昔のブログで書いたRAINBOW特集のまとめサイトで、RAINBOWの歴史と音源を考察するというコンテンツです。
「Come Taste The Band」/ DEEP PURPLE
1.Comin'
Home 2.Lady Luck 3.Gettin' Tighter 4.Dealer 5.I Need Love 6.Drifter 7.Love Child
8.A) This Time Around/B) Owed To 'G' (Instrumental) 9.You Keep On Moving
「リッチー原理主義者」には「駄作」、「ゴミ」と当時流行しつつあったパンク・ニューウェーブのような酷い扱いを受けてきたし、筆者自身も高校時代は全く評価していなかった、というより聞かず嫌いをしていた。
しかし、先入観を捨てて聞いてみると第2・3期とは異なる、ファンキーでブルージーないい作品ではないか。
「これは乗り遅れた」と初めて聞いた時に痛感した。
様式美HRではない。
しかし、稀代のロックシンガーが自在に歌う良質の歌モノに、技術は折り紙付きなバック陣が対立ではなく調和している作品である、というのが筆者の評価である。
リッチー時代、特に、2期において顕著だがリッチーのギターVSジョン・ロードのハモンドオルガンVSイアン・ギランの大バトルな感じが強かった。個性と個性のぶつかり合いであり「この緊張感こそがDEEP
PURPLE」と思う人も多いだろうし、この時代はこの時代で大好きである。
この路線は「Burn」でも継続されたが、「Stormbringer」あたりから変化を見せ、歌を聞かせるバンドへと変わりつつあった。
そしてリッチーが抜け、「Stormbringer」をさらに推し進め、「闘争」から「調和」へと進歩した。
個人的に、「Come Taste The Band」はまだ序章であると思っている。
トミーがしっかりとした信念を保ち、この路線を推し進めてデヴィッド、グレンの歌がフューチャーされた良質の楽曲をベースにした大人のHRに進んでいったらどれだけ恐ろしいことになっていたか、と感じる時がある。
やはり、リッチー原理主義者は、そのへんをうまく分けられないに違いない。その気持ちはある程度は分かる。
実際筆者自身、リッチー・ブラックモアが大好きであるからこそ、このRainbow特集を書いているわけだし、トミーという異質の存在は、リッチーとトミーのギタリストとしての性格を聞き分けるまで認めたくなかったし、「Come
Taste The Band」を聞かず嫌いしていたのだから。
「分ける」ことは「分かる」ことである。分かって初めて「認める」ことができるのだ。
こうした前振りを基に作品の分析をしてみよう。
サウンドの大筋にアプローチすると表面的にはアメリカン・ミュージック的な乾いた音の感触、ソウルフルかつファンキーな色彩が色濃いが、バックグラウンドには英国ロック特有の翳りと重厚感がしっかりと残っている。
ある意味では、ボーダレスな良質の音と言えよう。
収録された楽曲のどれもがスリリングで素晴らしい。
スピーディで疾走感に溢れる「Comin' Home」はトミーの独特のギターが存在感をアピールしているし、デヴィッドの男を感じさせる歌と、イアン・ペイスのスピード感溢れるドラミングに引き込まれてしまうし、「Comin'
Home」から「Lady Luck」への曲の配置の仕方は絶妙だ。
ファンキーな要素の色濃い「Gettin' Tighter」はグレンの独壇場である。
ブルージーな「Dealer」や「Drifter」、重厚なリフの「Love Child」など、どの楽曲もいい曲だ。
「This Time Around」で幻想的な雰囲気を漂わせ、「Owed To G」に流れていく展開は、初めて聞いた時に思わずリピートしてしまった。
そして、ラストを飾るドラマティックな「You Keep On Moving」……涙なくしては語れない。黙って聞いてほしい。グレン・ヒューズ復活後の「Burning
Japan Live」での歌は、芸術の域まで達していた。夭折したトミーへの、漢としての愛が感じられた。
Webmaster Metropolis(通称メトちゃん)
azrael@104.net