航空危険物輸送実用講座


1. 航空危険物とは・・・ 国連番号とは・・・

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@ 航空危険物とは何ですか?
危険物というと一般には消防法の危険物,即ち引火性液体と考えがちですが消防法の危険物も第1分類の過塩素酸塩類などの酸化性固体から第6類の硝酸などの酸化性液体まで6分類されています。
今、私たちが問題にしているのは航空法第86条(爆発物等の輸送禁止)に規程された物件です。
航空法 「第86条第1項」
爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、または他の物件を損傷する恐れのある物件で運輸省令で定めるものは,航空機で輸送してはならない。
(解説 ここに記された物件がいわゆる航空危険物です)
「第2項」
何人も,前項の物件を航空機内に持ち込んではならない
(解説 旅客,乗務員の機内持込又は受託手荷物が該当する)
このように危険物の航空輸送を原則禁止している。これらの規程に違反したときは「法第145条」により第1項違反は罰金100万円以下,「法第150条」により第2項違反は罰金50万円以下に処される。皆さんはこのような違反などが無いように荷主に安全輸送についてご協力とご理解を頂いてください。

<まとめ>  航空危険物とは航空法に規定された爆発物等の輸送禁止物件です。
火薬や高圧ガスのように爆発性があったり塗料や接着剤のように引火性があったり砒素のように猛毒性があったりして人に危害を与えたり物を損傷したりする恐れのある物品をいいます。

法体系   
法   航空法 第86条 爆発物等の輸送禁止
規則  航空法施行規則 第194条第1項 輸送禁止の物件
                第2項 輸送禁止の解除
告示  航空機による爆発物等の輸送基準を定める告示
    (一般危険物の輸送基準)
    航空機による放射生物質等の輸送基準を定める告示
    (放射性物質の輸送基準)
通達  @ 施行規則及び告示の運用に付いて
    A 危険物の判定基準等について
    B 危険物輸送に係わる教育訓練について
  
A 国連番号(UN No.)とは何ですか?
航空危険物には必ず国連番号が付くことはご存知ですね。この国連番号とは1952年に世界各国の危険物規則に大きな差異があり,これが世界物流の最大のネックとなっていることを国連が取り上げ,「国連危険物輸送専門化委員会」を設け,危険物の定義と分類,判断基準、試験方法さらに危険物品名リスト,ラベル,包装容器(国連容器)の基準等を世界的に統一した「危険物の輸送に関する勧告」を1956年に各国政府および各国際機関に送付し、さらに2年ごとに改定を重ねている。
この国連勧告を基にして海上輸送は国際海事機構(IMO)がIMDGコードを、国際民間航空機関(ICAO)が「航空機による危険物の輸送の技術指針(TI)」を制定している。
放射性物質は国際原始力機関(IAEA)が放射性物質安全輸送規則を制定している。
この実用講座ではクラス7の放射性物質を除く一般危険品について話を進めてゆきます。
日本においては1984年(昭和59年)1月1日から危険物の航空輸送の国際性からICAOの「技術指針」を取り入れた航空危険物輸送関係規則に改正された。
私たちが実際に国際航空危険物として送るときは「IATAのDangerous Goods Regulations」(危険物規則書 DRG)に基づきます。
<まとめ>
国連番号とは国際連合(UN)の危険物輸送勧告書の危険物リストにリストアップされたUN0004Ammonium pirate 1.1D積載禁止からUN3363 Dangerous Goods in machinery (2001年7月1日より有効)の約3,000以上の危険物の一つ一つにつけられた4桁の数字のこと。
国連番号がついた化学品や物件はすべて危険物として輸送しなければならない。
IATAの危険物規則書(DGR)では第4章の2項 危険物リスト(List of Dangerous Goodsの英語版であればブルーカラードページ)にUN1088Acetal Class 3 PG UからZirconium terachloride Class 8 PG VのようにABCのアルファベット順に国連番号が列記されている。

航空危険物の9分類の定義とその試験方法
IATAのDGRの第3章に危険物の9分類と定義と試験方法がこまかく記されている。私たちは化学やさんではありませんが各危険物の概念を理解する必要があります。
3−1. 危険物の分類
  表 1−1 航空危険物の分類一覧表
分類(Class)  区分(Division)
1.火薬類 
1.1 大量爆発の危険があるもの
1.2 飛散の危険性があるが大量爆発しないもの
1.3 火災発生の危険性があり,弱い爆風またはわずかな飛散の危険性があるが大量爆発はしないもの
1.4 著しい危険性を有しないもの
1.5 感度はきわめて低いが大量爆発の危険性のあるもの
1.6 感度がきわめて低い大量爆発の危険性がないもの
2.高圧ガス類(単にガス類ともいう)
2.1 引火性ガス
2.2 非引火性ガス・非毒性ガス
2.3 毒性ガス
3.引火性液体  区分はない
4.可燃性固体類 
4.1 可燃性固体
4.2 自然発火性物質
4.3 水と接触すると引火性ガスを発生するもの
   (DWW)
5.酸化性物質類 
5.1 酸化性物質
5.2 有機過酸化物質
6.毒物類    
6.1 毒物
6.2 病毒を移しやすい物質
7.放射性物質      区分はない
8.腐食性物質      区分はない
9.その他の有害物質   区分はない
10.鉄砲刀剣類等(日本独自の航空危険物でIATAにはない)

3−2. 危険物の試験方法
IATA DANGEROUS GOODS REGULATIONS(DGR)の第3章に詳しく記されていますので参考にして下さい。
2.1 火薬類の試験方法(IATA DGR 3.1項参照)
ニトログリセリンやTNT火薬,照明弾,弾丸,爆弾,魚雷,爆雷,導火線,信管,発煙信号筒,遭難信号筒,信号雷筒,ロケット,航空機用信号火管、煙火(花火のこと)などが火薬類に分類される。
表1−1のように火薬類は6つの区分に分かれ,さらにAの「起爆薬」から,BC,D,E,F,G,H,J,K,L,N,Sの「爆発が容器内だけでとどまるもの」の13の隔離区分(Compatibility Group)に分かれる。
航空危険物として輸送できる火薬類は1.3C,G;1.4B,C,E,G,Sの隔離区分のもので他はすべて積載禁止である。
試験方法は国連危険物輸送専門家委員会勧告の「Test and Criteria」によりケーネン試験,BAM落つい試験,摂氏75度熱安定性試験,小規模燃焼試験などがあるがここでは省略します。

2.2 高圧ガス(単にガス類とも称する)(IATA DGR 3.2項参照)
1. 50度Cで圧力が50キ□パスカル(kPa)を超えるもの
2. 摂氏20度Cで完全にガス状のもの
高圧ガスで注意することは液化ガスでフロン冷媒で沸点が20度C以上のものは状態がガスでなく液体なので高圧ガスの危険品からはずれる。

 品 名     沸 点(度C)    分 類      国連番号
冷媒R-134a   −26.2    非引火性ガス   3159
冷媒R-143a   −47.8    引火性ガス    1063
冷媒R-123    +29.9    非危険物     非該当

高圧ガスの形状からの分類
@ Compressed gas(圧縮ガス)圧縮されて20度Cでガス状のもの
A Liquefied gas(液化ガス)圧縮されて20度Cで液状の部分があるもの
B Refrigerated Liquefied gas (深冷液化ガス)冷却して液化ガスのもの
C Gas in solution(溶解ガス)圧縮ガスを溶剤に吸収させたもの
  (UN 1001 Acetylene,dissolved 引火性ガス)

高圧ガスの危険物としての3分類
2.1 Flammable gas (引火性ガス)爆発限界で規定されている
2.2 Non-flammable, non−toxic gas (非引火性,無毒性)(その他のガス)
2.3 Toxic gas (毒性ガス) 人が吸入したとき強い毒作用を受けるもの

2.3 引火性液体(IATA DGR 3.3項参照)
(a) 引火性液体
(b) クラス1から除外するために液状に希釈された火薬(2001年新設の定義)
これはIATA DGR 3.3.1.6項に解説があり水又は溶剤に溶解あるいは分散させた希釈された火薬類, 例えば UN 120itroglycerin solution in alcohol (ニト□グリセリンル1%または1%以下のもの)。

引火点 密閉式引火点測定法により60.5度C(141度F)以下の液体
または,開放式引火点測定法により65.6度C(150度F)以下の液体

航空危険物の輸送実績の約30%は引火性液体である。液状の化学品を送るときは必ず引火点を製品安全データシートで確認しなければならない。

2.4 クラス4 可燃性固体類の試験方法(IATA DGR 3.4項参照)
固体および粘度の高いペースト状のもので固体−液体判定試験を行い固体と確認されたもので燃焼の危険性のあるものをいう。危険度によりさらに3分類される。
4.1 可燃性固体   
試験規格の三角柱に成型し一端に火をつけて燃焼速度試験試験を行う。
燃焼速度時間と燃焼継続性で判定する。
4.2 自然発火性物質 
固体の場合は粉末を1mの高さから落下し発火するかを観察する。液体の場合は磁器の中で発火するか,濾紙を燃したり焦がしたりするかを観察する。
4.3 応性可燃性物質(DWW)
水と接触しガスを発生するか,発生したガスが発火するかいなかを観測し, 1時間当たりの可燃性ガス量を測定する。
品名としてマグネシウム合金粉末、リチウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛粉末,セシウム,カーバイドなどがある。

2.5 酸化性物質類(IATA DGR 3.5項参照)
酸化性物質は硝酸アンモニウム肥料やさらし粉や漂白剤の次亜塩素酸ソーダ,カルシウムまたオキシフルの商品名で知られている過酸化水素など固体と液体のものがある。
5.1 酸化性物質
固体の場合:臭素酸カリウムを標準物質とし試験物質とセルロースとの混合物30グラムの燃焼時間を測定する。
液体の場合:50%の過塩素酸と40%塩素酸および65%硝酸を標準物質とし圧力容器試験機による圧力上昇時間を測定する。
5.2 有機過酸化物質
有機過酸化物(Organic Peroxides)とは分子中に―〇―〇―構造がある有機物で,シクロヘキサノンパーオキサイドとかベンゾイルパーオキサイドのように…パーオキサイド,…peroxideの名称のつく危険物である。
IATA DGRのAppendix C.2に有機過酸化物質の化学名 約280のリストがあるので照合確認すること。
航空輸送できない3101、3102など積載禁止のものもあるので注意ことリスト以外のものは積載禁止である。

2.6 毒物類(IATA 3.6項参照のこと)
毒性が強く人がそれを飲んだり皮膚から吸収したり口から吸いこんだりすると,中毒して健康をそこねたり死亡したりする砒素,青酸カリ,ニコチン農薬などの分類6.1の毒物と伝染性の病原体や微生物で人や動物に病毒を移しやすい物質の分類6.2とがある。

分類6.1毒物

(急性毒性試験)
@ 経口毒性試験
ラットを用い経口投与により14日間の観察で試験動物が50%の確率で死亡する量(LD50)を試験動物の体重1Kg当たりのmg(mg/kg)を求める。
A 経皮毒性試験
ラットを用い経皮投与によりLD50を求める。
B吸入投与時間 1時間の吸入により14日間の観察による半数致死濃度LC50を求める。
試験品が粉塵又は煙霧の場合は1L当たりのmg,蒸気(気体も含む)の場合は1m3当たりのmlを求める。

2.7 放射性物質
2001年6月30日までは放射性濃度が70KBq/Kg(0.002μCi/g)を超えるものをいう。
2001年7月1日からは放射性物質はIATA DGRの付録Gの定義に合致するものと改正される。

2.8 腐食性物質(IATA DGR 第3章 3.8項参照)
腐食性物質とは,人など生物の組織を化学作用で激しく損傷(壊死)を生じたり、容器から漏洩したとき他の貨物を著しく損害を与えたり,破壊するもの。
代表的な腐食性危険物は酸性のものとして塩酸,硫酸,硝酸,酢酸,酸性の電解液を内臓するバッテリーなど,アルカリ性のものは水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなどまたアミン化合物とか無水マレイン酸とかいろいろあります。

2.9 その他の有害物件(IATA DGR 第3章 3.9項参照)
分類1から8に該当しない,あるいはきちんとしたデーターが無いから分類9のその他にいれるというものではない。
航空輸送において分類1から8以外の危険性を備えたものをいいます。個々の国連番号に付与されている特別規定と包装基準を確認してください。
具体的には航空輸送のみ危険品扱いになる磁性材料,自動車,航空機,ボートなどエンジンのついた乗り物(Vehicle),あるいは内燃機関(Engine)がある。
平成12年にアメリカで小事故があったリチウム電池とか発泡ポリマービーズや2001年7月1日から新UN3363装置あるいは機械に含まれた少量輸送許容物件(LTD QTYのこと)などがある。

2.10 銃砲刀剣類
日本の航空法では銃砲刀剣類を独立した航空危険物としている。
ナイフによる機長刺殺事件などがあり社会問題にもなったが,「銃砲刀剣類所持等取締法」第5条の二第二項第二号規定の拳銃,小銃,猟銃および空気銃とか剣,長刀,あいくち,飛び出しナイフや刃体の長さ6cmを超える刃物をいう。



復習コーナー
1.航空危険物とは    ICAOの「航空機による危険物の安全輸送の技術指針(TI)に基づく航空法第86条で定める物件
2.国連番号とは     国連危険物輸送専門家委員会の勧告のなかで全ての輸送モードに共通する危険物リストにリストアップされた危険物の個々に与えられた4桁の番号
3.航空危険物の9分類と試験方法は    省略
について述べました。

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2. IATA・DGR危険物規則書の見方・読み方・活用法

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今回のテーマは,航空危険物輸送の基礎知識について述べます。

4. IATA DGR (危険物規則書)の見方 読み方  活用法について

2001年は,ICAO TI(技術指針)の2年毎の改正の年であり航空法も改正される。
本年に限っては事情により1月1日の改正が7月1日に6ケ月遅れて実施施行される。
皆様も日本語の規則書の発行が遅れ英文のDGRでいろいろ苦労されていることと思います。
そこで英文DGR2001年版  第42版の見方 読み方 活用法についてアドバイスしましょう。

4―1 英文IATA DGR42版の大きな変更点
今年のDGRは1月1日の改定と7月1日からの本改正と2本立てになっているので注意してください。
具体的には下記のように読み分けてください。 
@ 2001年6月30日まで有効な事項
枠外に砂時計マークつき
A 2001年7月1日から改正が有効な事項
枠外に1の数字のカレンダーマークつき( 本文 アミガケ)
     
第4章2項 危険物リストのカレンダーマーク付きの新UN番号や品名の改正は本年7月1日から有効となりますから先取りしないようにしてください.
例:I D8001 Dangerous goods in apparatusとmachineryはUN3383 分類 9 包装等級 ナシ  に改正される。 
  現行のID8001は中に入っている危険物の分類ラベルを貼ること。
  2001年版は分類9と印刷されているがミスプリなので訂正して下さい。

例:第10章 放射性物質 は 7月1日からは全面改正され付録 (Appendix)G項で読むこと。
          
4−2 英文DGR本文記載の記号の意味
@ 見出しあるいは欄外の記号
□ 新項目  DGRの新版を入手したらこのマークのついた項目をまず最初にチェツクすること
例: 第2章 制限事項 2.2項   危険物を含むおそれのある物件
□ DRY SHIPPER(VAPOUR SHIPPER)
□ FUEL CONTOROL UNITS
□ TORCHES
第3章 分類 
□引火性液体 3.3.1.6 低火薬濃度溶液
UN1204、UN2059、UN3064,UN3343
□自己反応性物質
□ 3.4.1.2.5サンプル輸送の場合
□ 3.4.1.2.6温度コントロール必要条件
第5章 包装
□ 5.0.1.5.4 包装物に意図された機能をオーバーパックにより損なわれないこと
(例えばドライアイスの包装容器の気化機能をオーバーパックにより損なわないこと)
第7章 マーキングとラベリング
□ 7.2.6.2.1 ラベルは品名と同一面に貼ること
□ 7.2.6.2.2 正ラベルと副次ラベルが要求されるときはラベルは隣り合わせて貼ること

第8章  書類
□ 8.3 
発地国当局の特別承認をえた場合は承認書のコピー添付の義務化など     

△ 変更箇所  この個所もまずチェックです
   例 第4章 識別
△ 4.0.2 危険物リスト
UN1133 Adhesives(接着剤)S.P.A7が削除など26箇所
             


マルコメ印  削除個所   前年の41版の項目で内容を確認する
  例  第8章2項 エアーウエイビル
昨年の41版(b)航空貨物運送状の「追加情報欄」に申告書不要の危険物(ドライアイス)は ゛DGD 
Not required゛の記入の義務の項目が全部削除された
但し,B/L見本のFig.8.2E は印刷ミスでこの文章が記入されているので削除訂正してください
               
指差しマーク  ICAOより厳しい内容になっている個所
UN1541 Acetone cyanohydrin,stabilized毒物はICAOでは貨物専用機では輸送 可であるがIATAでは旅客機も貨物専用機いづれも積載禁止である         
          
A 本文中の記号
n.o.s. Not otherwise specified (その他の危険物)の略
★ 品名のあとに危険性原因物質の技術名(化学名・成分名)を(  )内に補足記入すること
Y  包装基準の頭にY文字が付くのはLTD QTY少量規定の意味 第4章2項 危険物リストにエアゾールを除くガス類やガリウムや水銀にはY包装基準がないので注意すること

4−3 付録 Appendixの見方
第10章 放射性物質が終わると付録がAからG項まであります。放射性物質は正式改正の7月1日以降は付録G項で読んでください。 
@ 付録 A 用語解説
4.2項の危険物の品名のあとに†マークついたものはここにその品名について解説がのつているので参考にすること。
ここにも□マークの新アイテムが9もあります。
例えば、UN1950のエアゾールとは自動的に閉鎖する噴射弁を備えた再充填出来ない金属,ガラスあるいはプラスチックス製の使い捨て容器にガスあるいは液化ガスまたは溶解ガスを充填し液体,ペーストまたは粉末をガス状、泡状,ペースト状,粉末状または液状で噴射するものを言う。
また,液体、ペーストまたは粉末を含まないものもエアゾールとされる。

□エアーバッグインフレター(火工品のもの)
火工品の物質を含む物件で救命用の自動車用エアバッグまたはシートベルト用として使用されるもの.
□ エアバッグモジュール (火工品のもの)          
火工品の物質を含む物件で救命用の自動車用エアバッグとして使用されるもの。

A 付録 B 単位および記号
B1は本規則書に使用されている単位について,B2は本規則書に使用されている□ △ ★ などいるいろいろな記号,略号やCargo IMPcodeについて,B3はポンドとメートルなど単位の換算表がある。

B 付録  C 1 区分4.1 自己反応性物質の化学品名と国連番号の一覧表
       C 2 区分5.2 有機過酸化物の化学名と国連番号の一覧表
これらの危険物は積載禁止のものもありまた化学名が(  )書き要求されているのでIATAの一覧表と送る予定の危険物の化学名とをメーカーに頼んで照合しなければならない。

C 付録  D IATA 会員 準会員航空会社リスト

D 付録 E 所轄官庁
E 1 一般危険物についての所轄官庁 
参考:日本   国土交通省航空局技術部運航課
          TEL03(5253)8111代表

E 2 放射性物質についての所轄官庁

E 付録  F 国連容器類の試験施設およびメーカー,供給業者
IATAがDGRの利用者の便利性を考えて国連容器のサプライヤーなどを表記している.残念ながら掲載は有償のため日本のサプライヤーはリストされていない。
区分6.2 のUN2814、2900の病気を移しやすい物質の包装基準602の容器や診断用サンプルの包装基準650の容器は日本では容器承認を受けたメーカーは無いのでIATAのリストの業者から購入輸入すれば便利であろう。
また,ファイバーボードボックス4GVは組み合せ容器として殆ど全ての包装基準を満足できるすぐれものなので海外から輸入してでも大いに使用したいものである。

参考:4GV容器について   
航空法 航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示   
第21条 容器及び包装の安全性に関する基準
  
2  Vマ−ク付き容器は検査に用いられた内装容器より壊れにくい内装容器と組み合わせる場合に限り,その都度検査を受けることなく輸送の用に供することができる。
一 輸送許容物件を最も壊れやすい内装容器に収納した状態において1.8メートルの高さから硬く滑らかな水平面に最大の破損を及ぼすように落下させた場合に,漏洩又は輸送の安全性を損なうおそれのある損傷が無いこと。
二 包装物の上面に,前号で落下させた総質量に基づき前項第3号の算式を用いて算定した加重を加えた場合に,容器および包装に漏洩又は輸送の安全性を損なう恐れのある損傷がないこと。
三 国連容器の表示が容易に消えない方法で付されていること。

3 前項の輸送に当たり,Vマーク付き容器に内装容器を収納する場合には,次の各号に掲げる条件に適合させなければならない。
一 内装容器に液体の危険物を収納した場合は容器が破損したとき十分吸収することができる量の吸収材を常に内装容器を取り巻いているように詰めること。
二 収納する内装容器の総質量は前項第一号において落下させた内装容器の総質量の2分の1を超えないこと。
三 防水性又は粉末不漏性のVマーク付き容器に,液状又は粉末の危険物を入れた内装容器を収納する場合は、内装容器が破損した場合に中身の危険物が流出しないよう防水内張り又はプラスチック袋の使用等で流出防止措置をとること。
四 内装容器と外装容器の間に十分な厚さの緩衝材を入れること。

参考:IATA DGR ″V″容器について                    
第6章 容器の規格と性能試験 
6.0.3.6   容器限定コード(″V″″U″″W″″T″容器について)
6.0.3.6.1 ″V″という文字が容器コードに続く場合は6.3.1.3に記載の「特別容器」である.
6.3.1.3   容器試験の免除
固体又は液体を入れるいかなる形式の物品又は内装容器も以下の条件を満たす場合は容器試験を行うことなく外装容器に収納し輸送に供することができる。

条件
@ 水を入れたガラス製内装容器を外装容器に収納し高さ1.8メートルのドロップテストに合格すること。
A 内装容器の総質量(危険物+内装容器)が@において落下試験容器の総質量の2分の1を超えないこと。
B 緩衝材の厚さ
C 外装容器は積み重ね試験に合格したもの
D 液体を入れた内装容器は液体全量を吸収するのに足りる吸収材で包む
F 漏洩防止にプラスチックバッグなどに入れる
G 内装容器は圧力変化で液もれなど生じない機能を持つ容器であること。
H 組み合わせ容器包装に対する等級Tの試験が行われた旨のマークを付すること。
Kg単位でマーキングされた総質量は外装容器の重量と@の落下試験で使用された内装容器の質量の半分を足したものであること。さらに国連容器の容器コードに″V″の記号を付けること。


解説:航空法もIATA DGRも″V″容器についての記述は非常に分かりくい。具体的な説明をしましょう。
組み合わせ容器(COMBINATION PACKAGINGS)の国連容器試験は金属缶とかプラスチツク容器とか内装容器が変わる毎に試験を受けなければならないが,特別容器″V″容器は包装基準にあるどの内装容器にも使用できる優れ物です。

例:ここに4GのV容器があります。マーキングは下記の内容です。


ファイバーボードボックスのV容器コード 
   
V容器コードのダウンロード
V容器コード.PDF
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)

この場合は内装容器の総重量 4.0KgでV容器認可を受けていますから       
4.0Kg×2分の1=2.0Kg
すなわち,2.0Kgまでの内装容器に入った危険物を包装できる。

注意事項
内装容器に液体収納の場合  
内容器が破損しても全量吸収できる量の吸収材で内容器を取り囲むこと。
もちろん緩衝材も入れること 最適材料:ヒルイシ(蛭石)(バーミキュライトともいう粘土鉱物)
                
内装容器に粉末収納の場合  
内容器破損による漏洩防止のため0.1mm以上の厚さのポリエチレン袋に入れる。もちろん緩衝材も入れること。
       
国連容器については別項で解説し国内のUNメーカーなども紹介します。

4−4 国連番号とIATA DGRの掲載ページの索引について
メーカーの「製品安全データシート」にUN番号が記載されている場合,英文品名がIATA DGRの危険物リストの何ページに掲載されているかを調べるために第四章第3項にUN番号順の索引があります.意外に便利性が高いと思います。
 例:                 
   UN/ID No.   品  名           ページ           
   UN 1263  Paint related material     203 
   UN 1263  Paint                 203  
   UN 2000  Celluloid              133
   UN 3159  Refrigerant gas         R134a
                                218
   ID 8000  Consumer commodity     140  

4−5   Special Provision(特別規定)について
第四章第2項  危険物のリスト  M欄にS.P.(特別規定)がある.
この特別規定は航空法の告示別表では品名の欄にカッコ書きで示されている。
例えばUN3090 リチウム電池 ではカッコ書きでS.P.A45の危険物除外規定の内容が明記されている。
organic peroxide(有機過酸化物)にはS.P.A20が付されており険物貨物申告書の取り扱い注意事項欄に荷主は太陽の直射を避け通風のよい冷所に保管することと明記しなければならない。
このように特定の危険物に固有の特別規定があるので第四章第2項の危険物リストのM欄に注意してください。

4−6   危険物リスト表の見方
第四章第2項 危険物リストはAからNまで14欄に渡って情報一覧表になっている。
DGRで最も使用頻度の高いページである。
このページの各欄の内容は第四章の4.1.6項 を参照してください。
2000年に新設されたN欄,ERG Code欄はICAOで定めたパイロット用の飛行中に発生した緊急事態時対応方法をドリル化した「Emergency Response Guidance」のコードを表記したもの。

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3. 航空危険物の輸送方法

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航空危険物の輸送方法

航空危険物の輸送方法として@微量危険物(Excepted Quantity)として輸送する
A少量規定危険物(LTD QTY)として輸送する
B国連容器に入れて輸送する
の3方法がある。

5−1 微量危険物としての輸送方法
IATA DGR 第2章 制限 第7項に 微量危険物(EXCEPTED QUANTITY)について述べられている。
航空法では「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」第24条に微量輸送許容物件の規定がある.
特定の危険物について通常適用される要件をEXCEPTED免除された微量危険物は,危険物貨物申告書(DGD)が不要で微量危険物専用ラベル(IATA DGR 図2.7.B 参照)1枚の記入,添付ですむというメリットがあります。
もちろん,デメリットもあります。それはきわめて少量,いわゆる微量しか送れないことです。
包装も危険物を入れた内容器があり中間容器がありさらに外装容器という3重包装が要求されていますが,少量のサンプル出荷のとき航空輸送の持つ迅速性にマッチした輸送方法です。
個数をふやして対応するなど検討してください。

IATA DGR 第2章 「制限」によると微量危険物を取り扱わない航空会社は,エアーカナダ,KLMオランダ航空,中華航空など19社がありますから事前確認してください.


5−1−1
 微量危険物として輸送できないもの
@ 航空機に 積載 禁止のもの(DGR 表2.1.Aの物件)
A 旅客機に 積載 禁止のもの(CAO のみ積載 可のもの)
B クラス1の火薬類
C 毒性,腐食性,酸化性などの副次危険性をもつ非引火性ガス
D 引火性ガス及び毒性ガス
E 区分4.1 自己反応性物質 (付録 C1に化学名表あり)
F 区分4.1 可燃性固体   主危険性または副次危険性 P.G. Tのもの
G 区分4.2 自然発火性物質 主危険性または副次危険性 P.G. Tのもの
H 区分4.3 D.W.W.(水反応可燃性物質)主危険性または副次危険性P.G.Tのもの
I 区分5.1 酸化性物質  主危険性または副次危険性 P.G.Tのもの
J 区分5.2 有機過酸化物の主危険性または副次危険性のもの
ただしUN3316 ケミカルキットまたは救急キット クラス9のものは除く
K 吸入毒性 LC50 0.5mg/L以下の主危険性または副次危険性P.G.Tの毒物
L 区分6.2 病毒を移しやすい物質
M 第7分類の放射性物質 ただし適用除外放射性物質(DGR 10.9.8.1,10.9.8.2,10.9.9.1〜7記載物件)
N 第8分類 腐食性物質で主危険性または副次危険性がP.G.Tのもの
およびUN2803 ガリウム P.G.V
   UN2809 水銀   P.G.V 
ガリウムと水銀は航空機部材のアルミニウム金属に対する腐食性が高く少量規定も認められていないので注意すること。
O クラス9 UN2807 磁性物質   少量規定も認められていない
P 当局の適用免除または認可によってのみ輸送できるもの

5−1−2 微量危険物として輸送できる危険物
  旅客機に危険物として搭載できる次のものに限り微量危険物として輸送できる。
@ 区分2.2の非引火性ガスで副次危険性のないもの
A 第3分類の引火性液体 P.G(包装等級).T,U、Vいずれも輸送できる
B 自己反応性物質を除くクラス4.1のP.G. UおよびVのもの
C 区分5.1の酸化性物質のP.G. UおよびVのもの
D 区分5.2の有機過酸化物でUN3316 ケミカルキットまたは救急セットのなかに含まれるもの
E 分類6.1の毒物で吸入毒性P.G.Tを除くもの
F UN2803 ガリウム,UN2809 水銀を除く分類8の腐食性物質でP.G.UとVのもの 
G UN2807 磁性物質を除く分類9の「その他の有害物質」
(実際には数量規制がありエアーバックや自動車などの物件は微量や少量規定では輸送できないが,ID8000のConsumer commodity,UN3316のケミカルキットなど実例があります )

5−1−3  微量危険物一覧表
微量危険物として輸送できる一覧表が分かりやすくIATA DGR 第2章に表2.7.Aにまとめられている。
この表を基本にして、微量危険物として輸送してください。
2 .7.A表とは別の表を資料として表5に示します.
みなさんの使いやすい表で微量危険物輸送に利用してください。
                   
表 5 微量危険物―-内装容器および外装容器の最大ネット量
表 5のダウンロード
微量危険物表5−講座3.pdf
(このファイルを見るには、Acrobat.PDFが必要です。)    


5−1−4 書類とラベリング
@微量危険物輸送の最大の特徴は危険物貨物申告書(DECLARATION)を必要としないことである。
その代わり航空貨物運送状(B/L)の「Nature and Quantity of Goods」欄にDangerous Goods in Expected Quantities」と記入すればよい。
IATA DGR の第8章第2項 航空貨物運送状 図 8.2 Fを参考にしてください。  
A ラベル
IATA DGR 第2章 図2.7.Bの微量危険物専用のラベルに必要事項を記入するだけでよい。ぜひ,DGRでラベル見本を確認してください。
危険物の該当するクラスにx印を記しUN番号と荷送人の署名とタイトルと年月日と会社名,住所を記入すること。


ラベル見本   略
(IATA DGR 図 2.7B 参照のこと)

例:UN 1133  Adhesives  Class 3 P.G.U
数量        Net 30mlx5 metal tubes
            total  150ml
包装        微量危険物の包装要件を満足した包装品

ラベルのマーキング(参考)
ラベルのマーキングのダウンロード
ラベルマーキングー講座3.pdf
(このファイルを見るには、Acrobat.PDFが必要です。)

参考:危険物の主危険性のみマークすること
オーバーパックもできるが,個々の包装物のラベルがはっきりと見えないときは,オーバーパック表面にさらにラベルを貼ること。


5−1−5 包装について
微量危険物の輸送容器は@内装容器+緩衝材+A中間容器+B外装容器の三重包装が要求されている。

@ 内装容器 厚さ0.2mm以上のプラスチック容器または陶器,ガラス,金属製のもの
A 内容器の口栓やキヤップは緩まないようにワイヤーやプラスチックテープでしっかりと保持すること
B 内装容器を緩衝材を入れた中間容器にいれる。 液体の場合は全量吸収できる量の吸収材も入れること.
C この中間容器を木製,ファイバー板紙製の丈夫な外装容器に入れる
D 包装物の大きさ    ボツクス型の場合    100mmx100mm以上
               シリンダー型の場合   直径 100mm以上
                                高さ 100mm以上
E 包装物の強度試験
a)落下試験
 @+A+Bの包装物を高さ 1.8m 落下試験を行い容器の破損,漏洩のないこと
 ボックス型容器の場合
 各面の落下試験
 箱の接合点の角を1回
 シリンダー型(ドラム型)の場合
 チャイムまたは円周部の接合部またはエッジ部を1回落下試験
       
1回目で試験が行われなかった最も弱い部分,たとえば口栓部を1回落下試験する
b)積み重ね試験
 包装物を高さ3mまで積み重ねて24時間試験に耐えること
 外装容器に変形などの異常のないことを確認する。

1−5−6  荷送人の責任
IATA DGR 第1章 第3項 荷送人の責任
         規則の遵守
         個別責任を参考にしてください


IATA DGRの第2章第7項 微量危険物の項では荷送人は微量危険物を航空会社に輸送委託する前に通常の航空機による輸送,例えば温度(−40°C〜+55℃),圧力,振動に耐えられる包装であり,直射日光を避けて風通しのよいところに保管などの特別な取り扱いを必要としないことを確認すること。

《まとめ》

@ 微量危険物として航空輸送できる「危険物」と数量は、IATA DGR 第2章 表2.7Aによる。
A 危険物貨物申告書(DGD)はいらない。(IATA DGR2.7.1)
B IATA DGR 第2章 図 2.7B の微量危険物専用のラベルに必要事項を記入またはマーキングする。(IATA DGR 2.7.6)
C 航空貨物運送状(B/L)の「Nature and Quantity」の欄に「Dangerous Goods in excepted quantities」の記入をする。(IATA DGR 2.7.7.2)
IATA DGR 第8章 8.2.5および「B/L」の見本 図 8.2.F を参考にする。

D 包装は表2.7.Aにより小分けされた内容器を緩衝材とともに中間容器に包装しさらに丈夫な外装容器に包装する。(IATA DGR 2.7.8.)    

*********************************************

4. 少量規定による危険物輸送

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5−2 少量規定(LIMITED QUANTITY または LTD. QTY.)による危険物輸送

国内法では「航空機による爆発物等の輸送基準等を定める告示」第23条に少量輸送許容物件として規定されている。
IATA DGR では、第2章 2.8項に少量危険物の規則が述べられている。
少量規定を国家として認めていないのはフランスだけであるが、航空会社として受託しないのがガルフ航空、ルフトハンザ航空、英国地中海航空の3社である。

LTD QTYの最大のメリットは包装容器に国連容器(UN容器)が義務付けられていないことである。
 ただし、ポリエチレン内張りの複合容器を含む単一容器は認められず必ず危険物を入れた内装容器と緩衝材、吸収材を詰めた丈夫な外装容器との「組み合わせ包装」(COMBINATION PACKAGINGS)に限定されている。(DGR2.8.3.3及び2.8.5)

 荷主から受託した危険物が少量規定で輸送できるか否かは、IATA DGR 第4章第2項 ブルーページの危険物リスト(List of DANGEROUS GOODS)のGおよびH欄にY305,1LのようにYの記号を頭につけた少量規定の包装基準と1包装当たりの最大許容質量の記載により確認できる。
すべての危険品に少量規定は認められてはいないのでIATA DGR4.2項の危険物リスト表で確認する必要があります。 
 G欄およびH欄に ー 表示の物はLTD QTYで輸送できない危険物です.

5−2―1  LTD QTYで航空輸送できない危険物(DGR 2.8.2)

@ いかなる場合も積載禁止物質、IATA DGR 第2章 2.1.1表2.1.A
参照のこと.                            
約300品名がABC順にリストアップされている.            
もちろん、これらの化学品名はIATA DGR の4.2項の危険物リスト表にもFORBIDDENと表記されている。
A CAO(貨物専用機のみ)の輸送しか認められていないもの
B 包装等級(P.G.)が高い危険性の T のもの
C クラス1 火薬類    すべての火薬類
D クラス2 高圧ガス類  
区分2.1 引火性ガス、但しUN1950のエアゾ−ルを除く
区分2.2 非引火性ガス、但しUN1950エアゾールを除く
      深冷液化ガス 
区分2.3 毒性ガス
E クラス4 可燃性固体類 
区分4.1 自己反応性物質
区分4.2 自然発火性物質の主危険性または副次危険性のあるもの                  
              
F クラス6 毒物     
区分 6.2 病毒を移しやすい物質

G クラス7 放射性物質

H クラス8 腐食性物質  下記の特定物質のみ禁止 
UN2794  Batteries、wet,filled with acid 硫酸電解液入りのバッテリー
UN2795  Batteries,wet,filled with alkaliアルカリ電解液入りバッテリー
UN2803  GALLIUM  ガリウム
UN2809  MERCURY  水銀
UN3028  Batteries、dry ,containing potassium hydroxide,solid

I クラス9 その他の有害物質 ただし下記の特定物質は少量規定が認めらている。
UN1941  Dibromodifluoromethane
UN1990  Benzaldehyde  
UN2071  Ammonium nitrate fertilizers           
        硝酸アンモニウム肥料
UN3077  Environmentally hazardous substance,solid,
        n.o.s.環境有害物質(固体)
UN3082  環境有害物質(液体)  
UN3316  Chemical kit or First aid kit ケミカル  
        キットまたは救急キット

5.2.2 少量危険物として輸送できる危険物
大原則は旅客機で輸送できる航空危険物であり次のクラス、区分、等級(P.G.が適用される場合)のもの
@ クラス 2 高圧ガス
UN 1950 引火性エアゾールおよび
        非引火性エアゾール
ID 8013 航空機用ガスジェネレター
      (非常脱出用すべり台膨脹用)

A クラス 3 引火性液体 
引火点 23℃未満のP.G.Uまたは
引火点 23℃以上のP.G.Vのもの          

B クラス 4 区分4.1 
可燃性固体 P.G.UまたはVのもの
ただし自己反応性物質(IATA DGR付録
C.1表に化学品名がある)は除く 
区分4.3 水反応可燃性物質(DWW)P.G.UまたはVのもの

C クラス 5 区分5.1 酸化性物質 P.G.UまたはVのもの
区分5.2 有機過酸化物でUN3316ケミカルキット
または救急キットに収納されたもの

D クラス 6 区分6.1 毒物でP.G.U と Vのもの

E クラス 8 腐食性物質 でP.G.U と Vのもの

F クラス 9 その他の有害物質のうち下記のものは輸送できる
UN1941 Dibromodifluoromethane
UN1990 Benzaldehyde
UN2071 硝酸アンモニウム肥料
UN3077 環境有害物質、固体のもの
UN3082 環境有害物質、液体のもの
UN3316 ケミカルキット または 救急キット

5.2.3 包装および制限
@ LTD QTY包装物、1個当たりのトータル グロスウエイトは30s(s G、包装容器を含む総重量)以下であること。
A 危険物の1包装当たりの危険物輸送できる最大許容数量(基本的にはネット量,液体であれば L、固体であればKg,まれにUN1950エアゾール製品のように例外的にGROSS表示を義務化したものはY203/30Kg G のようにG表示がある)はIATA DGR 第4章 4.2項 危険物リスト表のH欄に、包装方法―包装基準(頭にY記号のついた包装基準、例Y305)はG欄に記載されている.
参考:GROSS表示が義務化されている危険物
UN 1950 Aerosols類  Y203 30 Kg G
                 Y204 30 Kg G
UN 3077 Environmentally hazardous substance,solid, n.o.s.★
  (環境有害物質,固体のもの)
              Y911 30 Kg G
UN 3082 環境有害物質,液体の物
              Y914 30 Kg G
  
B LTD QTY用包装容器の規格
正規の包装基準(P.I.)と異なりUN容器は規定されていない。
荷主責任において落下試験と積み重ね試験の2項目の強度試験を実施し輸送容器の安全性を確認すること。
1) 落下試験 (ドロップ テスト)
少量規定の基づく包装物を高さ1.2mから固い平面に最も破損を起こしやすい方法で落下し内容器からの漏洩や外装に変形などの異常のないこと。
外装がファイバーボックスであれば角が最低落下位置になるようにして試験を行う。
この高さ1.2mの落下試験は国連容器試験の包装等級Uの試験と同じ高さである。
2) 積み重ね試験
少量規定に基づく包装物と同等の重量の包装物を高さ3mに積み重ね24時間後、内装容器に漏洩、外装容器に変形など異常のないことを確認する。
       
この容器試験は荷送人の責任において自主確認をしてください。
C 外装容器のマーキング
少量規定に基づく包装物は第7章 マーキングの規定,7.1.5.3.により外装容器に'LTD QTY'とマークすること。
D 危険性ラベル
第4章2項の「危険物リスト」のE欄 危険性ラベル記載のラベルをUN 番号,PSN,荷送人,荷受人の記載面とおなじ面に貼り付けること.副次危険性ラベルが要求されているときは,正副ラルを並べて貼ること。2001年7月1日から法改正があり,正副ラベルともに下に数字のあるものとなりました。
E 異なった危険物の同梱
ひとつの外装容器に異なる危険物を同梱するときは,「Q 値」を計算し1.0を超えないこと。
IATA DGR 第5章 5.0.3.2を参照してください。
計算された「Q 値」は,小数点 1位に繰り上げ,危険物申告書に記入すること。

申告書の書き方はIATA DGR の第8章 危険物申告書の見本 図 8.1 H −例 4 を参考にして下さい。
      
「Q 値」の計算式  Q =m1/ M1 + m2 / M2 + ・・・
m1,m2・・は同梱されて輸送する危険物のネット量
M1、M2・・はIATA DGR 4.2 危険物リストに掲載されたY包装基準欄(H欄)の最大許容正味量である 

事例解説:IATA DGR 図 8.1.H ― 例4

UN 2339  3/U   0.2 L  Y305
UN 2653  6.1/U 0.3 L  Y609
UN 2049  3/V   0.5 L  Y309
All packed in one wooden box.
Q=0.6
解 説:  
計算式    Y305 Max.1 L・・・M 1
         Y609 Max.1 L・・・M 2
         Y309 Max.10L・・・M 3
∴ Q= 0.2/1 + 0.3/1 + 0.5/10
   =0.55・・・小数点1桁に繰り上げる(DGR5.0.3.2 Note:参照) 
∴ Q=0.6
   注意点:LTD QTY は総質量(包装物の総重量)の制限があり, 30Kg以下とすること

5.2.4 書 類 (Declaration )
IATA DGR の第8章 8.1 危険物申告書の項に詳細に申告書の記入について述べられている。
特に,図8.1.D に申告書の各記入欄ごとのDGR参考項目を記しているので参考にすること。
ステップ9に記載されているが申告書のAuthorizationの欄に ゛LTD. QTY.゛と記入すること。


≪まとめ≫   少量規定, LTD. QTY.の基本は:
@ IATA DGR 4.2項 危険物リストのG欄にYコードの包装基準の記載とH欄に1包装あたりの最大許容量の記載があるUN 番号の危険物は少量規定で輸送できる。
A フランスは国家として少量規定を認めていない
B ガルフ航空、ルフトハンザ航空、英国地中海航空は少量危険物を受託しない.
C 包装はすべて危険物の入った内装容器+緩衝材/吸収材+外装容器の組み合わせ容器(COMBINATION PACKAGING)である.
D 1容器の包装容器を含む総質量,グロスウエイトは30Kg以下とすること.
E 外装容器と危険物申告書に LTD.QTY.と記載する.

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6. リチュムおよびリチュムイオン電池の国際航空輸送

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「リチウム電池とリチウムイオン電池の航空輸送の実務」

航空法/IATAの改正が2001年7月1日に実施されUN3090のLithiumbatteriesも大きな変更があり,危険物除外規定の特別規程(S.P.)A8が新規に,またA45も内容変更があった.
この二つの規程は,いずれも危険品から除外される重要な特別規定である.
具体的にはUN3090 Lithium batteriesにはリチウム電池および新たにリチウムイオン電池も含まれることに改正された、

特別規程(S.P.)の内容

A8  新品のリチウムイオン単電池(セル)及び組電池(バッテリー)がつぎのいずれかに該当する場合は本規則の適用を受けない.
(a) 使用されている電解液が本規則中の危険物に該当しない
(b) 電池を構成する容器が破損した場合であっても,電解液が流出しないものまたは流出するフリーの液体が存在しないもの

A45 1. リチウム・セル及びリチウム・バッテリーは以下の条件を満たせば本規則の適用を受けない. 
a)単電池 (CELLS)は以下の条件を満たすこと                 
@ 液体正極のリチウム金属又はリチウム合金のセル(単電池)は,セル1個当たりのリチウム量が0.5gを超えないこと
A 固体の正極を有するリチウム金属又はリチウム合金のセルは,セル1個当たりのリチウム量が1gを超えないこと
B リチウムイオンセルは,セル1個当たりの等価リチウム量が1.5gを超えないこと
b)組電池(BATTERIES)は以下の要件を満たすこと
@ 液体の正極を有するリチウム金属又はリチウム合金の組電池は,組電池1個当たりの総リチウム量が1gを超えないこと
A 固体の正極を有するリチウム金属又はリチウム合金の組電池は,組電池1個当たりの総リチウム量が2gを超えないこと
B リチウムイオン組電池は,組電池1個当たりの総等価リチウム量が8gを超えないこと

c)液体の正極を有するセル及び組電池は,それぞれが密閉された構造であること
d)セル又は組電池は,短絡を防止する措置がなされ,かつ,強固な梱包が施されていること.但し電子機器に内臓されているものを除く
e)負極中の総リチウム量が0.5gを超える液体の正極を有する組電池又は負極中の総リチウム量が1gを越える個体の正極を有する組電池は,危険性の認められる液体又はガスを含まないこと.
ただし,危険性の認められる液体またはガスが電池の中で他の物質により完全に吸収又は中和されるものを除く.

2.次に掲げる技術上の基準を満たすものは,非危険物とする.
a)セルの負極中のリチウム量が5gを超えないもの
b)組電池の負電極の総リチウム量が25gを超えないもの
c)危険物輸送に関する国連勧告に従って試験を実施し,クラス9に該当しないと証明された型式のものであること.
  但し,当該試験は,当該型式が初めて航空輸送される前に実施されていること
d)通常の輸送中において,短絡が生じない措置がされていること.

3.平成5年12月31日以前に製造されたリチウム電池については,次に掲げる基準を満たす場合は容器及び包装等「950」の規程に従い輸送することができる.ただし,液体の正極を有するものは,旅客機での輸送を禁止する.

a) 液体の正極を有するものは,セル1個当たりのリチウム量が12g以下のもの.
b) 固体の正極を有するものはセル1個当たりのリチウム量が3g以下のもの.

4. 平成5年12月31日以前に製造されたリチウム電池(装置に組み込まれたもの)は下記の基準を満たすものは「951」の規程により輸送できる.
但し,正極が液体のものは旅客機では輸送禁止とする
a)旅客機に積載する場合はセル1個当たりのリチウム量が3g以下のもの
b)旅客機以外の航空機に積載する場合は,セル1個当たりのリチウム量が12g以下のもの.

5. 1項及び2項の規程のリチウム量は,リチウム金属セル又はリチウム合金セルの負極中に含まれるリチウム重量とする
但し,リチウムイオンセルの場合はAhで表現される定格容量に0.3を乗じた等価リチウム含有量(g)とする.


T.非危険物(A45適用品)のリチウム電池及びリチウムイオン電池の航空輸送の実務

 IATA/航空法改正とは別問題で,1999年4月28日、日本からアメリカ(ロサンゼルス空港)に航空輸送した非危険物のリチウム一次電池が異常な荷扱いが原因で火災事故がありアメリカのNATIONAL TRANSPORTATION SAFTY BOARD(NTSB)(運輸安全委員会)が米国運輸省と連邦航空局に対して安全輸送に関して勧告を発表,アメリカの航空会社は何社かが自主的に勧告を受け入れUN3090リチウム電池の危険品除外規定A45の効力を停止する決定をしている.

米国運輸省は非危険物の一次リチウム電池の輸送についてある程度の自主規制をすることを望むとした.
これを受けて日米の電池工業会と米国運輸省と協議した結果,日本の電池工業会は下記の自主規制案(VTCP)をつくり本年2月T日から実施している.

従って、非危険物のリチウム電池及びリチウムイオン電池は電池工業会の自主規定(VTCP)に従って航空輸送しなければならない。

社団法人 電池工業会の資料に基づいて自主規制(VTCP)を紹介する.

リチウム電池およびリチウムイオン電池の航空輸送規制への対応・・・
ボランタリー・トランスポーテーション・コミュニケーション・プログラム(VTCP)について

目的 リチウム一次電池とリチウムイオン二次電池(充電式)の航空輸送上の安全性を高めるべく電池メーカーが自主規制を実施するもの危険性について

リチウム電池:
負極はリチウム金属が使用され電解液にはさまざまのものがある.
リチウム金属は水と激しく反応して引火性の水素ガスを発生する化学的活性の高いDWWの危険物です。

リチウムイオン電池: 
リチウム金属は含有していない.
リチウムイオンが正極と負極の間を移動することを応用している。
電解液に燃焼性のものもある
バッテリ−は化学エネルギーを直接電気エネルギーに転換する
ものであり取り扱いの注意を要する物品である.

           
1. 対象電池
@ リチウム金属セル(単電池)およびバッテリー(組電池)(パック)
A リチウムイオンセル(単電池)およびバッテリー(組電池)(パック)

2. 対象とする輸送形態
@ 航空輸送
A 全世界

3. 取り扱い注意ラベルを梱包面に貼り付ける
  Label Marking
  標準ラベル仕様に基づき電池別に各社で作成

内容は日本語と英語で品名,取り扱い注意及び緊急連絡先


取り扱い注意ラベルの見本例
取り扱い注意ラベルのダウンロード
 取り扱い注意ラベル.pdf
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)

4. 輸送申告書を添付する
Shipping Declaration゛Not Regulate as Dangerous Goods″

5. 1梱包あたりの重量を制限する(30Kg以下とする)
Package weight
      
6. 国連容器の包装等級U(高さ1.2mからの落下試験,高さ3m24時間の積み重ね試験=少量危険物の容器規程)と同等の強度のある容器に梱包する 
Packing Instruction 

以上が電池工業会のリチウム電池及びリチウムイオン電池のVTCP実施内容である.

個々の輸送時の対応策は・・・

電池メーカーに航空輸送する電池はUN3090の危険物なのか,
A45適用の非危険物電池なのかを確認する.


非危険物の場合    
輸送予定航空会社に非危険物扱いを確認する (運航者例外規定の有無確認)
VTCP電池業界の自主規定に従い非危険物として航空輸送

危険物の場合
包装基準 903で梱包して航空危険物輸送


[参考]
社団法人 電池工業会について
 電話 03−3434−0261
 FAX  03−3434−2691
 ホームページhttp ://www. baj.or.jp

取り扱い品目
一次電池   :  マンガン乾電池 アルカリ乾電池
酸化銀電池 : 空気電池 リチウム電池等
二次電池 :  自動車用鉛蓄電池 産業用鉛蓄電池
EV用電池 :  ニカド電池 ニッケル水素電池
リチウムイオン電池等
電池器具  : 各種携帯電灯及び電池応用製品等
その他    :  各種電源設備等

日本の一次リチウム電池の世界のマーケットシエアー

シリンダー型  73%(200xMil.pcs)
コイン型     87%(1108xMil.pcs)      

U.航空危険物としてのリチウム電池及びリチウムイオン電池の輸送実務
UN3090 Lithium batteries 9/Uは包装基準903に従って梱包する.

電池メーカーに問い合わせた結果、S.P.45の除外規定が適用されないUN3090の危険品と確認されたらP.I.903で指定されたUN容器で包装しなければならない.
なを,下記の注の条件を満足しなければならない.

外装容器 容器等級Uの規格試験に合格した下記コードのUN容器に包装すること
ファイバーボードボックスであれば4GYのコードが印刷表示されたもの


ドラム缶
1A2  1B2  1D  1G  1H2

ジェリカン
3A2  3H2

ボックス
4A 4B 4C1 4C2 4F 4G 4H2

(注) なお,下記の要件を満たすときP.I.903で輸送できる.

(a) 危険物輸送勧告書の試験・基準マニュアル(国連文書ST/SG/AC.10/11)に従って試験を実施し,第9分類の危険物に該当するものに限る
(b) セルおよびバッテリーは安全通気孔を装備しているか通常の輸送状態で激しい破裂を起こすことがないように設計されていること.
(c) 外部における短絡を防止する手段を装備していること
(d) 電流の逆流防止装置(二極管,ヒューズなど)を装備していること
(e) 短絡防止できる内装容器に収納されていること
(f) P.G.UのP.I.に指定された外装容器に梱包すること
その他
    セルの開回路電圧が2ボルト以下に
    又は定格回路電圧の2/3以下に放電していないものに限る

輸送許可数量

許可数量はグロス表示なので申告書(DGD)の数量欄の記入もグロス表示(G)となる.

旅客機と貨物専用機  5 Kg G
貨物専用機       35 Kg G   

UN3090 の危険物にならない用途例(小型のもの)

一般的な用途である電卓,カメラ、パソコン、家庭用ビデオカメラ,携帯電話などのポータブル用途の電池はA45適用の非危険物である.(電池工業会 資料より)
例:コイン型  CR2016,CR2032,CR243  
CR1220,CR2025,CR2450

シリンダー型 
CR12600SE,CR14250SE
CR17335SE,CR17450SE
CR123A,CR−V3、CR2、
2CR5

UN3090の危険物になる用途例(大型のもの)     
放送局などプロ仕様のビデオカメラ用
ハイブリッド カー用(HEV)
電気自動車用(EV)など

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7. 航空危険物の包装

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航空危険物の包装用語と輸送用国連規格容器について」 

T.包装用語の解説
 包装用語解説のダウンロード
1.PDF

U.国連規格容器の種類とコード
 国連規格容器の種類とコードのダウンロード
2.PDF

V.国連規格容器の表示
 国連規格容器の表示のダウンロード
3.PDF

W.国連規格容器メーカー
 国連規格容器メーカーのダウンロード
4.PDF

*(PDFファイルを見るには、Acorobat..PDF が必要です)

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8. 航空危険物とEGRコードと事故

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はじめに 
IATA・DGRの最初のページ,一般原則に緊急事態発生など事故時の対応について下記のように述べている。
「荷主による危険物申告書はどのような危険物が航空輸送されているのか,航空危険物はどのように包装されているかを輸送関係者に告知し,飛行中あるいは地上で事故(incident or accident)発生時にどのように対応(ERGコード)しなければならないかを知る重要な資料である。
機長は,緊急事態発生時に適切な対応を行うため機内に積載されている危険物の名称、数量,搭載位置などの情報を1枚の書式(Notification to Captain)(NOTOC)(IATA・DGR第9章5.1項 機長への情報参照)を持ち,さらに万一の場合,支援を受けるために航空管制機関に情報を伝達しなければならないのでICAOで定めた緊急時対応指針書(ERG コードドリル)を持つ。」と明記されている。
2001年9月11日、アメリカで発生した航空機ハイジャツクによる同時多発テロとは直接関係はありませんが,航空危険物安全輸送の参考として事故時の緊急対応(ERG CODE)と事故報告についてIATA・DGRに記載されている内容とアメリカ運輸省の危険物貨物の事故統計資料を紹介します。

1. ERG CODE, 緊急時対応指針について

航空危険物の緊急時対応ドリルコードについて紹介しましょう。
IATA危険物規則書(DGR)の2000年版から第4章2項 危険物リスト(List of Dangerous Goods)の一番右のN欄にERG Codeが新設された。
IATA・DGR第4章 4.1.6.14.の項目にN欄の解説があり,これは,航空機の機長が積載品の危険物事故時にとるべき緊急対策指針をICAOが作成したもので,出版物名 The Emergency Response Guidance for Aircraft Incidents Involving Dangerous Goods [ICAO Doc.9481] のEmergency Response Drill Code (ERG Code)をN欄に記載したものです。 
 この本は2年おきに発行され,赤い表紙なので業界では赤本の通称で知られている。
ちなみに,ICAOの危険物のT.I.(技術指針)は通称、ブルーブックという。

* ERGコードの見方・読み方
 機長が緊急事態の時に直ちに適切な行動に移れるように1〜10までのDRILL NUMBERという危険物分類を示す数字(危険物の分類番号にほぼ準じている。 1は火薬類,2は高圧ガス、3は引火性)と危険物に付属する麻酔性とか腐食性,引火性などのリスクを示すA,C, E, Fなどのアルファベット1文字か2文字のDRILL LETTERとの組み合わせのERG DRILL CODEですべての危険物の固有の危険性、航空機への危険性、乗客乗員への危険性,漏洩時の対策、消火方法、その他考慮しなければならない危険性を簡潔に示している。
 例えば、UN1263 Paintは包装等級 TもUもVもERG CODEは すべて 「3L」である。
「3L」の 「3」 の内容は
(1) 危険物固有の危険性 : 引火性液体 または固体
(2) 航空機への危険性  : 火災もしくは爆発,あるいはその両方
(3) 乗客乗員への危険性  :  煙、有害ガス、熱とさらにアルファベット文字で示す危険性リスク
(4) 漏洩対策      : 100%酸素マスク使用、最大の換気の持続,禁煙,スパーク対策として電気系統も最小限にする
(5) 消火方法      :  出来るだけ大勢で消火にあたる
 但し,「W」ドリル文字品は禁水の危険物で水以外の消火器使用のこと(「W」の意味はDWWの危険品)
(6) 参考事項      :気圧の急激な低下の可能性あり
       
3Lの 「L」 の意味    :リスクの程度は低い(LOW)
参考: 「H」は HIGHLY IGNITABLEの意味で「高い燃焼性」を示す。

* DRILL LETTERの意味
DRILL LETTERの意味のダウンロード
 DRILL LETTER・PDF
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)


9月11日に米国で発生した航空機ハイジャックによる同時多発テロとは直接関係ありませんが,危険物の航空輸送中にERG CODEを機長が開くような緊急事態にならないよう安全輸送に注意したいものです。
現在、IATA DGR(危険物規則書)では申告書にERGコードの記入は要求していませんが参考にして下さい。

2. 事故発生時の報告義務について
IATA・DGR 第9章6項 報告(Reporting)参照
航空会社は危険物にかかわる重大事故(ACCIDENTS)または小事故(INCIDENTS)が発生した場合、事故事故発生国の当局にたいして報告義務があります。
2001年版から危険物事故報告書の標準様式が9.6.1項に図示されている。
*  航空法では通達「航空法施行規則第194条および航空機による爆発物等の運送基準を定める告示の運用について」 空航 第238号平成11年3月29日一部改定に険物事故報告について次のように記されている。
*  危険物事故の報告
危険物を輸送する者は,輸送(空港内における取扱いを含む)中に,危険物の漏洩、危険物貨物の損傷等が発生した場合には,つぎに掲げる事項を記載した危険物事故報告書を作成し,航空局技術部運航課長に提出しなければならない。
(1) 輸送人の氏名又は名称及び住所 
(2) 荷送人の氏名及び名称及び住所 
(3) 荷受人の氏名又は名称及び住所
(4) 事故が発生したことを知った日時及び事故が発生した場所
(5) 危険物の品名,分類(火薬類にあっては,分類,区分,隔離区分)及び国連番号
(6) 事故の概要
(7) 人の死傷又は物件の損壊の概要
(8) その他事故原因の究明及び事故の再発防止のために参考となる事項

3. 航空危険物の無申告又は誤申告について

IATA・DGR 第9章 取扱い 6項 報告 9.6.2項 に航空会社は,無申告または誤申告貨物が発見された場合,または旅客の手荷物からIATA・DGR 第2章 制限規程 3項に記載された危険物除外品以外の危険物が発見された場合は,発生した国の当局に報告義務がある。としている。

4. 米国での流通モード別事故統計資料
1999年 アメリカの「危険物」の輸送モード別事故件数
(米国DOT資料より)

1999年の米国運輸省(DOT)の事故統計資料から、航空輸送貨物の事故数は全体の16,881件中、10.1%の1,553件を占めており危険物の航空輸送は普及しているもののドライアイスの申告漏れとか取り扱の不注意とかの人為的ミスと危険物の漏洩,破損など容器・包装にまだまだ問題があることが分かる。
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9. 狂牛病(BSE)確認検査用の組織検体を航空危険物輸送する

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炭疽菌確認検査用サンプルを航空危険物輸送する

日本で,いままで発生がなかった狂牛病(牛海綿状脳症 BSE)が,2001年8月千葉県の乳用牛で発生し,動物衛生研究所で病理組織学的検査と免疫組織化学的検査を実施したところ狂牛病と確認された。 ただこの結論がでるまで検査の確実性について話題となった。
この牛海綿状脳症(BSE)は狂牛病ともいわれ,脳の細胞が空胞化し海綿状となり,異常行動など神経症状が現れた後に死亡する。英国で1986年に初めて報告された伝染病である。
 最終的には,国際獣疫事務局(OIE)認定検査機関の英国獣医研究所(国際リファレンス研究所)での診断によりBSEと診断された。
この診断決定により,10月18日から,我が国においても牛の全頭狂牛病検査が実施されている。
また,アメリカでは10月に発生した米連邦議会と報道各社に郵送された一連の「炭疽菌事件」で,郵便局職員が炭疽菌が原因で急死したり,菌を吸い込んで「肺炭疽」になつたりバイオテロとして大問題化している。
 このような伝染性病原体も確認検査のため航空危険物として輸送することもありうるので,今回は、狂牛病と炭租菌を確認検査用に航空危険物輸送することを説明します。

1.狂牛病(BSE)確認検査用の組織検体を航空危険物輸送する,狂牛病とは牛海綿状脳症(BOVINE SPONGIFORMENCEPHALOPATHY, 略称 BSE)ともいい病原体はプリオンという蛋白質の一種で我が国では家畜伝染病予防法に基づく法定伝染病である。
BSEの確認検査のため牛の組織検体を国際獣疫事務局指定のロンドンの英国獣医研究所に航空輸送するには,下記の航空危険物として輸送しなければならない。

IATA・DGRの危険物の分類区分
IATA・DGRの危険物の分類区分のダウンロード
IATA・DGRの危険物の分類区分
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)

包装基準602のポイント
A. 内装容器  
@完全防水の第1容器
A完全防水の第2容器
内装容器は防水性で、かつ、95キロパスカル以上の内部ゲージ圧力差およびー40度Cから55度Cまでの温度変化に漏洩なく耐えるものに限ること。

B. 緊急時対応のため必ず外装容器の外面にその貨物の輸送責任者の名前と電話番号を耐久性のある方法で明瞭にマークすること。
C. 特別要件
ドライアイスで保冷する場合は,気化するガスが放散する外装容器であること。(ドライアイス UN1845 クラス9の危険物)
氷使用の時は氷が溶けても中間容器がずれないように内部支持物を設けかつ、漏水防止性のある外装容器であること。
液体チッソ使用の時は超低温に耐えるプラッチツク製第1容器を使用すること。
(深冷液化窒素 UN1977 区分2.2 非引火性ガスの危険物)
D.事前調整
荷主と運航者はIATA・DGR第9章
Handling 9.1.2項により事前調整を行うこと。

PI602の容器試験のポイント
@ 落下試験  高さ 9mから5ツの面で落下試験
A 破裂試験  高さ 1mから鉄棒を落下、貫通試験を行い、2次容器は貫通しても1次容器からの漏洩がないこと。
              
日本では包装基準602の国産認定UN容器はないので、IATA・DGRの付録F「世界の国連容器サプライヤーリスト」からPI602の容器サプライヤーを見つけてください。
ホームページでカタログや価格表は入手できます。
また,送り先が欧米諸国であれば、送り先からPI602用の新品の国連容器を送ってもらうのが最善の方法です。

国連容器のマーク
国連容器のマークのダウンロード
 国連容器のマーク
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)

UN602容器などの主なサプライヤーリスト

AIR SEA CONTAINERS LIMITED (世界 各地)
 www.air−sea.co.uk
 www.airseaatlanta.com
 www.airseacontainers.com
EXAM PACKAGING  (ベルギー)
 www.exampackaging.be      
Saf−T−Pak Inc.    (カナダ)
 www.saftpak.com

EXAKT Technologies,Inc.(アメリカ)
 www.exaktpak.com

HAZMATPAC,Inc.      (アメリカ)
 www.hazmatpac.com

Labelmaster        (アメリカ)
 www.labelmaster.com

Danvers International (イギリス)
 mdanvers@talk21.com

DGP UK Ltd.(イギリス)
 www.dgpuk.co.uk

Mega−Pak Limited(イギリス)
 www.megapak−uk.com 

BIO−BOTTLE Co. (アメリカ)
 www.bio−bottle.com

Inmark, Inc.(アメリカ)
 www.inmarkinc.com 
                       

◇参考資料◇ 家畜伝染病予防法では25種類の病気が定められている。 
         参考として幾つかの病名を表記します。

家畜法定伝染病
家畜法定伝染病のダウンロード
 家畜法定伝染病
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)

2.炭疽菌検査用サンプルを航空危険物輸送する
米国で10月に発生した郵便物・白い粉・「炭疽菌」テロ事件(バイオテロ)は世界
中の注目をあびている。
郵便物は万国郵便条約により下記以外の危険物は郵送できない。
(a) 危険物申告書が添付された「病毒を移しやすい物質」
(b) 同上の「物質」を保冷するための「ドライアイス」
(c) 万国郵便条約で認められている免除された放射性物質
 今回の、「白い粉」「炭疽菌」は危険物郵便として正式に郵送されたものでなく,一般郵便
物として取り扱われた所にバイオテロ(生物化学兵器によるテロ)の悲惨事がある。

危険物区分6.2の「病毒を移しやすい物質」に該当する「炭疽菌」の航空危険物輸送
について述べます。

UN番号      UN2814
正式品名(PSN) Infectious substance,affecting humans(Bacillus anthracis)
危険物区分    6.2 (病毒を移しやすい物質)
             (人体に対し伝染性があるもの)
包装基準     PI 602
旅客機      50g(1包装当たり最大量)   
貨物専用機    4 kg( 〃)  

事前調整      荷送人と運航者間の事前調整必要義務あり(IATA・DGR9.1.2 受託についての特定責任)
政府例外規定および運航者例外規定
要 チェツク

◇ 参考資料 ◇ 法定伝染病とは伝染病予防法で予防方法が定められた11疾患をいう。
1. コレラ
2. 赤痢
3. 腸チフス
4. パラチフス
5. 痘瘡(とうそう)
6. 発疹チフス
7. しょう紅熱
8. ジフテリヤ
9. 流行性脳脊髄膜炎
10. ペスト
11. 日本脳炎

その他 : 天然痘、結核、エイズ、ラッサ熱、エボラ出血熱、ボツリヌス菌など 

3.区分6.2の定義
航空法施行規則 第194条(輸送禁止の物件)記載の「病毒を移しやすい物質」の定義を紹介します。
病毒を移しやすい物質
生きた病原体及び生きた病原体を含有し,又は生きた病原体が付着していると認められる物質
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11. リチウム電池とリチウムイオン電池の航空輸送の実務・その2

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リチウム電池・リチウムイオン電池業界の
自主的輸送情報伝達計画(VTCP)について

実用講座シリーズ(6)で解説したように、航空法およびIATAの改正が2001年7月1日に実施され,UN3090のLithium batteriesも大きな変更があった。 
具体的にはUN3090 Lithium batteriesにリチウム電池および。新たにリチウムイオン電池が含まれることに改正された。
また、特別規定(S.P.)A8が新設され、A45もリチウムイオン電池の除外規定が追加された。

航空法・IATA危険物規則とは別に、リチウム電池およびリチウムイオン電池メーカーの電池業界で自主規制(VTCP、ボランタリー・トランスポーテーション・コミュニケーション・プログラム)をつくり2001年2月1日から実施しているので、今回は(社団法人)電池工業会の資料に基づいて自主規制(VTCP)について紹介します。

1.VTCPの背景
■1999年4月   日本発・米国着 リチウム電池がロス空港で発火事故発生
■1999年11月  NTSB(米国運輸安全委員会)より旅客機による輸送禁止勧告
■2000年4月  電池業界自主規制を提案(米国政府・業界合同会議)
■2000年9月   米国運輸省(DOT)米国官報にリチウム電池の輸送についてAdvisory Notice発表
■2001年2月   VTCPの実施 (日米電池業界)

2.VTCPの実施内容
■ 航空輸送に限定し、世界規模で展開
■ リチウムおよびリチウムイオン電池の単電池と組電池(パック)を対象とする。
■ 機器組み込み、同梱の単電池・組電池は対象外とする。
■ 梱包は30kg以内とする。 強度は国連容器試験の等級U同等
以上。
■ 梱包に「取り扱い注意」の注意文を表示する。
■ 航空危険物にならないという趣旨の輸送通知書を添付する。
例えば、
SHIPPERS DECLARATION FOR ARTICLES
NOT REGULATED AS DANGEROUS GOODS  
(非危険物証明書)
■ 2001年2月1日より実施。  

「参考」  取り扱い注意ラベルについて
内容は日本語と英語で品名,取り扱い注意及び緊急連絡先を明記する。
取り扱い注意ラベルのダウンロード
取り扱い注意ラベル
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)


個々の輸送時の対応策は・・・
電池メーカーに航空輸送する電池はUN3090の危険物なのか、A45適用の非危険物電池なのかを確認する。

個々の輸送時の対応策ダウンロード
 個々の輸送時の対応策
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)


■ UN3090に関する送り先(国別政府例外規定)、委託航空会社(運航者例外規定)の例外規定もチェックしなければならない。

参考としてノースウエスト航空の運航者例外規定のNW−02を紹介する。

NW−02:UN3090とUN3091は、貨物専用機でのみ受託する。 
(旅客機では受託しないということ)           

「参考資料」  
資料 1.社団法人 電池工業会について
電話 03-3434-0261
FAX 03-3434-2691
ホームページhttp://www. baj or jp

取り扱い品目
一次電池:マンガン乾電池 アルカリ乾電池
      酸化銀電池 空気電池 リチウム電池等
      
二次電池:自動車用鉛蓄電池 産業用鉛蓄電池
       EV用電池 ニカド電池 ニッケル水素電池
       リチウムイオン電池等

電池器具:各種携帯電灯及び電池応用製品等

その他:各種電源設備等

資料 2. UN3090の危険物にならない用途例

一般的な用途である電卓、カメラ、パソコン、家庭用ビデオカメラ、携帯電話などのポータブル用途の電池はA45適用の非危険物である。電池工業会 資料より)

例:コイン型   CR2016,CR2032,CR243  
          CR1220,CR2025,CR2450

シリンダー型  CR12600SE,CR14250SE
          CR17335SE,CR17450SE
          CR123A,CR−V3,CR2,2CR5

資料 3.  UN3090の危険物になる用途例

放送局などプロ仕様のビデオカメラ用
ハイブリッドカー用(HEV)
電気自動車用(EV)
など

資料 4. 国内リチウム・リチウムイオン電池メーカー
問い合わせ先一覧表のダウンロード
 問い合わせ先一覧
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)

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12. 航空危険物とMSDS(製品安全データシート)について

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航空貨物の安全輸送の第一歩は、メーカーが発行した製品安全データシート(MSDS)を荷主から頂くことです。
航空法/IATAの危険物に該当するか否かを確認する基礎データとして、メーカーが作成したMSDSが必要です。
但し、MSDSは、航空法など危険物の輸送に重点を置いて作成されるものではありません。
MSDSは、化学物質を人の健康と環境に適切な管理を行うための3つの法律に基づく危険有害性情報で、我々はこの情報を基に航空法/IATAの危険物に該当するか否かを検討しなければならなりません。
今回の実用講座は、この「MSDS」について解説致します。


1.  MSDS制度の推移
1985年
米国で化学品の危険有害性の周知基準を法制化し施行・・MSDSの義務化。
欧州でも同じく製造者責任に関する指令が公布される。

1900年
国際化学工業協会協議会(ICCA)でMSDSの様式の統一案を作成。
ILO(国際労働機関)170号条約(職場における化学物質の使用の安全に関する条約)が採択される。

1992年
地球環境サミット(アジェンダ21第19章において、MSDSの普及の重要性について言及される)。

1992年
EU諸国においてMSDSの義務化のための第7次修正指令が公布される。
日本においても、日本化学工業協会(日化協)がMSDSに関する指針を作成し公表される。

1992年
通産省・厚生省・労働省がそれぞれMSDSに関する告示を公表する。

1994年
国際標準機関(ISO)でMSDSに係わる国際規格(ISO11014−1)を作成し発行する。

1995年
日本において、製造物責任法(過失責任主義から欠陥責任主義のPL法)が施行される。

2000年2月
日本において、MSDSのJIS制定(JIS Z 7250:2000)
(1994年に制定されたISO11014−1と技術的内容は同じである。)

2000年4月 労働安全衛生法 施行

2001年1月
化学物質管理促進法 (PRTR法)施行
毒物及び劇物取締法 施行


2.  MSDS制度について
MSDSの推移で述べたように、3つの法律がMSDSについて規制しております。

@化学物質管理促進法(PRTR法)では、MSDS制度とは、人の健康や環境に有害な恐れのある化学物質について、事業者による化学物質の適切な管理を促進するため、法規制対象化学物質を含有する製品を他の事業者に販売するときは、その製品の性状や取扱いに関する情報(MSDS)を事前に提供することを義務づける制度としている。

A労働安全衛生法では、MSDSにより通知対象物を取り扱う労働者への周知が義務付けされた。

B毒物及び劇物取締法では、劇毒物を販売するときは劇毒物の性状及び取扱いに関する情報、MSDSの提供が義務付けされた。

以上の3つの法律を1つに、まとめてみると次のように理解されます。

MSDS制度とは、事業者による化学製品の人の健康と環境に対する適切な管理を促進するため、危険有害物を販売又は提供するときは、その化学物質の危険有害性の性状及び取扱いに関する情報、即ちMSDSを事前に提供することを義務付ける制度です。


3. MSDSの対象物質と航空危険物
化学物質管理促進法・労働安全法・毒物劇物取締法の3法に規定されたMSDS対象物質は、3法別々に指定されている。

MSDS制度の対象となる化学物質は、政令で435物質が、現在指定されている。

国際連合の「危険物の輸送に関する勧告」に基づく航空法/IATAの「航空危険物」、すなわちUNナンバーをもつ危険物とMSDSに係わる3つの法律の「規制物質」とは、完全一致していないことに注意してください。

我々は、個々のMSDSに記載された引火点、毒性、酸化性、腐食性などのデータから、航空法/IATAの航空危険物に該当するか否かを検討しなければならなりません。


4. MSDSに記載する内容
ISOの様式とJISに準拠した日化協様式とを併記します。
英語版をもらったときは、日化協様式のものと項目を見比べて下さい。

ISOの様式と日化協様式のダウンロード
 ISO・日化協様式
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)


5. MSDSの見方,読み方
入手したMSDSのデータから航空法/IATAの航空危険物に該当するか否かを判断しなければならなりません。

MSDSの見方・読み方のポイントをモデルで紹介しましょう。
◎は必ずチェツクすべき項目です。
(    )内 太文字はその項目のチェツクポイントです。

◎ 作成日 2001年 2月 1日
◎ 改正日 2002年 3月 1日
(法律は改正があるので最新のものが必要)

製品安全データシート (MSDS)

◎ 1.製品 及び 会社情報     (事故発生時に問い合わせが必要になる)
製品名    接着剤  ミヤーボンド T  (商品名 または 化学名を記載)
会社名    ミヤケミカル工業梶@ 
住所    東京都千代田区霞ヶ関 ○ ○ ○ ― ○
担当部門  安全部
担当者   日本 太郎
電話番号  03−○○○―○○○○
FAX番号 03−○○○―○○○○
緊急連絡先 03−○○○―○○○○

◎ 2.組成・成分情報    (IATAのDGRの危険物リストでチェツクできる)
単一製品・混合物の区別:混合物
(単一品であれば,IATAのブルーページ4.3項 危険物リストでチェツクする)

組成・成分情報ダウンロード
 組成・成分情報
(このファイルを見るには、Acorobat.PDFが必要です。)

◎ 3.危険有害性の要約
最重要危険有害性
有害性           有機溶剤中毒を起こす恐れがある。
物理的及び化学的危険性   非常に燃えやすい液体である。
分類の名称 (分類基準の名称は日本方式、将来は全世界的整合化システムGHS(分類調和)を導入予定)   引火性液体
(該当する分類の名称を記載する。該当する分類が複数あるときはすべて記載する。 例えば 引火性液体,急性毒性物質,腐食性物質など。 また、該当しない場合は、「分類基準に該当しない」と記載することとしている。・・・これによって、非危険物ということが、確認できる。)

4. 応急処置
(医師による処置に先立って,現場ですぐ行うことが出来る適切な方法を記載する)
吸入した場合
皮膚に付着した場合
目に入った場合
飲み込んだ場合
最も重要な徴候及び症状に関する簡潔な情報 例:めまい,頭痛

5. 火災時の措置
(消火の方法と消火を、適切かつ安全に行うための注意事項を記載する)
消火剤    粉末・二酸化炭素・泡
特定の消火方法   近くの着火源を絶ち、保護具を着用して消火する。
消火を行う者の保護  有害なガスを吸い込まないように呼吸保護具を着け、風上から消火作業を行う。

6. 漏出時の措置
(人や建物、環境への災害の防止、流出物の処理を記載)
人体に対する注意事項
環境に対する注意事項 排気、排水
除去方法 少量の場合 例:火花を発生しない安全なシャベルですくう。

7. 取扱い及び保管上の注意
(取扱いと容器による保管に関する一般的注意事項)
取扱い  火気厳禁
     適切な換気
     作業は保護具着用
保管   換気のある乾燥した冷暗所に密栓をして保管。
その他、消防法、労働安全衛生法等の法令に定めることに従う。

8. 暴露防止及び保護措置
(健康傷害を予防するための設備対策、管理濃度、保護具について記載する)
設備対策
管理濃度
保護具
呼吸    有機ガス用防毒マスク
手の保護  ゴム手袋
眼の保護  保護めがね
身体の保護 作業衣・安全靴

◎ 9.物理的 及び 化学的性質
(その製品の固体,液体,気体の形状の別,引火点 ⇒ 引火性危険物の判断根拠、融点、PH(酸アルカリ指数)⇒ 腐食性の判断根拠などを記載する)
形状     ペースト状液体
色      淡黄色
比重     約 0.9 (20℃)
引火点    −20 〜 −15℃   引火性危険物の包装等級の根拠
発火点    200℃以上
PH       データなし

◎ 10.安定性 及び 反応性
(熱・光・衝撃に対する安定性や酸化性・自己反応性・混蝕危険性などを記載する)
安定性      通常の条件下では安定
反応性      特記すべき反応性なし
避けるべき材料  使用溶剤に可溶性の材料(一部のプラスチツク容器)

◎ 11.有害性情報
(急性毒性・腐食性など人に対する有害性の定量的データを記載する)
急性経口毒性    経口ラット LD 50 3,000mg/Kg

急性経皮毒性    経皮ラット LD 50  データ なし

吸入毒性      吸入ラット LC 50  データ なし

12. 環境有害情報
(流出した時の環境への影響を記載する)
現在のところ知見なし。

13. 廃棄上の注意
(廃棄処分する場合の,注意するべき特記事項があれば記載する)

産業廃棄物として許可を受けた専門業者に処分を委託する。
空容器を廃棄するときは、内容物を完全に除去しておく。

◎14. 輸送上の注意
(国連番号はこの項目に記載することに変更されたので,注意すること)
国際規則
陸上・内陸水路・海上・航空に区分して、国際的な輸送上の情報即ち、UN No.と包装等級(P.G.)を記載する。

陸上規則  GGVS,GGVE,ADR,RID
      UN 1133  ADHESIVES  3/U
河川規則  ADN、ADNR
      UN 1133  ADHESIVES  3/U
海上規則  IMDG
      UN 1133  ADHESIVES  3/U
航空規則  ICAO,IATA
      UN 1133  ADHESIVES  3/U

国内規則
陸上輸送  消防法、労働安全衛生法等に定められた運送方法に従うこと。
海上輸送  船舶安全法
航空輸送  航空法
注意事項  容器漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないように積み込み、荷崩れ防止。

◎ 15. 適用法令
(輸送関係の船舶安全法、危規則、航空法をチェツクする)
消防法    危険物第4類引火性液体第1石油類
船舶安全法  危規則 危険物告示別表 引火性液体
航空法    爆発物等の告示別表第1 引火性液体

16. その他の情報
(引用文献等を記載する)
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