「参考資料」  世界健康機関:WHO 資料 No.263 2001年10月
【電磁界と公衆衛生】 〜超低周波電磁界とがん〜  のページの一部を引用して掲載する。
世界健康機関:WHO(World Health Organization)のがん研究の専門機関である−国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer) −はこのほど、超低周波電磁界について、ヒト(人)へのがんを引き起こすかどうかという証拠の強さに基づいて分類することでWHOの健康リスク評価プロセスの第一段階を実施いたしました。
分   類 分類因子の例
ヒトに対して発がん性がある
Carcinogenic to humans
(通常、ヒトへの発がん性を示す強い証拠に基づく)
アスベスト
マスタードガス
たばこ(たばこと噛みたばこ)
ガンマ線
ヒトに対して恐らく発がん性がある
Probably carcinogenic to humans
(通常、動物の発がん性を示す強い証拠がある場合に基づく)
ディーゼルエンジン排ガス
太陽燈
紫外線
ホルムアルデヒド
ヒトに対して発がん性がある可能性がある
Possibly carcinogenic to humans
(通常、ヒトに対する信頼し得る証拠に基づくが、他
の説明を無視することができない場合に用いられる)
コーヒー
スチレン
ガソリンエンジン排ガス
溶接煙
超低周波磁界

超低周波電磁界はがんを引き起こすか?

超低周波電磁界は組織に対して、電界と電流を誘導することによって作用することが知られています。これはこれらの超低周波電磁界の作用として分かっている唯一のメカニズムです。しかし、我々の環境で一般的に見られる超低周波電磁界によって誘導される電流は通常、体内で心臓の拍動を調節する際に自然発生する最大電流に比べてはるかに低いのです。

鶴の舞橋の欄干にとまったバッタ(イナゴ)-2005-8-17疫学研究が商用周波磁界への曝露と子供のがんについての関心を初めて喚起した1979年以降、計測した超低周波電磁界曝露ががん、特に小児白血病の発生に影響を及ぼし得るかどうかを見極めるために多くの研究が行われてきました。

私達の居住環境での超低周波電磁界への曝露がDNA を含む生体内の分子に直接的な損傷を与えるという一貫した証拠はありません。

超低周波電磁界ががんを発生(initiate)させ得るとは考えにくいため、多くの研究は電磁界曝露ががんの促進(promotion)や共促進(co-promotion)に影響を及ぼし得るかとどうかを見極めるために実施されています。

これまで行われた動物研究の結果では超低周波電磁界ががんを発生させたり促進させたりはしないということが示されています。

しかしながら、疫学研究に関する二つの最近のプール分析が疫学的証拠に関する洞察をもたらし、これらはIARC の評価の極めて重要な役割を演じました。これらの研究では、平均磁界曝露が0.3 から0.4μT を超える住民では、それ以下の曝露下にある住民に対して子供の白血病の発症が2倍になるかもしれないことを示唆しています。

多くのデータベースにも関わらず、小児白血病の発生増を説明し得るものが磁界曝露なのか或は他の何らかの因子なのかについて、いくつかの不確実性が残っています。

小児白血病は稀な疾病で、毎年0〜14 歳の子供の100,000 人に4 人がそう診断されています。また、居住環境において平均で0.3 或は0.4μT を超える磁界に曝露されるのも稀なことです。

疫学研究結果から推定できるのは、240 ボルトの電力供給を利用している住民ではこのようなレベルに曝露されているのは1%以下であるということです(120ボルトを利用している国ではより高くなるかもしれません)。

IARC の評価は超低周波電磁界ががんのリスクをもたらすことがあり得るかどうかを検討します。プロセスの次のステップは、一般住民の通常の曝露環境下でのがんの発生見込みを推定することと、他の(がん以外の)疾病についての証拠を評価することです。このリスク評価はWHO によって今後18 ヶ月で達成予定です。   (引用終わり)



WHOでは、超低周波の電磁界に付いて上記のような見解をだしております。あと一年半後にリスク評価が決まる事になります。すなわち、「発がん性がある」ではなく、がんを促進、共促進するのではないかと言う面からの評価であります。

私も同じ考えであり、現時点で高圧線の下に住んでいるから「小児白血病」を発症するのだということにはならないと思っております。しかし、関係機関が鋭意調査研究中のテーマでありますから、個々人が「超低周波電磁界」が人の健康に悪影響があるのではないかと考えるのであれば、回避、自己防衛行動を取る事に関しては何も言うことはありません。

つまり、自己責任で電磁波(通信用の周波数、可視光線、紫外線、赤外線、ガンマ線など)や超低周波電磁界(主に、50/60Hzの交流電磁界)が後世、アスベスト(石綿)や薬害である血液製剤、サリドマイド、そして水俣病のような公害になると思う方は、今から回避、自己防衛行動をとることに関しては何の問題もないということであります。

鶴の舞橋のある公園で鳴いていたセミ(2005-8-17)まして、WHOが現時点で分類因子に超低周波電磁界を「発がん性がある可能性がある」としている限り、自己責任で回避行動と取っても問題視する人は皆無であろうと考えております。

ことわっておきますが電磁波を気にして避けておきながら喫煙をしていたのでは、全くのナンセンスと言わざるを得ませんし、喫煙者の吐き出す副流煙を吸っていたのでは何をかいわんやであります。タバコは科学的に100%発がん性があると証明されているものであります。

さらに、電磁波による影響を気にするあまり、ストレスを溜め込まないようにしなければなりません。ストレスが何よりも人間の健康に悪影響を与えるからです。

ただし、回避行動を取るにせよ自己防衛するにせよ、レベルは別として電磁波はこの地球上どこに居ても存在しますし、宇宙空間(銀河系など)においても満遍なく存在しております。

奥深い人跡未踏の山地に避難したとしても、宇宙からの電磁波の到来、酸性雨(環境汚染)などによる河川の汚染、オゾン層破壊による紫外線、マイクロ波などの無線中継所などの問題があることを忘れてはなりません。

自給自足で電気の無い山奥に住んでいても、電磁波(通信用)、太陽からの紫外線、環境汚染からは逃れられないのです。日本国だけを考えても無駄で、近隣諸国からくる公害(中国の黄砂、地上核実験の放射能、酸性雨の原因物質など)も問題となります。

通信用の電磁波を気にするのであれば隣国のロシア、中国、朝鮮半島から日本へ到来する電磁波や在日米軍の通信基地からの電波にも気をつけないといけません。

また、人体への影響は別として住宅に電気を供給する高圧線(6000V)や変圧器(柱上トランス)から漏れる誘導電磁界をレベルに関係なく避けようとすれば、日本国内に住める場所は極めて制限されることになると考えております。

いずれにしても、人の健康に影響があるのか無いのか、WHO のIARC が2〜3年後出す予定の超低周波電磁界の最終的なリスク評価を待つしかありません。そんな状態にある今日、いかにも超低周波電磁界が多数の人に悪影響を与え、がん発症の原因となっているような記述をするサイトや書籍があることは大変残念なことだと思っています。



新聞や放送関係では「1万2千ボルトの高圧電流が流れている・・・」と言っておりますが、ボルト(V:Volt)は電圧(Voltage)の単位であって、電流(curent)の単位はアンペア(A:Ampere)です。電圧や電流の単位もあやふやな記者などが記事を書いているのでしょうから仕方がないと言えばそうなります。

電圧は「高電圧、低電圧」、電流は「大電流、小電流」と表現するのが正しいのです。しかし、そうはなっていないのが実情です。前述の例では「1万2千ボルトの高電圧がかかっている電線で大電流が流れている・・・」と記述しなければなりません。このように電磁波や電磁場(電磁界)に専門知識の無い方々が記事を書いたり、本を書いたりしておりますから、一般の方々に色々な誤解を与えてしまっているのだと思っております。

そのため、電磁場(周波数が50/60Hz)や電磁波(通信用の周波数)も電磁波(可視光線、赤外線、紫外線、エックス線、ガンマ線など)を一緒に扱って平然としているのです。通常、通信用の電磁波は空気分子などを電離(イオン化)させるエネルギーは持っておりませんから、非電離放射線と呼んで、エックス線やガンマ線、紫外線などの電離放射線とは区別しなければならないのです。

赤とんぼ(2005-10-26)もし、電磁波が人体に影響を与えるとした場合でも波長(または周波数)を指定しないと、波長が長い場合と短い場合とでは電磁波の特性が異なるため、与える影響が異なるのです。携帯電話(800-1500MHz帯)の電磁波なのか、テレビ(100-700MHz帯)やFM放送(70-108MHz帯)の電磁波なのか、それともマイクロ波(1000MHz=1GHz帯以上、1THz帯まで、波長では30cm-0.3mm、波長の長さで区別すると、デシメートル波、センチ波、ミリ波、サブミリ波)なのかを言わないとだめなのです。

たとえば、鳥が怖いと言った場合でも、カラス(烏)なのかスズメ(雀)なのかそれともタカ(鷹)、コウモリ(蝙蝠)なのかの種類を言わないと漠然としたものになってしまうということなのです。

従って、巷で言われている「超低周波電磁界=小児白血病の発症原因」もまだまだ調査研究中の段階にあり、WHOが「発がん性がある可能性がある」と言って調査しているのに新聞や書籍は「発がん性がある」といった内容にし、ことさら読者の不安をあおっているのです。それを読んだ人は当然、「電磁波=発がんの原因物質」と思い込むようになってしまうのです。
                                      By H.Sato   August,21,2005.


【参考資料】

世界保健機関(WHO)は、平成19年6月19日に「超低周波電磁界に関する環境保健クライテリア」を公表した。超低周波電磁界が健康と環境へ及ぼす影響を評価するため、平成8年(1996年)より国際電磁界プロジェクトを開始していた。その検討を進めていたが、このたび超低周波電磁界に関する健康リスク評価の結果を環境保健クライテリアとして公表した。

環境保健クライテリアは、「発生源、計測、ばく露」・「神経行動反応」・「免疫、血液系」・「がん」・「健康リスク評価」・「防護措置」等、13章から構成され、その概要は以下のとおりである。

(1) 現行のばく露規制値を上回る強い電磁界によって、神経や組織への刺激は引き起こされうるが、一般環境中の電磁界レベルでは、神経系や免疫系等に対する悪影響を示す結果は確立していない。

(2) がんについては、一部の疫学研究(人を対象にした統計的研究)において、小児白血病のリスクの増加と一般環境としては高い磁界ばく露との間の弱い関連性が報告されている。しかし、動物実験や細胞実験では健康に悪い影響を及ぼす可能性を示唆するような再現性のある実験結果は得られておらず、2001年に行われた国際がん研究機関(IARC)の評価「人にとって発がん性があるかもしれない(2B)」を変更する必要はない。

(3) 今回の評価の結果からは国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)において定めている国際的ガイドラインを尊重すべきであり、予防的方策としてこれを任意のレベルに引き下げることは推奨されない。電力の健康上・社会的・経済的便益を損なわない限り、ばく露を低減するための極めて低費用の予防方策を実施することは妥当であり、是認される。


この資料は、環境省の報道発表資料を参考にしたものである。私としては、日本の電力各社がこの結果から何らかの対策を取っていただきたいと思っている。連続して曝露しても影響が少ないと言われている0.3μT〜0.4μTまでとは言わないが国内の基準値を新しく決めていただきたいと思うところである。

それまでは、予防的な行為として電気製品からは出来るだけ距離を取り、短時間の使用に心がける事や電気製品を必要最小限の台数に抑えることも大切ではないかと考えている。妊婦や子供は電子レンジやIHヒーター(電磁調理器)からは50cm以上離れることが肝心である。

超低周波電磁界(商用電源:50/60ヘルツ)は国際がん研究機関(IARC)による人に対する発ガンリスクの分類では「グループ2B:発がん性があるかもしれない」とされているが、今回の評価もレベル変更の必要はないと判定された。

直接は人の健康(小児白血病)に影響を与える因果関係(可能性)は認められないが何らかの関連を否定できないのであれば、子供たちをあらかじめ予防的行為として超低周波電磁界から遠ざける、電磁界の強い環境に長時間さらさないことが大切であろう。

今回の評価基準は電磁波の内、送電線の電磁波(商用電源周波数:50Hz/60Hz)など、周波数の低い「超低周波電磁界」が対象で、周波数の高い携帯電話の電磁波(800MHz/1.5GHz)や電子レンジの電磁波(2.45ギガヘルツ)は対象となっていない。    2007−6−21  by H.Sato
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