1991年5月 抹茶ミルク愛好会制定
あらまし
1991年春、某高校地学教室、一人の男が悩みを抱えていた。
彼は抹茶ミルク愛好会の会長である。
そう彼の周りの人間はだれ一人この至高の一品抹茶ミルクをおいしく飲んではいなかった。
彼は考えた。「俺が皆においしく正しい抹茶ミルクの飲み方を伝授しなければ!」と。
そして一ヵ月に及ぶ苦悩と研究の末それは完成した。
このマニュアルは彼の血と汗と涙の結晶である。(半分実話)
購買編
1.自販機で買う場合は10円玉を先に投入すべし。
(*100円玉を先に入れると故障の場合に損害が大きいので。これも実話)
2.店頭で買う場合、及び自販機から缶を取り出す時は、決して缶を握るように持ってはいけない。冷たい抹茶ミルクのおいしさを逃がさないようにしましょう。
3.店頭購入の際、すぐに飲まない場合は缶をさかさまにして運ぶべし。
飲前編
1. 缶を開ける前にまず缶を振らなければなりません。このマニュアルで最も重要なポイントはズバリここにあります。中の沈殿した成分がまろやかなハーモニーをかもしだす程度、かといってあまり泡立てない程度にリズミカルに心地よく振らなければいけません。これこそ抹茶ミルク職人の腕の見せ所、おししくなるかならないかの80%はここで決まります。
2. 次に缶を時計周りに3回まわします。缶を振るのに研ぎ澄ました神経をここでリラックスさせましょう。
3. そしてこんなすばらしい製品を世に送り出してくれた伊藤園(現在ではダイドーでも可)に感謝の気持ちを込めつつ缶を開けます。
飲中編
1. 次に飲むときのポーズですがこれには2通りのやり方があります。
(一)正座して右手は缶の上辺をつかみ、左手は缶の底に軽くそえる。
(二)直立不動の姿勢で、片手は缶を鷲掴みにして(ここまできたら鷲掴みしてもOKです)もう片方の手は腰にあて天を仰ぐ。
2.抹茶ミルク、その最初の一口は一気に流し込むように飲みましょう。
3.抹茶ミルクを飲んでいるとき、あなたは究極の快楽の中にいるかもしれません。しかしそれをこらえて、1/3〜1/4程度を残して一度口を離します。そして(一)のポーズで飲んでいる人は「結構なお手前で」、(二)の飲み方で飲んでいる人は「プハー!」と一言発しましょう。そして残っている抹茶ミルクをゆっくり味わいましょう。こうすることによって抹茶ミルクのもつ爽快感、そして深い味わいを知ることが出来るでしょう。
飲後編
1. 飲み終わった後は目を閉じ余韻に浸りましょう。その後、空になった缶を愛しく見つめるなどすればいとおかしという感じです。
2. 空缶は環境のことも考えて燃えないゴミのくずかごに捨てましょう。上級者ならば缶を洗いコレクションするなり、飾るなりして楽しむのもいいでしょう。
このマニュアルの原案を公表したとき、愛好会員とのあいだでさまざまの議論がかわされた。
会員A「なぜ腰に手をあてるのか?」
会長 「抹茶ミルクの半分は牛乳でもある。だから牛乳の正しい飲み方を取り入れてみた。」
会員A「おお、なるほど」
会員B「ではなぜ2回に分けて飲まなければいけないの?」
会長 「俺がその方がおいしいとおもったからだ」
会員B「なんて奥深い!」
こうした議論の末にこのマニュアルはほぼ完全といえる形で仕上がった。
1995年追記
いまでは抹茶ミルクはほとんど見かけない飲みものになってしまった。しかしこのマニュアルは今でも十分皆さんの人生の役に立つものと思い今回記載した。これが少しでも皆さんのお役に立てることを願いつつこのマニュアルが再び日の目をみたことをうれしく思う次第である。
1999年追記
世紀末も近いというのに、いまだに抹茶ミルクを超える清涼飲料は発売されていない。にもかかわらず抹茶ミルクはブレイクすることなく、店頭で姿を見ることもなくなってしまった。今回このホームページを開設した目的はずばり抹茶ミルクのブレイクにある。こんなおいしいものが世の中から消えるなんて間違っている。というわけでみんな飲め!そして再発売しろ伊藤園!
参考資料:上村家秘蔵『伊藤園抹茶とミルク』94.7.24製造空缶