JBT-トライアングル2000キロ 〈その2〉
5.仙台・松島定観巡り
6.仙台から成田へ
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ちばのおっちゃん(平成5年10月著)
※ この作品は、「BUS MEDIA」通巻45号に掲載されたものに一部手を加え、サブタイトルを変更しました。
※ 運行時刻,経路等は当時のもので、現在のものと違うことがあります。


5.仙台・松島定期観光巡り(H5年10月10日)
 渋滞などで遅延することも考え、遅めに出発する定期観光バスを選んでおいた。幸いにも「フォレスト号」は約900km強の距離を定刻通り走行したので、定期観光バスの出発まで2時間ほどの余裕ができ、ゆっくり朝食を取ることができた。
 朝食を済ませ、仙台駅西口のBTへ行く。9時20分発の宮城交通定期観光バス、松島・仙台城巡り「松島1号」が出発するところだった。3台連車(A・B・C号)で、この内A号車は高速バスと同じ新塗装車、B・C号車は白地に赤ラインの旧塗装車である。人通りも多くなり、駅前は賑やかになった。私も乗り場脇の案内所で座席の確認をし、バスを待つことにした。
 9時40分頃、蔵王方面を巡る定期観光バス「かもしか号」が4台連車で入って来たため、待っていた人がドッと乗り場へ急ぐ。出発間近になると(約15分後)、私が今回利用する「松島2号」が3台連車で「かもしか号」の後ろに着いた。少し離れた仙台市営バスの乗り場でも、定期観光の案内をしている。観光地、そして連休とは言え、どちらも盛況のようだ。

■先ずは仙台城址から
 「かもしか号」が出発すると「松島2号」が乗り場に横付けされた。私が指定されたのはA号車、最前列の1番席。脇にクーラーボックスが設置された1人掛けのシートである。この「松島2号」は秋保温泉が始発で、仙台駅でも乗車扱いをする。仙台駅からは私のほかにもう一人が乗り、A号車は43名となった(補助席を除けば満席む)。「松島2号」も「1号」と同様、A号車は新塗装車、B・C号車は旧塗装車である。
 10時15分、定刻発車となり、第一の目的地「仙台城」(いわゆる青葉城)へと向かう。広瀬川を渡り、本丸跡への上り坂に差し掛かると渋滞、やはり連休の影響のようだ。何とか駐車場に着き見学となる。伊達政宗像の周りは観光客で一杯、ガイドさんの説明も聞き取れない。仙台城址の目玉といえばこれくらい。駐車場脇の博物館を少し見学して終わり。チョッと寂しい気がした。

▲伊達政宗像

■遊覧船で松島へ
 仙台城址を後にし、国道45号線で塩釜港へ。渋滞にも巻き込まれず、スムーズに進んだ。桟橋にはすでに新造された遊覧船が待っていた。乗船後すぐ出港かと思っていたがなかなか出ず、20分ほど待たされた。桟橋のすぐ脇に駐車場があったため、駐車中の観光車を眺めて時間を潰した。
 富士急行のアステローペが2台、その脇には庄内交通のアステローペが1台駐車していた。普段あまり見られない車種も見ることができ、良い席を得たなと思う。
 船内も乗客で一杯となり出港。最初は船内にいたが、風光明媚な松島の景色を拝もうとデッキに出た。やはり同じ考えの人が多く、片隅しか空いていない。終点松島港までデッキに出ていたが、私のいる位置からは良い景色があまり見られず、残念だった。
 松島港は塩釜港以上に観光客でごった返していた。記念写真を撮った後すぐに昼食となる。すでに13時を回ってしまい、用意されていた昼食も冷めてしまった。焼きたての「笹かまぼこ」が付いたのが救いである。
 昼食後少しの休憩を取り、民謡で有名な「瑞厳寺」や「観瀾亭」・「五大堂」を見学し、「伊達政宗歴史館」に回る。蝋人形を使って伊達政宗の功績を伝えたこの歴史館、人間が実際にいるようで不気味な様子だった。
 多くの人が両手一杯に土産を買っている。観光旅行目的の薄い私には関係なく、何も買わずにバスに戻る。気楽な旅である。

▲瑞厳寺

■塩竃神社、そして一日が終わる
 伊達政宗歴史館を後に、最後の見学地となる「塩竃神社」へ進む。塩竃神社が航海の神様ということは知っていたが、安産の神様というのは知らなかった。
 西に沈む真っ赤な夕陽を正面に見ながら、再び国道45号線を仙台へ向けて走る。休日があと一日あるためか道路は空いていて、無事仙台駅に到着する。17時25分の到着予定だったが、20分の早着。17時47分の「やまびこ20号」の指定席を取っていた人がいたが、十分間に合う時間だ。運転手さんもガイドさんもホッとしていた。
 定期観光で土産をたくさん買っている人を見たら、何か買って帰らないとまずいような気がしてしまう。職場用と自宅用を適当に見繕い、荷物にならないよう宅配便で送ってしまう。
 夕食・・・昼食が遅かったせいかあまり腹も空かず、軽くラーメンで済ます。19時30分発の大阪行「フォレスト号」を見送ろうかとも考えたが、3度も同じ物を見てもしようがないのでやめ、駅前のネオンを見て楽しむ。政令指定都市ということもあり、一応都市の装いはある。タクシープールにはたくさんのタクシーが客待ちをしていたが、連休中の夜のためかなかなか減らない。

▲塩竃神社駐車場での松島2号


6.仙台から成田へ(H5年10月10日〜11日)
 20時を回り、みどりの窓口の時刻表で高速バスの出発時刻を確認、宮城交通高速バス総合案内所へ向かう。荷物の整理をしたり、疲れを癒して時間を潰す。
 21時20分過ぎ、名古屋行「青葉号」が乗り場に横付けされた。宮城交通1台・名鉄1台のペア運行である。名鉄は専用車かと思っていたが、今日は違うようで残念である。

▲宮交の青葉号

■こんなこともあるもんだ
 21時30分、「青葉号」の出発時刻になるが、見送る雰囲気にない。どうもダブルブッキングがあったようで、乗車できない人が出てしまった。1〜2名なら何とかなったようだが、6名ものお年寄りの団体さんだ。窓口の担当者はアルバイトの人なのか対応ができず、宮城交通バスの乗務員が対応している。団体さんの一人はだいぶ怒っていて、「今日の便で帰れるようにしろ!」と言っている。
 予約をいつしたのか、その時にどんなミスがあったのか分からないが、ちゃんとメモを見せているので、宮城交通側のミスと考えられる(違っていたらゴメンなさい)。ついには「社長を呼べ、社長を!」とまで言い出してしまった。出発時刻はとうに過ぎ、バスに乗り込んで待っている人にはいい迷惑である。名鉄の乗務員は、場所が場所だけに口は挟めず、ただ解決を待つばかり。

▲東北急行バス
 金沢行「エトアール号」も後ろで待機していたが、前のバスが一向に出発しないため、業を煮やして改札を始めた。乗客が揃ったのか、定刻通り21時45分に出発して行った。「青葉号」のほうは、乗務員が電話で指示を仰いだり、宿探しをしているようだったが、解決せずに困っている。
 道を挟んだ東北急行バス仙台営業所前には「東京(浜松町BT)行」が2台横付けされた。まだ「青葉号」の問題解決には時間が掛かりそうだったので、取りあえず東北急行バスの写真を撮りに行く。1号車はSHD車、2号車は増発便だろうか、HD車である。この路線は夜行高速バスの中では老舗の部類だが、今もって2+2列シートである。独立シートに慣れてしまうと2+2列は窮屈で、この便の利用者には同情してしまう。

■「青葉号」いよいよ出発
 写真を撮り終え宮城交通高速バス案内所を見るが、まだ「青葉号」は出ていない。急いで案内所に戻り、再び様子を伺う。
 22時頃、課長と思われる方が慌ててやって来た。コンピューターを操作して、いろいろ調べている。予約時の入力ミスだろうか。この期に及んで増発便を出せるはずもなく、取りあえず「青葉号」を出発させることになった。遅れること35分(22時05分)、やっと「青葉号」は出発となった。乗務員には責任がないが、車内で待たされた乗客には出発が遅れたことを何と言って説明したのか興味が湧くが、嫌な気持ちで運転しなければならない乗務員に同情してしまう。また、お客さんもよく黙って待っていたものだと感心した。
 勝ちようと思われる方は、興奮していたご老人を何とか落ち着かせ、取りあえず仙台に宿泊してもらうことで話がまとまった。宿を探している間に、所長と思われる方も現れ、再びご老人と話をすることになった。皆でこの様子を見ていた待合室は、シーンと静まり返っていた。

■「ポーラースター号」乗車心得
 そうこうしている間に、私が乗車する「ポーラースター号」の改札が待合室内で始まった。「これから成田空港行の改札と荷物に札をつけますが、空港入り口で検問がありますので、パスポートは荷物に入れずに車内に持って入ってください」と説明がある。昨夏(平成4年夏)出張の折、宇都宮から「マロニエ号」(昼行便・宇都宮〜成田空港間)を利用したが、その時は何の説明もなく、うっかりして身分証明書や運転免許証など一切を荷物にまとめてトランクに入れてしまい、検問で難儀した(海外旅行に行くわけではないので、パスポートの変わりに身分証明書などが必要です)。
 今回は「ポーラースター号」を利用すると決まったときから気に留めていたため、そういうことはなかったが、検問があることを知らない人もいるので親切な説明である。また、成田空港の降車場所が第1ターミナルと第2ターミナルに分かれたため、乗客に降車地の確認をしながら荷札の裏に「1」,「2」と書いて間違えないようにしていた。
 改札を終えても入線まで時間があったが、外で待つことにする。雨がポツポツ降り出す。この旅の最初と最後が雨なんて、やっぱり私は雨男なんでしょうか。青森から「ブルーシティ号」宮城交通担当最終便が到着した。約5時間という昼行長距離路線である。東北内の都市間高速バスはどの路線も盛況のようで、多くの乗客が下車し、迎えに来ていた家族の車に乗り換え、自宅へ向かったようだ。

■「ポーラースター号」について
 22時30分、いよいよ今回最後の利用となる「ポーラースター号」成田空港行が入線してきた。フロントビューには「M」の文字、宮城交通担当車だ(京成担当車は「K」マーク)。写真を何枚か撮り、乗り込むことにする。
 この「ポーラースター号」は夜行高速バスでは珍しいHD車。座席に座ってみると、やはり天井が低く感じる。座席配列も変わっていて、1〜6列目までが3列独立、7列目は窓側だけの2列、8〜9列目は2+2列となっていて、最後部にサービス設備とトイレが設置されている。私が見た感じでは、後部へ移動しやすいように7列目の中央席が取り除かれているように思われた。各座席はシートヒーターが付いており、冬場はありがたい。ヘッドホンは聴診器タイプのエア式である。車内設備などは他路線のSHD車とは大差なく、HD車でも十分やっていけると感じてしまう。次回新規車両導入の際、どのような車両になるのかが楽しみである。

▲ポーラースター号

■さあ、最終行程だ!
 さて、24名の乗客を乗せ、定刻通り22時40分に出発となる。千葉側の降車地は成田空港のほかに「松戸駅」と「西船橋駅」がある。早朝到着ということもあって、バスが動き出すとすぐに乗務員が乗客の降車地を座席を回って確認する。松戸駅は0、西船橋駅で4名ということである。
 宮城交通高速バス総合案内所を出発したバスは、すぐに左折した。仙台宮城ICから東北自動車道に入るのではないようで、繁華街のネオンがまぶしく眼に入る。
 車内案内のビデオが放映される。画面に出てきたのはフロントに「K」マークの京成車両だった。バスファンなら知っている人もいただろうが、気づいた人は少なかっただろう。東京ディズニーランドや幕張メッセが映し出され、いよいよ千葉に帰るんだなぁと感慨深くなる。左に大きくカーブを曲がると、車窓にはカラフルにライトアップされた鉄塔が美しい。(帰宅後地図で調べると、国道286号線から仙台南ICへ進んだようだ。)
 23時10分、消灯になる。後ろの席のビジネスマンが読書灯を点け、何か書き物をしている。ここまで来て仕事をしなくてもよいと思うのだが、人それぞれなのでやむを得まい。翌朝早い到着のため、読書等の灯りと通路を照らす非常灯が気になるが、眠ることにする。まだ一般道を走っているとみえ、信号で止まるようだ。後ろの乗客も読書灯を消し、下を見なければ非常灯の灯りも気にならなくなる。いつ東北自動車道に入ったのかも分からないほど早く、眠ってしまった。
 ふと目が覚め、カーテンの隙間から外を見る。「中郷」の文字が見える。いつの間にか常磐自動車道に入ったようだ。時刻は2時35分である。この路線の変わっている点の一つだが、東北自動車道を郡山で降り、わざわざ常磐自動車道経由になることである。松戸・西船橋経由になっても運行開始時から経路をほとんど変えず、川口〜三郷間が東京外環道でつながってもそのまま。運行時間の関係だろう。
 その後再び眠りについたが、前面カーテンから漏れる明かりで目が覚めた。5時14分、バスは止まっていた。乗務員が隣の席の女の子(大学生?)2人に、「お客さん、西船橋で降りられるんですよね」と確認している。「はい、そうですけど」、「西船橋に着きました」とのやり取りで、2人は慌てて降りて行った。外を見ると、見慣れた西船橋駅前の京成高速バス乗り場だった。松戸駅で下車する人はなく立ち寄らなかったとは言え、私もここまで目が覚めず、松戸市内を通過したのさえ気づかなかった。

■成田空港検問突破
 5時17分、西船橋駅を発つ。1時間もあれば終点成田空港に着くはずだ。原木ICから京葉道路に乗り、宮野木JCTで東関東自動車道に入る。早朝ゆえまだ眠く、瞼が重い。しっかり目覚めた頃には、すでに新空港ICの料金所に差し掛かっていた。料金所を過ぎると空港到着の車内案内があり、検問がある旨が伝えられる。間もなく検問所に横付けされた。
 「マロニエ号」利用の時は、乗客がバスから降りて検問官のところへ行ったが、今回は検問官が2人乗り込んできた。パスポートを見て行き先を確認し、第1ターミナルか第2ターミナルかを案内している。
 いよいよ私のところへ来た。言われる前に運転免許証を提示し、仙台から帰宅することを伝えた。少し間があり、「ありがとうございました」と返された。やはり家に帰るためにわざわざ成田空港行に乗ってくる人は少ないのだろう。

▲ポーラースター号
 検問が無事終わり、バスは再び動き出した。空港内の最初の降車地「第2ターミナル」に6時04分到着。大部分の航空会社がこちらに移ったため、ここで皆降りるのかと思っていたが、予想に反し半分強の下車だった。そして終点「第1ターミナル」に6時06分到着、24分の早着であった。すべての乗客を降ろし、宮城交通が乗務員の休憩場所に指定している(?)「成田健康センター長寿村」へ向かう「ポーラースター号」を見送った。
 今回の旅も残すところあとわずか。閑散とした出発ロビーを眺め、到着ロビーに立ち寄る。東京空港交通や京成バスのリムジンバス発券カウンターはまだ開いてなく、係員らしき人は誰もいなかった。
 地下の成田空港駅から電車に乗る。JRでも京成でもよいのだが、本数の多い京成電車を利用する。成田駅の1番ホームから「長寿村」の駐車場を見ると、先ほど空港で見送った「ポーラースター号」が既に到着し、長旅の疲れを癒していた。
(おわり)



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