ゲント フランドル伯居城のお城祭り



ゲントは今回の旅で、ブルージュの次に気に入った町です。町並みのようすはブルージュよりもいっそう古く、重く、沈んだ感じに見えましたが(それがまたいいのです(^.^)。実際、フランドルの城塞都市としてはブルージュより古い)、なんといっても美術館がすばらしかった。

美術館とはいっても、聖バーフ大聖堂です。この大聖堂には有名なファン・アイク兄弟による祭壇画『神秘の子羊』があるのですが、しかしそれだけでなく、現在大規模な改修のため閉館しているゲント美術館(改修は2006年まで)から、ボッシュの『十字架を担うキリスト』や『聖日エロニムス』などの名作がこの大聖堂のクリプト(地下聖堂)に移され、なんとこちらは タダで見ることができるのです!! そんなわけで、聖バーフ大聖堂では、それはもう信じられないほど濃厚な時間を過ごすことができました(^^)

さて、ブルージュからゲントの鉄道駅について、トラム(路面電車)に乗ったまではいいのですが、車内に掲示している停車駅と、実際に停車する駅の名前が違うんです^^;。しまった間違えたかと思い、同乗の若い女性に「コーレンマルクト広場(市の中心部)に行くにはこのトラムでいいのでしょうか?」と尋ねたところ、「わたしもわからないんデス〜」とのお答え。どうやら周囲はみんな観光客らしく、うろたえている人が何人もいました。そのなかでフランス人らしき夫婦が運転手さんに聞きに行き、「このトラムでいいそうですよ〜」とみんなにアナウンスしてくれました。

あとでわかったことですが、これほど観光客が多かったのは、ちょうどその日がフランドル伯居城のお城祭りの初日だったからのようです(三日間ほど続くらしい)。わたしはそのことを知りませんでした。なにしろ、ゲントでは聖バーフ大聖堂さえ見ればいいやと思っていたので、ほかはおまけ程度に考えていたからです。しかしこのお城祭りでは、思いもよらぬ楽しい時間を過ごすことができました。

フランドル伯居城は、堀を巡らした城塞としては、フランダース(ベルギー北部)に残る唯一のものだそうです。1180年にフランドル伯フィリップ・ダルザス(ブルージュに聖血の遺物をもたらしたティエリー・ダルザスの息子)によって築城され、14世紀には本来の軍事的な役割を終えて、その後は貨幣鋳造所、裁判所、刑務所、綿紡工場など、さまざまな目的に使われてきました。裁判所、刑務所として使われるからには、拷問器具や拷問場所、地下牢などもあるわけです。

ゲントの町は、この城の城下町のようなものです。

フランドル伯居城は、ゲントのヘソとも言えるかもしれません。そんなお城のお祭りのようすをご覧いただきましょう。




フランドル伯居城のお祭り
「拷問博物館」になっているゲントのフランドル伯居城に入ろうとしたら、中から鷹匠が出てきて、鷹がバタバタと羽ばたきしたのびっくり! このときはまだお祭りをやっていることを知らなかった。
入り口に衛兵がいるのでまたびっくり。あたりをみると、今日からお城祭りがはじまったらしい。これはラッキー!
お城の内部に入ると、さまざまな職人がお店を開いていました。この女性は熱心に何かを作っています(きちんと写真に写っていないので、何を作っていたのか忘れてしまいました(--ゞ)
こちらも職人のおじいさん。
槍のような武器と、剣を売っている二人。
剣を売っていた若い男性が、洋服の内部を見せてくれました。腰まで届く鎖帷子をもちあげると……白い下着はコッドピース(股袋)つき。青い細身のズボンは、太ももから下のみを覆っています(ひものようなもので上から吊っている)。タイトなので、青い方が下着に見えるかもしれませんが、たっぷりした白いのが下着です。
バグパイプと手振り鉦と太鼓の三人組が、人形をロープに伝って歩かせる大道芸を披露。見物している子どもは、鎖帷子の衣装をつけている。
肉屋のおじさん。
フェルメールの絵に出てきそうな少女……
と、思いきや、その彼女がわたしに、「あなた、知ってマース。今朝、トラムで会いマシタ〜!」と英語で話しかけてきたのです!(母語はフランス語らしい)。わたしがトラムで最初に話しかけた彼女だったのです! 「わーい」とばかり記念撮影。どうやらアルバイトに来ているらしい。

けっこう寒いので、わたしはもってきた衣類を全部着込んでいます。
芝生の上では、三人で剣劇の練習。女性も剣を構えています。
こちらは二人で決闘の練習。
定刻に火縄銃を撃つ担当の人たち。火縄銃は耳をつんざく音です。
場内は、武器、武具、拷問用具などの博物館になっています。なぜ拷問かというと、このお城はながらく裁判所としても用いられていたのですね。ですから白状させるために拷問が用いられたのです。また監獄としても用いられました。地下牢などは、寒い上に衛生状態が最悪で(トイレもなにもない穴蔵に落とされるのです)、入れられたら最後、緩慢な死が訪れるのを待つしかありません。

この剣は床に固定されているため、持ち上げることはできません。しかし、このサイズはそれほど誇張ではないですね。実際に展示されていた剣の大きさには驚かされました。
これはギロチン。首を受ける袋がついています。この後、たくさんの拷問用具が展示され、また拷問部屋も見ることができましたが、あいにく写真は撮影しておりません(見るのに一所懸命だった)。当時は、犯罪者と狂人の区別はなかったことなど、フーコーの『狂気の歴史』を思い出させるような説明もありました。この博物館の説明はとてもまじめできちんとしたものだと思いました。
博物館内の進行方向標識もしっかりしていたし、説明パネルも四カ国語のわかりやすいもので、非常によく整備されていると思いました。フランドル伯居城は、とくに地域の子どもたちの教育施設として、活発な活動を展開しているようです。



最後に、ゲントの風景を二枚ほどごらんいただきましょう。最初のは、聖ミヒール橋から撮影したレイエ川とゲントの町並み。フランドル伯居城の下流にあたる部分に、ギルドハウスがならんでいます。



こちらはフランドル伯居城の塔から撮影したものです。ゲントの中心部はほとんど一望できます。お城はゲントのヘソだなぁ〜と実感。





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