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| 砂 防 堰 堤 |
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| 1.その目的: 日本の山岳地帯は急峻であるうえに、火山や断層あるいはその土地の地質 の持っている特性により、土砂の生産量が多い。 一方、河川は河況係数(高水時と平水時との流量の比)が大きく(100 〜 1,000 。欧米の河川は10前後)、高水時には上流から大量の土砂を含んだ水 が洪水となって下流に大きな被害を及ぼす。 このような被害を防止するために渓流部に設置されたものが砂防堰堤で、 その名のとおり上流部から流出した土砂をそこに貯めて、下流へ流さないよ うにするためのものである。 |
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| 2.丹沢における砂防: 1923年9月の関東大地震と、翌24年1月の丹沢山塊北部を震源とす る2つの強い地震と大雨によって丹沢山塊は各所で山崩れを起こし、山は荒 廃した。丹沢においてはこの復旧工事としての砂防事業が最初で、1980 年には611箇所の砂防堰堤が設置されている。 丹沢山塊は地質的に崩壊を起こしやすい一方、地形的にも若いために土砂 の生産量も多い。それに追い打ちをかけるような林道工事と広面積の伐採に より、いまだに崩壊地は多い。特に1972年7月の豪雨のあとは、河川の 幅が広がり様相が一変し、堰堤そのものが埋没してしまったものを神ノ川水 系で見たこともある。 |
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| 3.砂防堰堤の理論: 1 まだ、堰堤の後には土砂が一杯に貯まっていない。 2 満砂の状態では、もとの河床勾配の約1/2 の勾配で土砂が貯まる。 3 大出水により土砂が多量に出てきた場合には、元の河床勾配とほぼ同 じ勾配まで土砂が貯まる。 4 その後、出水で徐々に土砂を下流に流し2の状態まで戻る。これを土 砂の調整作用という。 |
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| 4.砂防堰堤の問題点: a.河床勾配の変動 河川は上流からの土砂の供給量が侵蝕量を上回ると堆積し、その逆 になると侵蝕が起こる。砂防堰堤が作られると、上流側は土砂が貯ま るために河床が上昇し、下流側では土砂が供給されなくなり侵蝕が卓 越するため、河床の低下が起こる。 b.生態系の変化 堰堤ができることにより、当然周囲の環境は以前のものに較べて大 きく変化する。生物相にも影響は大きく、生態系も変化するはずであ り、安定するまである程度の時間が必要であろう。山岳地の多くの砂 防堰堤では魚道が確保されていないことが多いので、堰堤をはさんで 上流と下流の魚類が交流する機会は極めて少なくなると思われる。 |
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| 5.砂防とは堰堤を作るだけのことか?: ただ堰堤や土止めを作ればそれで砂防になるのではない。河川に土砂を供 給しないようにするのであるなら、山全体をコンクリートで覆えばよい。し かし、堰堤以上の砂防の効果を持つと思われる森林の効用は砂防だけではな いのである。 丹沢山塊の場合は、地形的・地質的に見ても今後とも土砂の生産量は多い であろうし、堰堤のはたす役割も大きくなるであろう。だが、今後取り入れ ていくべき砂防は堰堤という工学的な面だけではない。森林という生物学的 な面も考慮しなければならない。 森林は砂防だけでなく、洪水調節・レェクリェーション等多くの効用を持 つのである。 工学的な砂防ではなく、生き物として川を扱うような学術的な研究、そし て従来の土木部だけでなくこの枠を越えた行政の対応を期待したい。 |
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《参考文献》神奈川県土木部 1980 「神奈川の砂防」 (小田島 一生) |
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