと名付けられるべきと考えた。ホサンナは天使の歌なので、このシーンは英国人により演じられる。

背景に、ザンド広場のケバい遊園地のようすが写っています^^;


19 最後の晩餐

担当団体わかりません。原文通りで行きます。presented by the thirteen=chamber of the rhetoricians of the holy ghostだそうです。というのもこの組織は、最後の晩餐を記念する洗足木曜日に設立されたからだそうな。
20 ピラトとイエス

裁判所書記担当
21 鞭打ちと茨の冠

煉瓦・石職人ギルド担当 「冷たい石の上のイエス」という1900年制作の彫刻が、ローマ兵に引かれて披露される
22 十字架をかつぐイエス

 
23 ゴルゴタ
24 スターバト・マーテル(哀しみに立てる聖母)

濃いメイクと美しい紫の衣装に身を包んだ女声合唱隊に先導されて、ピエタ像が行く。

25 聖墓

ロンバルディア担当 ロンバルディアの首都ミラノには聖墓の遺物があるため
26 復活

三聖人の修辞学部担当 聖バルバラ、聖カタリナ、聖マグダラのマリアを紋章とするから
27 復活の合唱

 
28 聖霊降臨

ろうそく職人ギルド担当

ううむ、この写真でいいんだろうか……?^^;



歴史の部
29 歴史部門開始の宣言

場面は十二世紀のブルージュへ
30 ティエリー・ダルザスがエルサレムより聖血の遺物をもたらす。
31 毎年、行列を敢行することが告げられる。
32 ギルドの商人たちが伯爵を歓迎
33 楽隊

34 旗振り

ペリカンのマーク。ペリカンは、子どもたちを餓えさせないために自らの腹を割くといわれ、キリストを象徴する。
35 ティエリーと家来たち

36 聖血の遺物をブルージュ市に手渡す

37 ブルージュ市民、勝利の歌

38 巡礼ギルド&生命の木(聖バーフ青年団)

手に持つシュロは巡礼のシンボル。

青年団は混成四部で平和を歌います。地球儀にはアンネ・フランクの顔も見えます。





聖血を敬う
さまざまな市民集団が聖血を敬います
39 陶器の聖母団

Brotherfood of Our-Lady-of-the-Pottery、聖母に対するこの呼称はベルギー独特らしい。

聖イデスバルドの遺物を持って。
40 目隠しの聖母団

41 聖ドナトゥスの遺物

42 聖エリギウス(金銀細工の守護聖人)の遺物
43 ロザリオの聖母

44 証人たちの合唱

45 バジリカ聖堂に昇格(1923.4.13)の祝い

聖血の聖堂が、バジリカ聖堂という格の高い聖堂に昇格したということ。
46 聖血団
47 スコラ・グレゴリアナ

わりと有名なグレゴリオ聖歌合唱団らしい。
48 聖血の遺物

聖グレゴリウスのギルド担当。中世の市警のようなものらしい。

聖遺物入れはさまざまな贈り物で飾られ、なかにはスコットランド女王メアリーからの「黒いダイアモンド」もあるという。

遺物をもっている人物は、ブルージュの司教。
49 聖職者たち

毎年、世界中からゲストを迎える。1973年には現法王(就任前か)も来たらしい。
50 ブルージュ市当局
51 カリヨンの山車と旗振りダンサー

カリヨンの澄んだ音により演奏されるのはヘンデル、ユダス・マカベイオスの有名な旋律。





ザンド広場でひととおり行列を見た後、わたしたちは閉会式が行われるブルグ広場に向かいました。

中世の大都市とはいっても、われわれの感覚から言うととても小さな町なので、市の要所は簡単に歩いて回れてしまいます。

以下は閉会式の様子です。
閉会式のあたり
マルクト広場

閉会式が行われるブルグ広場の反対側に位置し、ブルージュで一番大きな広場です。正面の立派な建物は州庁舎です。

ここには三面の座席がしつらえられ、そのあいだを行列が練り歩く格好になります。出発点のザンド広場とは比べ物にならない人出です。
閉会式会場のブルグ広場

このあと続々と関係者が入場。正面の建物の右手に見える部分、日陰になっていますが、バルコニーのように見える部分が、ふだん聖血の遺物が収められている聖血礼拝堂です。
人垣から見た閉会式

関係者がステージに上って簡潔な言葉をのべるたびに、ブルージュの司教が指揮を執って、ラテン語の歌が繰り返し歌われました。わたしはフラマン語もフランス語もさっぱり聞き取れなかったのですが、このラテン語だけはどうにかほぼ聞き取れまして(ないしろすごく短い^^;)、帰国してから調べたところ、コレであることがわかりました。




観光客でごったがえすお祭りのようすに、「『死都ブルージュ』のイメージがぶちこわれた(--;)」とおっしゃるかたは、ぜひ、中世思想原典集成愛好会のメンバーであるPyrvs Lvdens(遊ぶ洋梨)さんのすてきなページをご覧ください(^^)

なお、「聖血の行進」の公式ウェブサイトはこちらです。上で使用した「聖血の遺物」の写真は、このサイトからお借りしました。なお、聖血は、二重にガラスの容器に入っているそうです。



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