JBT-トライアングル2000キロ 〈その1〉
1.出発に至るまで
2.千葉から大阪へ
3.大阪での一日
4.大阪から仙台へ
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ちばのおっちゃん(平成5年10月著)
※ この作品は、「BUS MEDIA」通巻45号に掲載されたものに一部手を加え、サブタイトルを変更しました。
※ 運行時刻,経路等は当時のもので、現在のものと違うことがあります。


1.出発に至るまで
 平成5年夏の旅行に何か物足りなさを感じていたが、「10月の連休はどこへ行くの?」と職場の同僚に聞かれたのを機に、再び2000キロの旅に挑戦することを考えた。
とは言え、急な思いつきでどこへ行こうか考えがまとまらず、時刻表を眺めていた。
 「京成の路線で大阪線・仙台線に乗っていないな。大阪から仙台へ行く路線も確かあったはずだし・・・」と時刻表を再度確認、大阪〜仙台間は休止されずに近鉄・宮城交通が運行している。う〜ん、これで決まりだ。
 あとは、大阪と仙台では定期観光バスを利用すれば主だった観光地を回ってくれるし、疲労も残らず連休明けの仕事に差し支えなく行って来れるだろう。

■車中3連泊を実行するには
 出発は平成5年10月8日(金)、連休前日の夜からである。たぶん混み合うのではと考え、予約開始の9月8日からの3日間、毎日9時に予約の電話を入れる。1路線でも取れなかったり、車中3連泊を考えれば観光車増発便では疲労が心配、今回の計画は白紙になってしまう。幸いなことに3日間とも2回目の電話でつながり、座席の確保に成功した。
 ただ、大阪〜仙台間「フォレスト号」の予約を宮城交通に入れたのだが、乗車券を直接取りに来れる人以外は近鉄で予約するように言われた。「フォレスト号」のパンフレットにはそのようなことは書かれておらず文句も言いたかったのだが、言ったところでどうしようもないので、改めて近鉄に電話をして予約した。2度手間だった。
 あとは定期観光バスの手配、乗車券の発券に行ったときに予約すればと考え、その日は仕事に打ち込んだ。
 頃を見計らい、乗車券の発券に行く。このところ発券手数料もバカにならず、京成絡みの「千葉〜大阪線」と仙台〜成田間「ポーラースター号」の2路線分は系列の京成トラベルへ(手数料が無料になる)、「フォレスト号」についてはやむを得ず、いつも利用している通勤途中のJTBで発券してもらった。定期観光の予約JTBに依頼したのだが、大阪分は満席とのことで、大阪市内定期観光のWD車には乗ることができなくなった。まあ、大阪なら路線バスや鉄道を利用しても十分観光地を回れるし、連休と言うことを考えれば仙台分だけでも取れれば良しとしなければなるまい。

■「全国駅前銭湯情報」を入手
 乗車券類の手配は終わったものの、今回はホテルには泊まらない。汗を流せる場所を探さなければならない。「全国駅前銭湯情報'93」という本を手に入れ、大阪と仙台の駅周辺の銭湯を探しておく。
 夜行高速バスを利用するたびに思うのは、主要バスターミナルにはシャワー施設がほしいということである。採算が合わずに一部の路線で休止などがあったものの、全般的には高速バス利用者が増加しているのは事実なのだから、もっと施設の充実を図ってもらいたいものである。
 さて、予約から1ヶ月。台風19号の直撃が心配されたが、幸いにも避けてくれた。いよいよ2000キロの旅再挑戦となる。


2.千葉から大阪へ(H5年10月8日〜9日)
 今年はよく雨に祟られる。今夏の青森行も出発日に、奈良行では最終日に雨となった。今回も台風の直撃は免れたが、前日から雨となった。9日からは晴天になるという天気予報を信じ、小止みにならないかと祈りつつ仕事をし、退社時刻を待つ。
 仕事を無事に終え残業もなし。が、雨は一向に止まずやや憂鬱な気持ちで千葉へ出ることにする。いつもはJR千葉駅周辺で時間潰しを兼ねた夕食となるが、今回は雨ということもあって、京成千葉中央駅へ直行、夕食を済ませる。時間がだいぶ余ったため、ガード下のパチンコ屋で出発時刻を待つ・・・勝ち負けは皆さんのご想像に任せます。
 21時少し前、待合室へ行きカメラの準備をしながら待つことにした。21時22分、京成電鉄の車両が1台入って来た。行き先表示は「和歌山」。本来なら金沢便が先に来る筈なのだが、どこかで抜いて来たのだろう。2分後、クリーム地に朱ラインの北陸鉄道車両が1台入って来た。どちらも改札が始まったが、利用者は思っていたより少ないようだ。和歌山便は乗客が全て揃ったのか、6分も早い21時29分に、続いて金沢便が定刻21時30分に、次の乗車扱いとなる西船橋駅へ向けて出発して行った。

▲京成和歌山便と北鉄金沢便

■2000キロは「サラダEXP号」から
 金沢便の出発とほぼ同時に、今回最初の路線となる大阪便が、阪神電鉄「サラダエキスプレス号」の担当で1台入線した。夏休みなどの繁忙期には阪急バスとペアでの2台運行をよく見るが、今回は阪神電鉄のみの運行だ。
 大阪便の次には22時00分発の京都便となるが、普通なら大阪便が出発してからの入線になるはずなので、「サラダEXP号」の写真を数枚撮った後すぐ乗車した。今回は8C席の窓側である。座席に着いて持参のエアクッションの準備をしていると、京阪バス担当の「きょうと号」が隣に入って来た。出発20分も前の入線となった。我が「サラダEXP号」は定刻21時45分、20名の乗客を乗せて西船橋駅へと向かった。
 西船橋駅へ向かう途中、千葉市内の旭町交差点で、京成電鉄・奈良交通ペアの「やまと号」とすれ違う。増発観光車でのペア運行というのは見たことがあったが、通常便でのペア運行は初めて見る。増発便がよく出る路線だけに、今回も利用者が多いのだろう(この日は奈良便だけが2台運行)。

▲サラダEXP号
 バスは順調に京葉道路を走り原木ICを出、西船橋駅に到着、ちょうど金沢便が出発するところだった。改札が始まると、成田空港発の京成電鉄担当「ポーラースター号」がやや遅れ気味で到着した。成田空港からの利用者は少なく空席が目立っていたが、西船橋駅から家族連れや学生が乗り込み、空席も少なくなったようだ。雨が小止みになった。

■「サラダEXP号」乗客28名でスタート
 「サラダEXP号」は空席を一つ残し28名の乗客で、定刻22時40分、一路大阪へ向けて動き出した。間もなく車内案内ビデオが流された。「足柄SA・浜名湖SA・多賀SAで途中休憩しますが、車外に出る際には車に注意してください」とのこと、千葉〜大阪線は乗務員交替のみで開放休憩はしていないと思っていたのだが・・・。
 バスは再び京葉道路に入り、そして首都高速へと進む。車の流れは順調で、23時に消灯するとの案内があった。カーテンが閉め始められた頃、首都高速名物の渋滞にぶつかったが、消灯されたため、諦めて眠りにつくことにする。首都高速を抜ければ何とかなるはずである。
 バスの走行振動が止まり目を覚ます。時計を見ると1時08分を指している。どこだろうとカーテンの隙間から外を見ると、隣には「LA MER」の文字。場所の確認が出来なかったが、足柄SAだろうか。西船橋駅を出たときの案内では、ここで車外に出られるのだがその気力がない。出た人もいなかったようだ。ウトウトしていると、1時18分、バスが動き出した。振動が心地よく、すぐに眠ってしまった。
 再び目を覚ます。5時39分、バスは止まり、外は明るくなって来ている。見覚えのあるSA、大津SAのようだ。あと1時間で大阪に着くはずだ。それを考えると眠気も消える。カーテンを開けて外を見たい気もするが、まだ周りの人は眠っている。
 5時50分SAを出発、快調に大阪へ向かう。6時を回り、カーテンを開ける。何時頃だったろうか、場所もはっきりしないのだが、西鉄「ムーンライト号」塗装の車両とすれ違う。「どんたく号」は違う塗装のはず、「きょうと号」だったのだろうか。
 渋滞もなく、6時22分、豊中ICから阪神高速へ、大阪市内にだいぶ近づいた。長崎からの近鉄「オランダ号」が1台、熊本からの九州産業交通「サンライズ号」が2台、我が「サラダEXP号」を抜いて行く。こちらと比べればまだまだ先があるので(「サラダEXP号」は梅田、「オランダ号」と「サンライズ号」はあべの橋まで)、急いでいるのだろうか。
 6時35分、定刻通りに阪急三番街「梅田BT」に到着した。ここで半数以上の人が降り、終点「ホテル阪神」前へと向かう。JR大阪駅前のBT付近で宇和島自動車の「ウワジマEXP号」とすれ違い、6時40分、定刻通りにホテル阪神に到着した。「JR大阪駅に行くにはこちらのほうが近いのでは?」とふと思った。

▲H阪神に到着したサラダEXP号


3.大阪での一日(H5年10月9日)
 大阪駅で朝食を済ませ、阿倍野へ向かう。近鉄の主要ターミナル(あべの橋)ということで、待合室などがしっかりしているのかと思っていたが、施設らしい施設がなく愕然とする。8時20分過ぎ、今夜乗ることになる「フォレスト号」が仙台から3台到着した。1台運行だと思っていただけに、今夜は何台運行されるのか興味が湧く。
 さて、荷物をコインロッカーに預け、まずは大阪城へと向かう。しっかりと歴史の勉強をし、ついでに公園内の市立博物館へ入る。芸人の街大阪らしく、館内には上方芸能に功労のあった方々のレリーフが多数飾られ、展示物より目を引いていた。

▲大阪城
 近鉄の上本町BTを見、昼食を済ませて四天王寺へ回る。多くの建造物がコンクリート製になってしまったが、朱塗りの建物は壮観である。
 ほぼ計画通り一回りし、最後の目的地、大阪のシンボルと言われる「通天閣」に上る。高さはそれほどでもないが見晴らしは良く、大阪に来たなぁとつくづく感じる。横のジャンジャン横丁を覗き、阿倍野へ戻ることにする。歩いて戻れる距離だったが、疲れが出てきたので環状線利用となった。

▲通天閣
 阿倍野に戻ると、前もって調べておいた銭湯へ行く。天王寺駅から10分ということだったが、早足の私でも15分掛かった。ゆっくり汗を流し、帰りは環状線に乗り天王寺駅へ、駅付近で夕食を済ませた(銭湯は天王寺駅の隣、寺田駅の方がだいぶ近かった)。


4.大阪から仙台へ(H5年10月9日〜10日)
 「フォレスト号」仙台行きが20時00分発ということもあり、早目にあべの橋BTへ行き「あおしま号」宮崎行きと「トロピカルライナー号」鹿児島行きを見送った。
 「トロピカルL号」が出発するとすぐに、「フォレスト号」が朝と同様に近鉄担当の3台で入線した。1号車だけが専用車である。
 今回私が指定されたのは1号車3番(いわゆる1C席)の最前列である。いつものように写真を数枚撮り乗り込む。この車両はレッグレストがなく不便であるが、クッションが各座席に備え付けられていて、腰当として使用した。最前列ということで、前との間隔がやや狭いが、見晴らしは最高である。
 20時00分、定刻通りの出発となり、次の乗車扱いとなる上本町BTへと向かう。通天閣の灯りがとても美しく、夜の通天閣の写真を撮っておけばと後悔する。

■上本町BTで満席スタート
 20時13分、近鉄ビル(都ホテル)駐車場の急勾配の坂道を上がり、上本町BTに到着する。ここで全ての座席が埋まり、20時20分に出発となった。
 すぐに車内案内がある。時間が早いせいか、車内は賑やかである。夕陽丘から阪神高速に乗り、西名阪,東名阪へと進んでいく。東名阪の御在所SAで休憩があるということで、夜景やすれ違う車のライトを眺めながら時間を潰す。「やまと号」ではお馴染みの「天理」、名阪国道での「ここは高速道路ではありません。スピードだすな!」(文面がちょっと違っているかもしれません、悪しからず)という看板を見ながら、やっと御在所SAに到着した。早い時間とは言え、昼間のような景色が見られない単調な2時間28分はきつかった。
 開放休憩ということで、車外で写真を何枚か撮っていると、「ギャラクシー号」福島行きが近鉄担当で脇に入って来た。こちらも盛況のようで3台運行である。
 22時38分、10分間の休憩を終え、一路仙台へと向かう。まだ9時間以上も掛かる。だいぶ疲れもあり、ゆっくり眠れそうだ。

▲御在所SAでのフォレスト号

■真夜中の首都高通過は・・・
 前面に収納されていた足乗せ台(名称不明。座席と同じ高さに倒れ、座席との間も2cmほど)を倒し、楽な体勢に。間もなく消灯、車内も静かになり、私も眠りについた。
 今回の楽しみの一つとして、「フォレスト号」が夜中に首都高速を通過することがある。何度か目が覚めたが、疲れのためか瞼を開けることさえ億劫で、確認できたのは牧之原SAでの乗務員交替(暗い中で時刻をメモしたため、その文字の判読が難しく、1時14分ではないかと思う)と、東北自動車道に入るところ(カーテンの隙間から外を見ると料金所、2時51分)だった。
 再び眠りにつき、7時少し前に目が覚めた。朝日がとてもまぶしく、カーテンを開けることができない。最高の天気のようだ。前面のカーテンも閉められたままで、どの辺りを走っているのかも分からない。7時20分頃だったろうか、前面のカーテンが開けられ、私も窓のカーテンを開けた。「仙台南」の表示が見える。間もなく仙台宮城ICを出、長いトンネル(仙台西道路)を抜け、仙台市街へと入っていく。平日の8時前後なら車の往来も激しいのだろうが、休日ということで思っていたより車の数が少ない。スムーズにJR仙台駅西口を回り、終点「仙台駅前(宮城交通高速バス総合案内所)」に到着する。7時56分、4分早着、ほぼ定刻通りである。

▲仙台駅前に到着したフォレスト号

■「仙秋号」も好調
 案内所前乗り場ポールの前には十数名が並んでバスを待っている。どの便を利用するのかと見ていると、宮城交通担当の「仙秋号」(仙台−秋田間)が入って来た。
 「仙秋号」は宮城交通・秋田中央交通の共同運行で昼行2往復が運行され、「仙秋ナイト号」としてJRバス東北が夜行1往復を運行している。十数名は「仙秋号」の利用者で、思っていた以上の好調さで驚いた。
(つづく)



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