鮮魚部門」での、とある一日

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AM6:59  出社。タイムカードを打つ。僕の上役である鮮魚部門のチーフは、6:00に、すでに出社している。まあ、それは別にイイんだけど。
 よくないのは、僕自身が6:00や6:30に出社させられること。店長や副店長以外では、店のカギは一つくらいしかないらしい。店長達が出社してくるのは、7時を回ってからなので、朝イチに来たニンゲンにもカギが必要となる。そのカギ当番になると、6:30出社になったりするのだ。それと、盆の忙しい時には、5:30出社だった。「その分の勤務時間についての割増賃金は…?」に関しては、後述。
AM7:02  昨日キャリーバックした商品を冷蔵庫から出す。キャリーバックとは、店内の販売用ケース内の商品を、閉店後に作業場の冷蔵庫に入れる作業のこと。生魚は、全てキャリーバックする。めんどい(^^;)。
 この商品を再び店内に陳列する前に、賞味期限切れのモノや、値段の変わるモノを別にしておく。生魚の賞味期限は、基本的に品出し日の次の日まで。ただし、うちの店では悪くなりやすい内臓などを抜いて、再販売することも。
 キャリーバックした商品を店内に出そうとしていたら、配送車が到着する。この朝イチの配送車は、お魚も運んでくる。この荷おろしを手伝ったあと、ようやく店内に昨日の商品を陳列し直す。
AM7:20  バラ売りの魚の準備をする。バラ売りとは、パックをせずに、魚を店内に置く販売方法。お客さんは、自分の欲しい数量だけを取ってレジに持っていく。レジでは、ダミーカードを使って清算。ダミーカードってのは、ダンボールの切れ端に、その商品のバーコードを張ったモノ。魚に直接シールは貼れないので、レジで処理してもらうのだ。
 このバラ売りの魚(アジ・サバ・サンマなど、数量をさばける魚が主)を店内に出す。
 そのあと、昨日のうちにパックしておいた冷凍のイカの輪切りなどに値札シールを貼って品出し。さらに、アサリのパックも品出し。
AM8:00  特売の商品をパックに詰めていく。切り身などは、出来合いのモノもあれば、店で切っているモノもある。ただし、切るのはチーフがやるので、僕はパックに入れるだけ。
 チーフは魚を調理中。刺身用の鯛などは、店で全ての処理をするのである。他の魚は、たいてい、"あとは刺身にするだけ"という状態で仕入れてるんだけど。
 ちなみに、午前8時に、うちの店は開店する。うちの店は、オール日本スーパーマーケット協会(AJS)に加盟している。AJSとは、関西スーパーとかいふところが主催する協会らしく、全国のスーパーマーケットが数多く加盟して、経営の勉強などをしている。このAJSが作った経営の指針を、うちの会社も利用している。
 さて、このAJSの指針によると、"開店時に100%の品揃え"となっている。しかし、うちの店では出来ていない。てゆうか、午前8時に開店するスーパーというのは、完全なイレギュラーだそうである。
AM8:30  パートのおばちゃん方が出社してくる。うちの店では、二人いらっしゃる。ちなみに、鮮魚部門の構成員は、社員三人と、パート二人、アルバイト一人。社員二人は、チーフクラスの仕事ができる人間で、あとはぺーぺーの僕。社員は、常に二人以上いるように休日を調整している。
 パックに商品を詰める作業をパートさんにまかせて、僕は品出し作業に回る。
 さて、パートさんにパックに詰めてもらうといっても、基本的に、トレーに入れてもらうだけなので、品出しの前にラップを巻かなくてはならない。うちの店は大きいので、ラップ巻きと値札貼りを同時にこなすゴツいまっしーんがある(小さな店では、小さなラッパーでラップをまきまきする)。この機械、時々調子が悪くなるのが難点。
 値札貼りは、それぞれの商品に割り振られた品番と、その値段を機械に入力して行う。僕は、よく間違ってしまう(爆)。品番を、ある程度覚えておかないと、作業時にもたついて叱咤激励されてしまう。
 魚の値段は、本部から指定されている売価表を元にする。可能な範囲内で、なるべく高くする(笑)。"1Kなんぼ"とかで決まっているので、それを元に計算するワケだが、カワハギやゲンチョウ(赤下ガレイ)などは、内臓をなどを取ってから売るので、その時点での重量を測ってから、売価を計算する。ヘタっぴがやると、必要な部分まで取ってしまうので、売価が高くなってしまう。
AM10:00  延々と品出し作業が続く。二人のパートさんがトレーに詰めた商品を、僕一人が品出しをすることになるので、だんだん間に合わなくなってくる。そのため、最大限のスピードで作業しなくてはならないのだが、テンション低い人間にはムリというモノ。パートさんにラップ巻きとシール貼りをしてもらって、ナンとか仕事を進めることも、少なからずある。
 また、この時間帯になると、お刺身用のブロックを品出しすることになる。ブリとハマチのブロックの区別は、結局出来なくて苦労することもあった。いや、まあ、両方並べられれば分かるんだけど。……にしても、聞くのがめんどーなのでうやむやにしておいたけど、ブリとハマチって、別の魚かいな?
 この時間帯でメンドいのが、「刺身をくれ」という客。この時間帯では、売り場には、まだ刺身が無いのだ。だから、お客さんに頼まれたら、別の魚を調理中のチーフに頼んで、わざわざ作ってもらうことになる。
 魚の調理を頼まれるのもメンドい。「うろことおなかを出して」「二枚におろして」などなど。忙しい時間帯に数人のお客に頼まれると、時間的に完全にアウトになる。小さいキスゴを何パック分も持ってきて「開いてくれ」、イワシを10匹ほど持ってきて「3枚におろしてくれ」。思わず「いやです」と答えたくなるが、笑顔で承諾。忙しそうにしてたら、遠慮したって下さい。「調理いたします」とか掲げてても、いわゆる社交辞令だと思って下さい。
PM12:00  さらに延々と品出し。常にフルスピードで動く必要がある職場だ。
 パートさんには、特売→定番→アラという順番でトレーに魚を詰めてもらっている。この時間帯になると、もうアラも売り場に出しておかねばならない。
"アラ"というのは、文字通りそのまま。刺身や切り身用におろしたタイやハマチの頭部や中骨を、商品として売るのである。ハマチなんかはどう使うか知らないが、タイは頭だけでも吸い物などに利用出来る。アラは、なかなかよく売れる。安く売ってるせいもあるんだろうけど。
 刺身同様、まだアラをパック詰めしていない段階で、「アラをくれ」という客も当然いる。そういえば、以前、「アラをくれ」とお客さんに言われたので、「鯛のですか? ハマチのですか?」と聞いてみると、「なんでもいい」ってのがあった。よくよく話を聞いてみると、カニやエビを取るために、魚のアラを使うらしい。つまり、「鮮魚部門から出るゴミを下さい」というコト。サバの頭などをタダで差し上げた。
PM12:30  生魚を売り場に出し終わったので、塩干商品を売り場に出していく。塩干商品とは、塩サバ、塩ザケ、や干した魚、明太子などなど。加工された商品である。売り場を見て、減っていた商品があれば、冷凍庫の中から出して、値札を付けて品出しをする。
 そういや、"品出し"という言葉の説明がまだだったなあ。要するに、商品に値札を付けて、売り場に並べていくこと。僕が出来る唯一の仕事といっても過言ではない(爆)。
 さて、塩干商品の品出しだが、値段を付けるのが、これまたメンドい。商品ごとに、賞味期限を、きちんと付けなきゃならないモノが多いのだ。生魚なら、ほとんどが一日プラスするだけだが、塩干では、それぞれ違う。値段も、特売になれば変わるし、定番の商品の値段も、ある程度覚えておかないとハナシにならない。
 また、本部からの配送車は一日3回(7:00、12:00、13:00)来るのだが、その車に、発泡スチロールの箱などを載せて帰ってもらわなければならない。鮮魚からは、その箱が大量に出るので、けっこう大変。背の高さくらいに積み上げた箱をビニールひもでくくる。一山だけでは終わらない。3〜5個くらいは発泡スチロールのタワーが出来てしまうのだ。
PM14:00  ようやく、品出しが一段落。塩水機に塩を入れてから、休憩にあがれる。塩水機とは、冷たい塩水の入った水槽のことである。まあ、たんに、水を循環させる装置のついた水槽に、水をためて塩を入れてるだけなのだが…。本来は水を冷やす機能もあるようだが、それは使用されておらず、水を冷やすために大量の氷を投入している。この塩水機は、魚の下処理に使われる。調理後の魚や、調理前の魚を、この冷塩水につけると、余計な肉汁などが抜け、身がしまるのである。ちなみに、よく魚のトレーに汁がたまっているが、アレを"ドリップ"と呼ぶ。ドリップが出てると見苦しい。困り者だ。
PM14:10  店の裏手にある休憩室(小さなプレハブの建物)にて、昼食をとる。昼食は、弁当屋に頼んで、毎日持ってきてもらっている。この昼食を頼むと、22食分で7875円が、月給から天引きされる。自分で食事を用意しなくていいし、弁当の中身もまあまあ。ワイドショーを見ながら食べるのが基本である。
 休憩は70分間ある。チーフと交代で休憩にあがるので、僕がめいいっぱい休めば、チーフが休憩に飯にありつけるのは、だいたい1500時というコトになる。まあ、それは別にイイんだけど(笑)。
 男性の社員さん達は、ほとんどの方が、昼食後は自分の車で仮眠をとっておられる。勤務時間が長いので、必須事項なのだろう。僕には車が無いので、休憩室で机に突っ伏したり、椅子に座ったまま仮眠をとったりしている。
 朝から7時間以上働いて、ようやくの休憩なので、比較的…というか、かなり疲れている。夜更かしを毎日しているので、とにかく睡眠を欲っしてしまう。
PM15:30  休憩後の仕事は、売り場の整理や追加の品出し。それが終われば、次の日の準備など。冷凍イカの輪切りや、うなぎの蒲焼(これも冷凍)などをパックに詰めて、ラップを巻いて、再び冷蔵庫にしまっておく。冷凍モノは、必要なときに必要なだけ冷凍庫から出して使えるのでベンリなのだ。
 また、この時間には、賞味期限切れの商品を台帳に記入して、廃棄する。
 午後4時になると、バイトも出社してくる。アルバイトさんの仕事は、冷凍モノのパックと、塩干商品の見切り、そして掃除。
PM17:00  1630時頃には、冷凍モノのパック詰めも終わり、掃除を始めていることも多い。その掃除を手伝いつつ、午後5時になると、賞味期限が今日で切れる商品の見切りをしていく。
 見切りってのは、値引きのコト。基本は10%引きシール。あまりに売れ残りが多いようなら、50円引きと100円引きのシールを使う。このシールの方が目立つし。
 値引きを始めると、周りに客がむらがってくることがある。「これは安くならんの?」と聞かれることも多し。まあ、普通の行為ではあるけれど、気が立ってる時は、"浅ましい"と感じてしまう。店員が値引きしているのを気にかけないフリをしておいて、値引きシールが貼られた直後にサッと商品を確保.。その方がスマートというもの。
PM18:00  この時間になると、賞味期限が今日で切れる商品を半額に見切っていく。ちなみに、お刺身も賞味期限が当日限りだが、この時点では、まだ見切らない。売れ残り数を見つつ、19:00過ぎ頃に半額まで見切るのが普通。
 この時間には、作業場内の掃除をしていることが多い。まな板を洗い、デッキブラシと洗剤で床全体をゴシゴシ。作業台もゴシゴシジャブジャブ。キャリーバック用のカートを用意して終了。
PM18:45  さて、待望の退社時刻。しかし、この時間に帰れることは少ない。1900くらいにはなる。まあ、精肉部門の社員なぞ、いつも1945時くらいまで残っているが…。
 それは置いといて、なぜ1845時が退社時刻なのか? それは、うちのスーパーの本部の退社時刻が1845だからである。各店舗の社員も、同じタイムスケジュールになっている。
 ここで、このページの上の方を見てもらいたい。出社は何時だったでしょう。0700時である。休憩時間を引いた労働時間は、10時間35分。8時間を超える労働時間は、2時間35分。その分の割増賃金は…"無い"。事務所の非常に見にくい場所にある労働規約を読んでみると、たしかに「所定外の労働時間については、2割5分増しの賃金を支払う」という内容がある。同期や先輩の社員に聞いてみても、残業手当は無いといふ。また、前述の早出した分の割増賃金も無い。
 お上に対しては、虚偽の申請で済んでしまうのである。
 古来メソポタミア文明のことわざに、"赤信号、良く見て渡れば怖くない"というのがあると、老師(謎)に聞いたことがある。青信号だからって、安全を確かめずに渡るより、たとえ赤でも、ちゃんと左右を見て渡ればおっけえなワケで。
 この業界、こげん会社が、どの程度の割合でいるのかは知らない。とりあえず、うちのスーパーの商品は、社員からの搾取(そして、社員自身の怠慢)により安値を保っているワケである。この会社の社員である限り、世間の談合事件・詐欺事件・政治家(笑)等にも意見は差し挟めまい。
PM19:30  さて、終業時間は18時45分なのは前述したとおりである。しかし、月に約8回ほど「遅番」というものがある。「夜間当番」とも呼ばれるもので、ようするに閉店まで店に残るワケである。
 店舗によって違うが、僕のいるトコロでは、閉店は午後8時である。それまでの間は、鮮魚にはそれほど仕事は無い。塩干商品の補充をするか、細かいお掃除をするくらいである。しかし、店内のドライ・日配部門担当の社員ってのがいないため(店長と副店長がいちおう担当だが)、そこの手伝いをさせられることもある。なお、夜間当番でない時にも手伝わされることがあるが、その場合は、完全なタダ働きになる。また、自分の部門の仕事が終わっていない時も、けっこうサービス残業をすることになる。精肉部門など、19時30分より早く終わっていることはメッタに無い。
PM20:00  さて、閉店である。とはいえ、19時50分頃から、商品のキャリーバックなどを始めてもよいことになっている。というワケで、生魚を、陳列棚から作業場の冷蔵庫にキャリーバックしていく。お客が少々いても、「いらっしゃいませ」といいつつ、商品を片付けていく(爆)。
 遅番の仕事は、各ドアの戸締り点検、消灯、ガス等の元栓締めなどである。女子社員とレジのアルバイト達は、お金の清算作業を担当する。
PM20:30  これでようやく遅番が終わりになる。全員が外に出て、カギをかけて"お疲れ様"でおしまい。ときたま、店内にワックスがけの業者が入ることがある。このとき、店長は午前1時まで居残っているそうな(^^;)。
 さて、ここで、もう一度労働時間の確認である。1845時から2030時が、通常よりも余分な労働時間である。約1時間と45分。僕の時給が、約1000円であると仮定してみよう。その1.25倍は1250円。それに1時間45分を掛けると、2187円。で、実際にもらっている遅番手当てはいくらかというと……千円ポッキリである。1円の誤差もない。正真正銘のせんえんである。他の社員にしても同じで。実際の給与に関係なく、固定料金なのである。
 遅番の時の8時間を超える労働時間は、4時間20分に及ぶ。本来なら5000円以上貰えてしかるべき…というか、貰わなきゃならないのだが、1000円しか貰えていない。"バカ"である。

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