【ポリオ 急性灰白髄炎】
これは今日本にはワクチン普及で、めったに見られないものですが、私の幼少時に
は少なくとも数人後遺症に悩む方を見ています。今も日本には野生株はなくてもアメ
リカや中近東には珍しくありません。
ただ日本に見られないので、ポリオと言う名を知ってても実際の疾患を知らない場
合も多いので説明を書いておきます。
感染経路は患者または不顕性感染者の糞便からの感染。またポリオワクチンを経口
接種した赤ちゃんや幼児の糞便からも約40日くらい、型によっては出ると言われて
います。
感染はporiovirusの感染によっておこるものです。ウイルスには1型、2型、3型が
あります。この混合がほとんどです。なおワクチンもこの3つに対して行います。
予防接種の種類、ご参考にしてください。ポリオワクチンは腸管で免疫形成をするので、
他の生ワクチンのように
ガンマグロブリン投与後の接種が制限されることはありません。
普通ワクチンを幼少時に2回受けておけば生涯免疫がつきますが、今21歳から25
歳までの(2000年現在で)成人者の中には幼少時受けていたワクチンが弱いことを指
摘されてることもあり、 海外在住で、長く中近東やアフリカなどの、まだ野生株が多
い所や医療従事者で患者さんに接する機会のある可能性のあるかたで、この年齢の方
は一度個別接種でポリオのみワクチンを接種しておいた方がいいかも知れません。(
なお生涯免疫があるかどうかは抗体価測定は可能です)
○実際の野生株による感染。
潜伏期は3-21日。 患者または不顕性感染者の糞便もしくは咽頭分泌液からの感染。
感染期間は潜伏期後期から急性期始め数日間(この間糞便や咽頭分泌液に出ます。)
症状ですが、この強毒の野生株に免疫をもってない(抗体をもってない)人が感染
しても、90−95パーセント以上は不顕性で、症状に出ない場合が多いです。ただこう
いった不顕性感染の人でも主症状に出なくても、糞便には病原性のあるウイルスを出
していますのでウイルス感染の仲介には確実になることがあります。なお上記に書い
ているように、すでに免疫をもってる、ウイルスワクチンを受けてる場合なら、不顕
性感染にもなりませんので糞便や咽頭分泌液にウイルスは出ず、仲介者にはなりませ
ん。
ウイルスは感染後咽頭部のリンパ組織で増えるが、その後腸管内皮細胞内で増殖して
比較的長期に糞便中に(2−4週間)排泄される。免疫不全者はもっと長期とされて
いる。
臨床症状は不顕性感染もあり、風邪症候群に近いもの、マヒまでおこる重症例など多
彩(マヒは1-2パーセントと言われる)
発熱、嘔吐、頭痛、頸部硬直などかぜ症状から髄膜炎症状まで多彩。軽い場合なら胃
腸症状と風邪主症状くらいで終わる事が多いが、重症例では随意筋マヒが生じる。マ
ヒは左右非対称性、四肢、または下肢に多い。出現後数時間から数日に強いが、その
後回復に向かっても改善に数カ月、その後残存マヒと筋肉萎縮は終生続く場合がある。
運動マヒは感染者の1-2パーセントくらいである。
検査は
1、ウイルス分離、糞便(マヒを起こしてから2週間以内)を培養細胞にうえ
てウイルスを増殖させて、ウイルス特異性血清を用いて感染性の中和により同定する。
2、いろいろな検査でワクチン株か野生株かを判別することが必要。
3、血中抗体測定は1、2、3型あり。幼少時にワクチン接種が疑わしい場合に行う
ことがある。(ただ補助的で病気の患者さんの確定診断ではない)
その他咽頭液からも検出することもある。
鑑別としては、マヒを来す疾患の運動マヒ性神経疾患を鑑別しないといけない。
治療はマヒが生じた場合は対症療法のみで、マヒが生じると素早く対策しても残存マ
ヒが生涯続くこともあり、その場合は完治は不可能に近いので、(あくまでリハビリ
になる)ともかくは、ワクチン接種を幼少時徹底すること。
あるいは、流行してるところに出かける場合で、自分に抗体があるかどうか自信がな
い大人は個別に接種しておくことが望ましい。